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2012/07/03

北海道新幹線に思うこと【その2】

3.高速性と旅客シェアの関係

北海道新幹線建設促進期成会のHPによると、新幹線開業により、東京-新函館間は最速3時間10分、東京-札幌間は4時間で結ばれるとしている。

ただし、これは東北新幹線・北海道新幹線における最高速度を360km/h(平均速度は約260km/h)とした場合の試算である。

北海道新幹線の計画上の最高速度は260km/hである。これ以上の最高速度向上のためには、路盤の強化や車両の軽量化・性能向上、騒音対策などが不可欠となるが、実際にはそれほど簡単なことではない。現に、同じく整備新幹線のスキームの中で建設された九州新幹線・長野新幹線・東北新幹線(盛岡-新青森)は、いずれも最高速度は260km/hのままである

仮に新青森-札幌間(約360km)の最高速度を、これまでの整備新幹線同様260kmと置くと、この区間の所要時間は約1時間50分とみられる。これに東京-新青森間の約3時間(最高速度320km/hに向上後)を加えると、東京-札幌間は4時間50分となる。


ある区間における航空機と鉄道のシェアは、所要時間と密接な関係がある
やや古い資料になるが、国土交通省が2005年に実施した「全国幹線旅客純流動調査」によると、以下のような状況になっている。

東京対札幌の場合で見ると、現在、鉄道による最速所要時間は約9時間半。航空機ならば都心からのアクセスを含めても3時間半程度である。この区間の航空:鉄道は99:1と悲惨な実績である。

新幹線開業によって、このシェア比はどうなるか。既存の東海道・山陽新幹線との比較で見てみる。
東京-札幌4時間とすると、既存の新幹線では東京-広島間に相当する。この区間のシェア比は39:61となり、一転鉄道優位となる。
けれども、仮に4時間50分を要すると仮定すれば、東京-福岡(博多)とほぼ同等となり、シェア比は92:8と、わずか50分の差で圧倒的に航空機有利となるのである。

福岡の場合、空港が市街地から近い(博多駅から地下鉄約5分。新千歳空港は札幌駅からJR約36分)という条件もあるだろう。しかし、福岡の手前、山口県を見ても、空港の利便性がそれほど高くないにもかかわらず、シェア比は58:42と、航空機の方が高くなっている。

もうひとつ、前回のブログにも書いた、青函トンネルにおける貨物列車とのすれ違い問題がある。

4年後の新函館開業時には、前出の「トレイン・オン・トレイン」の実用化は間に合わないとみられることから、青函トンネルを挟む区間では最高速度が140km/hに抑制される可能性がある。この場合、新青森-新函館間で所要時間は約20分伸びる

技術的な問題から、仮にこの貨物列車問題が解決しないまま札幌開業を迎えた場合、さらに所要時間は伸び、5時間を超える可能性もある。

4時間だとか5時間だとかの所要時間の中で「たかだか20分」、と私たちはしばしば考える。けれども、鉄道高速化の歴史は、そういう状況下で、技術力を磨き、5分、10分レベルの所要時間短縮を繰り返した結果、今日までたどり着いている。
その「たかだか20分」が、北海道新幹線の旅客需要や、それに伴う経済効果に大きなダメージを与える可能性があることを、はからずも国土交通省の調査は実証している。



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