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2012/07/02

北海道新幹線に思うこと【その1】

北海道新幹線 新函館-札幌間(約211km)の着工が、他の2線とともに29日、決定した。

北海道新幹線は、1967年に構想が発表された全国新幹線網をベースに、1972年に基本計画、1973年に整備計画が決定した、いわゆる「整備新幹線」のひとつである。
新青森-新函館間(約150km)はすでに工事が進んでおり、2015年度中の開業を目指しているが、今回認可された区間は、工期24年、2036年の完成が予定されている。

この間に鉄道を取り巻く状況は大きく変わり、同じ整備新幹線の仲間としてここ15年ほどの間に開業した長野・東北・九州新幹線を見ても、開通までにはそれなりの紆余曲折があり、また課題を抱えていた。
それは北海道新幹線についても例外ではないだろう。北海道民としては、ここは本来もろ手を挙げて喜ぶべきところなのだろうが、どうしても気になる点がいくつかあるので、思いつくままに挙げておこうと思う。

1.政権交代と決定の後退

整備新幹線計画は、これまで政権の交代や当時の政情によって、前進・後退を繰り返して今日までやって来た。それが今後も起こらないとは限らない。まして二大政党制(それすらも危うい状況下ではあるが)で与野党が入れ替わる現在ならばなおさらだ。
ひとたび着工してしまえば、よもや止めろとはならないとは思うが、過去の成田新幹線 の例もあるし、予断を許さない。完成の遅れなどは容易に想定される。

2.並行在来線問題

1997年開業の長野新幹線以降、新幹線開業時により経営が悪化すると見込まれる並行在来線をJRから分離することがほぼ原則になっている。札幌延伸に際して、並行在来線として経営が分離されるのは、函館-長万部-小樽間である。

函館-新函館間は、新函館駅が函館市街から離れている(約15km)ことから、函館市街へのアクセス路線として、札幌延伸後も北海道が主体となった第三セクターにより鉄道を残す方向で検討されている。

残る新函館-長万部-小樽間は微妙だ。旅客鉄道としてみた場合、かろうじて経営が成り立つのは新函館-森間と倶知安-小樽間くらいで、あとは地元の足として残すのは厳しいだろう。廃止→バス化が本来想定される流れになるはずだ。

問題は、特に新函館-長万部間を走行する貨物列車だが、現在、JR北海道が、青函トンネル内における新幹線と貨物列車の高速すれ違いへの対応として開発を進めているトレイン・オン・トレイン」(新幹線規格の貨車の中に在来線規格の貨車を車両ごと積み込んでしまう)を応用すれば、新幹線の路線上に貨物列車を走らせることは可能になり、同区間の在来線が廃止されても問題は生じないことになる。

また、長万部-倶知安-小樽間のいわゆる「山線」を、有珠山噴火で「海線(室蘭本線)」が運休になった場合のバイパスとして残すべきとの意見もあるが、山線にルートの近い新幹線に貨物列車を走らせることができれば、存続理由はなくなる。

仮に並行在来線が廃止となると、長野新幹線で、極端にローカル旅客流動の少ない信越本線の横川-軽井沢間が廃止になって以来2例目となる公算が高い。

過疎化と高齢化が進行する地方における鉄道というインフラが、地域住民の足から、貨物および幹線輸送に変質してきたことは、全国各地の状況を見ても明らかである。特急列車が1日に10本も20本もバンバン行き来する路線でも、県境をまたぐローカル列車は1日ほんの数本という例は多い。
地域住民の立場からすれば、安全性と定時性に優れる鉄道を残してほしい気持ちはあるのだろうが、幹線輸送という機能を奪われた函館本線、特に振興局(昔の支庁)の境をまたぐ区間の将来は暗いと言わざるを得ない

鉄道ファンの立場から冷静に見ても、それが現実ではないかという気がする。


つづく。

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