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2012/08/09

JR北海道江差線(木古内-江差)2014年廃止へ

今日、8月8日の北海道新聞の1面トップは、オリンピックでも内閣不信任案でもなく、「木古内-江差 廃止方針 JR北海道 14年にもバス転換」と報じた。

JR北海道江差線は、函館の隣、五稜郭から、檜山振興局(昔の支庁)のある江差まで79.9kmを結ぶ路線である。
このうち五稜郭-木古内間37.8kmは、「津軽海峡線」の一部としての機能を併せ持っている。北海道新幹線開業後は並行在来線として扱われ、貨物輸送の大動脈でもあることから、第三セクターでの存続が決定されている

北海道新聞によれば、JR北海道木古内-江差間42.1kmを2014年春に廃止とする方針を固め、9月上旬に沿線自治体(江差町、上ノ国町、木古内町)に協議を申し入れるとのこと。3町は存続を望んではいるものの、現在の利用実態から鉄道による存続は困難だと腹を括っている様子である。

ローカル線の輸送量を測る尺度のうち、もっともシンプルなのは、「輸送人員」である。これは単純にその路線を1日何人が利用したか、を示している。
けれども、それぞれの乗客が利用する距離はさまざまで、それによって収入額も変わってくる。そこで、輸送人員に平均乗車距離をかけたものを尺度とすることがある。これを「旅客人キロ」と呼ぶ。

旅客人キロは、それぞれの路線の長さ(営業キロ)によっても変わってくる。そこで条件を均一にするために、旅客人キロを営業キロで割り、1日1kmあたりの輸送人員を算出する。これが「輸送密度」である。

「輸送密度=1日の輸送人員×平均乗車距離/営業キロ」

この尺度は、国鉄時代末期、昭和50年代後半から60年代にかけて、赤字ローカル線を大量廃止した際の基準にも使用された。
当時の赤字ローカル線廃止は三段階に分けて実施されたが、一番基準が緩かったグループ(「第三次特定地方交通線」)の選定基準は、輸送密度4,000人/日である。

では、江差線の輸送密度はどうか。
やや古い資料だが、2010年7月9日発行の週刊東洋経済増刊「鉄道完全解明」によると、江差線全体の2006年度の輸送密度は2,563人/日。国鉄時代ならこれでも廃止対象であるが、JR北海道の14路線中7位の輸送密度である。

このうち、木古内-江差間だけの実績はと言うと、北海道新聞によれば、2011年度の輸送密度は41人/日

たった41人/日である

五稜郭-木古内間と木古内-江差間で利用状況に大きな差があることが分かる。

ちなみに国鉄時代、「日本一の赤字線」として有名になった美幸線(美深-仁宇布、1985年廃止)の輸送密度は82人/日(1977~79年平均)。その半分しか輸送密度がない、ということは、残念ながらこの区間の鉄道としての使命はとうに終わっている、と言っても差支えないと思う。

江差線には、一部狭隘な区間があるものの、ほぼ全線にわたって道道5号線が並行している。旅客数もバスでおつりがくる程度の輸送量しかなく、おそらくはバス化に向けた協議が今後進められるものと想定される。

まあ、新幹線の開業を控えて、その経営主体となるJR北海道が、身辺整理を始めた、というところだろうか。

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コメント

おはようございます。
鉄道、2014年廃止の方向ですか。
1日当たりの乗客が少なければ当然廃止もあるかもですが、それに代わる交通手段が必須となってきますね。
新幹線はこちら、九州でもできたのですが搭乗率は在来線の特急などがあるため、目標をかなり下回っているようです。

投稿: 華凜 | 2012/08/09 06:02

なんかお互い若かりし頃の先生の授業を受けているみたいで懐かしさを感じる日記(笑)♪

留萌本線の輸送密度も1977-79年度は1619だったのに対して、2009年度では180だって。
時々、瀬越駅周辺で車内の様子を見るけど寂しいものがあるよ。
羽幌線に続いて沿岸バスにしてもいいんじゃないかな?って、前から思ってた。
そこで、疑問に思うこと。留萌線におけるJRのメリットは?バスに転換した場合のメリットは?
んー・・・

投稿: むっち | 2012/08/09 08:03

いやまぁ、確かに乗客めっちゃ少ないですからね。路線間に学校がそんな大量にあるでもないですし、函館まで行くのはマイカーが主流ですし。バスは正直使いたくないのですが、しょうがないのかなぁ。JRさえ通ってない支庁所在地になっちゃうのね…

投稿: matataking | 2012/08/09 19:40

DMVはダメでしょうか?

投稿: | 2012/08/09 22:03

>華凛さん
毎度ありがとうございます。
江差-函館間には国道経由のバスが1日6往復走っていますが、上ノ国など現在バスが経由していない地域からの足を新たに確保する必要がありそうです。
昨年夏に僕も九州新幹線に乗りましたが、土曜夕方の熊本行き各駅停車「つばめ」がガラガラだったのは気になりました。熊本・鹿児島中央以外の途中駅からの利用増に期待したいですね。

投稿: いかさま | 2012/08/10 04:43

>むっちさん
留萌線も現状は厳しいですね。
ただ、特に深川付近では、朝夕の学生利用が多く、バスで大量の客をさばくのは難しいかもしれません。現に何年か前、秩父別駅で通学客の積み残し事件も発生しています。

一方で、鉄道は道路と異なり、インフラを維持するための費用がJRの負担になりますから、たとえお客がわずかしかいなくても莫大な維持費が発生します。
留萌線の場合も、たとえば留萌-増毛間あたりは先行してバス転換の話題が早晩出るかもしれませんね。

投稿: いかさま | 2012/08/10 04:50

>matatakingさん
コメントありがとうございます。
やっぱり実感としても利用客の少なさは感じますか。
定時性は抜群の鉄道ですが、江差-函館でみれば所要時間はバスの方が格段に速いですから、上ノ国地区からのアクセスを確保する前提で鉄道の廃止もやむなし、と自治体も判断するのではないでしょうか。
江差は振興局所在地として初の「鉄道なし」市町村になってしまいますが、現状で行くと留萌や浦河あたりも厳しい状況かと認識しています。

投稿: いかさま | 2012/08/10 04:59

>名無しさん
DMVの導入はひとつのアイデアかと思います。
ただ、一般のバスと比較してもコスト(車両・地上設備)は高くつきますから、利用客と直通需要がどの程度期待できるかによると思います。木古内-函館間の道路状況が比較的良いことを考えると、DMV導入のメリットを見出すのはなかなか難しいかもしれませんね。

投稿: いかさま | 2012/08/10 05:02

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