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2012/03/07

「太陽の塔」と森見登美彦

私のカメラ破壊の間接的な原因となった太陽の塔。
そもそも太陽の塔を見に行くつもりになったのは、先にも書いたとおり、森見登美彦の同名小説を読んだことにある。

森見登美彦、という作家のことを知ったのは、同じ職場の友人が、
あなたにそっくりな人物が登場する
という触れ込みで、「夜は短し歩けよ乙女 」という本を貸してくれたことに起因する。

京都の街を舞台に繰り広げられるこの小説は、2人の登場人物の視点が交錯する形で書きすすめられている。ひとりはヒロインたる「黒髪の乙女」こと大酒呑みの女子大生。そしてもうひとりは本来ヒーローたるべき「先輩」あるいは「私」こと冴えない大学生である。

彼女の先輩たる「私」は、密かに想いを寄せる彼女の注目をひき、あるいは彼女に降りかかる災いの盾となるべく奮闘するのであるが、どうにも締まりがなく、ヘタレ大学生と呼ぶにふさわしい薄幸の青年である。彼の周りには常に不幸と屁理屈が盆暮れの親戚のようにわらわらと集まってくる。その中でもがく彼の姿は正直滑稽である。けれどもその滑稽さが何か切なく、私に訴えかけてくる。

本屋大賞2007年第2位、そして山本周五郎賞を受賞したこの本は、導入部からどうにも理屈っぽい。気の短い私は最初の数ページで危うく本をぶん投げてしまいそうになったのであるが、そこは大人の対応とばかりに我慢して読み進むうちにすっかり虜になってしまったのである。
読み終わって私は、このようなオモチロイ小説に巡り合わせてもらったことを感謝すると同時に、この登場人物に私が似ていると評されたことに対していささか凹んだ気分になった

Cimg1155森見登美彦の小説は、彼自身が京都大学出身ということもあって、京都を舞台とした小説が多い。また、彼のデビュー作である「太陽の塔 」、深夜アニメ化された「四畳半神話体系 」には、「夜は短し歩けよ乙女」同様のヘタレ大学生が理屈まみれで登場する。おそらくこのキャラクターは、森見氏自身が感じる、氏の鏡映しのような存在なのだろう。そう思うと、この人の書いた本をもっと読みたい! と私は思うのだ。

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コメント

その登場人物、そんなに先生っぽいの?

高校時代も、大学時代も、
ずっと後ろを歩いてきているのに気がついているんだけど、あるポイントで急に近づいてきて『偶然だね!』って言ってくる男の人がいた!!

と、思い出して思わずコメント(笑)

そんなむっちも中学時代は好きな男の子を待ち伏せしたりしてました♪

投稿: むっち | 2012/03/07 15:06

彼に似ているということは…私の予想の上をいく変人、という整理でいいでしょうか??

投稿: 新 | 2012/03/07 23:15

>むっちさん
まずは読んでみてください。そのうえでご判断ください(笑)。少なくともストーカーチックなのとはちょっと違いますよ。

投稿: いかさま | 2012/03/08 00:48

>新さん
本人は至って普通だと思っているのですが、周囲から見るとそうではないようです。客観的評価の前には、なすすべもありません。

投稿: いかさま | 2012/03/08 00:50

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