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2012/02/26

鉄道が好きになったわけ【1】 「時刻表2万キロ」(宮脇俊三)

思い返すと、鉄道に興味を持つようになったのは、小学校の中学年頃であったように記憶している。当時から読書好きだった私が、初めて鉄道にかかわる本に触れたのが、この1冊である。初めての「鉄道本」であったのと同時に、おそらく初めての「ノンフィクション本」であったと思う。

図書館で借りてきて読んだのだが、なぜ数ある本の中からこの1冊に手を伸ばしたのかは、今もって謎である。

「乗ること」そのものを目的に鉄道の旅に出かける50過ぎのおじさんが、当時の国鉄全路線を制覇するために、意味もなくローカル線を行ったり来たりする話が、小学生の自分にとっても単純に面白く、祖父の部屋にあった時刻表を持ち出して、見比べながら読んだ。鉄道好きのバイブルでもある「時刻表」への最初のアプローチでもある。

P2256740_21冊の本を何度も繰り返して読むことが多い私は、そのうちどうしてもこの本が欲しくなり、古本屋で探して購入した。私の手元に来てからすでに20年以上が経過するこの本は、カバーが破れ、中身も変色し、それなりに手垢や汚れもついた。それでも年に1回ほど、無性に読み返したくなる。中身は分かっているのだが、テンポや歯切れのよい文章、常に淡々とした調子が、まさに名文なのである。

初めて出会ってから30年近くなり、着々と私は当時の宮脇氏の年齢に近づきつつある。そして宮脇氏と同じように、日本の鉄道を乗り尽くすべく、少ない小遣いと時間をやりくりしながら、日本じゅういたるところに出没している。

作者の宮脇俊三氏は、当時中央公論社の常務。編集者時代には北杜夫や阿川弘之をはじめ数々の著名な作家を担当し、「世界の歴史」「日本の歴史」シリーズにも携わっている。名文を世に送り出してきた名編集者は、その後、自ら名著を残すことになった。

鉄道ファンならずとも楽しめる「時刻表2万キロ」。今日、2月26日は、宮脇氏がこの世を去ってちょうど9年目にあたる日である。

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