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2012/08/11

江差線廃止に関する考察(2) 松前線との関係

先日、JR江差線の区間廃止に関するブログを更新した際、手元の資料をいろいろと調べていたところ、「鉄道ジャーナル」1985年7月号に、「道南を横切る鉄の小径」と題した記事を見つけた。道南地区の赤字ローカル線4線の実態をレポートしたこの記事の中に、江差線松前線の記載がある。

松前線は、江差線の五稜郭から分岐して松前まで50.8kmを結んでいた路線で、第2次特定地方交通線として1988年に廃止されている

江差線と松前線は、多くの列車が木古内-五稜郭(-函館)を併結運転で直通しており、一体的に運用されていた。同誌に記載されていた運行実態を再整理し、以下にまとめる。参考資料として、沿線自治体の人口推移もまとめておく。

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江差線・松前線の輸送状況
路線名 区間 運転本数 輸送密度
下り 上り (1979年)
江差線 (全線) 2,428
五稜郭-木古内 11 11 4,349
木古内-江 差 7 7 703
(うち函館直通) (6) (5)
松前線 木古内-松 前 7 8 1,315
(うち函館直通) (6) (8)
江差線・松前線の沿線人口推移
線名 町名 1980年 2010年 減少率
江差線 22,733 14,432 -36.5%
上ノ国町 8,803 5,428 -38.3%
江差町 13,930 9,004 -35.4%
松前線 36,500 18,941 -48.1%
知内町 7,363 5,075 -31.1%
福島町 11,613 5,116 -55.9%
松前町 17,524 8,750 -50.1%

表を見てもわかるとおり、木古内から江差、松前への列車本数はほぼ同等だが、輸送密度は松前線の方が圧倒的に高い。松前線の方が沿線人口が多いことや、ともに函館との流動が大きな需要だが、松前が函館と同じ渡島支庁に属するのに対し、江差は檜山支庁である。そういったことが輸送密度の差となって現れていると考えられる。

しかるに、特定地方交通線として廃止されたのは松前線だけである

この理由は、当時の特定地方交通線廃止が、すべて路線単位で行われており、利用状況の悪い一部区間だけを廃止するという発想がなかったことによる。
つまり、利用客の多い五稜郭-木古内間が江差線に属していたから江差線は残り、それを持たなかった松前線は廃止になった、ということなのである。

五稜郭-木古内間を含めた江差線全線の輸送密度は2,428人/日で、これも特定地方交通線の基準である4,000人/日を下回っているが、函館口での輸送人員はきわめて多く、「ピーク時の乗客が一方向1時間当たり1,000人を超す」という除外規定により選定を免れている。

歴史に「if」は禁物であるが、あえて言うならば、もし五稜郭-木古内間が松前線に属していれば、廃止を巡る動きは江差線と松前線で全く逆の立場になったということになる。
現に、1968年から取り組まれた「赤字83線」では、線区単位にこだわらず不採算区間を対象として選定が行われ、江差線の木古内-江差間だけがその対象となった。「赤字83線」の廃止は、政治的な理由からわずか12線の廃止で頓挫し、江差線は辛くも一命を取り留めている。

つまり木古内-江差間は、その利用実態と歴史を見る限り、40年以上も前から廃止の危機にさらされながら、その都度幸運にも生き残ってきたわけで、地元の方々には申し訳ないが、鉄道としての必然性を認められて今日まで生き永らえてきたわけではないと言える。

青函トンネルの開業に伴い、五稜郭-木古内間の輸送密度が向上したのと対照的に、過疎化と高齢化の進行により、江差線の輸送密度は激減した。先述のとおり現在の輸送密度は41人/日。30年前のわずか6%と悲惨な状況になっている。沿線の人口も、1980年~2010年の30年間に、上ノ国町で38%、江差町で35%の大幅な減少となっている。

ただ、鉄道が廃止された側、福島町と松前町の人口減少率は、いずれも50%を超えている。松前線が廃止された代わりに津軽海峡線に駅が設けられた知内町が31%の減少に収まっていることを考えると、鉄道の廃止で人口の流出に拍車がかかる可能性は否定できない。今後のまちづくりや代替輸送手段を検討していく上で一考するべき問題ではないかと思う。

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コメント

おはようございます。
朝からなんかすんごい考察を拝見させていただいたのですが頭が回りません;;
鉄道ってもとをたどれば国鉄だったりするから、需要とかに関係なく道路とかと一緒で簡単には廃止とかできないとこもあったりするのかなって思います。
あれ、なんか、とんちんかんなこと書いてる?
顔を洗ってでなおしま~すw

投稿: 華凜 | 2012/08/12 06:53

こんばんは。お返事がいつも遅くなりましてすみません(汗)。
ぜんぜんトンチンカンではないですよ。鉄道も道路も公共性の高い社会資本ですから、いったんつくって、そこに乗客がいれば、多少赤字でも動かさざるを得ないところはあると思います。
ただ、本当に鉄道が必要なのか、それ以外の交通機関の方が効率的ではないか、はしっかり考えないといけないですよね。特に鉄道は道路と違って、鉄道会社自前のインフラですから、それを維持していくための最低限の収入は必要なんだろうと思います。

投稿: いかさま | 2012/08/13 00:43

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