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2012/08/16

本棚:「日本のいちばん長い日」 半藤一利

日付が変わってしまったが、昨日、8月15日は終戦記念日である。

67年前、1945年8月14日、日本政府はポツダム宣言の受諾を決定し連合国に通知、翌8月15日正午、昭和天皇の玉音放送によって全国民に戦争終結が公表された。
9月2日、アメリカ軍艦「ミズーリ」船上で降伏文書への調印が行われて戦争は終結、日本はマッカーサーを最高司令官とする連合国軍の占領下に置かれる。日本がサンフランシスコ平和条約の発効によって主権を回復するのは、それから7年後の1952年4月28日のことである。

と、中学校や高校の日本史の授業が教える戦争終結はここまでである。
これだけを読むと、日本は敗戦という事実を淡々と受け止め、その手続きは粛々と進められたかに見える。現に私もそうだと思っていた。

Arashi016_3日本のいちばん長い日」は、終戦に向かう日本において、水面下であらゆる葛藤や出来事が起こったことを教えてくれる一冊である。8月14日から15日までの24時間で、玉音放送へとこぎつけるまでの政府の動きはもちろん、刻々と悪化する戦況の下でなお戦争継続を模索した陸軍内部で、誰が何を考え、どのように行動したのかが、時系列で生々しく描かれている力作である。
私たちが太平洋戦争という史実をしっかりと理解し、平和を希求していくにあたって、この時期このようなことがあったという事実は、知っておいてよいことだと思う。

著者はノンフィクション作家の半藤一利。1965年に初版刊行されたこの本は、当時著者が版元の編集者であった事情から、「大宅壮一編」として出版されたが、現在は半藤氏名義になっている。

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著者は昭和史に造詣が深く、特に太平洋戦争とその前後に関する出版物が数多い。記述そのものは優しく、この手の本の中では読みやすい部類に属するのではないかと思う。
この本をはじめ、終戦前後の関係者を一堂に集めて1963年に開かれた座談会の様子をまとめた「日本のいちばん長い夏」と、終戦に向けた舞台回しの中心役となった、戦中最後の総理大臣、鈴木貫太郎を題材とした「聖断~天皇と鈴木貫太郎」は、終戦への動きを知る上で読んでおいて損のない本だと思う。

「日本のいちばん長い日」と「日本のいちばん長い夏」は映画化され、DVDも出ている。前者は1967年の古い作品だが、後者は2010年にドキュメントとしてNHKが制作し、BSで放送された。異色のキャスティングが話題となったので、ご覧になった方もいるのではないかと思う。

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コメント

おはようございます。
終戦の日だったですね。
異色のキャスティング、田原さんと鳥越さんしかわかりませんでした(・∀・)
戦争がもっと早くに終わっていたらどんな風に歴史は変わっていたんでしょうか。多くの犠牲者を出した戦争。二度と起こってほしくないですね。世界を含めて。

投稿: 華凜 | 2012/08/16 06:12

(^_^)/おはよーございます
「日本のいちばん長い日」は、たぶんテレビで見た記憶が有ります。以前は、
民放でも8月になると戦争関係の特別放送をしていたので、
その関係で昔の映画を放送したのかも・・
「日本のいちばん長い夏」はまだ見ていませんが、本を読んだことが有ります。
昨日もNHKで、終戦に向けての上層部のあれやこれやの検証番組を放送していました㋧
何百年も前の歴史は当時、何がどの様に何故起こったのかと云う定説があるのに、
つい67年前の検証は、なかなか進みません。
まぁ、残された歴史と云うのは、勝ち残った側の歴史ではありますが、
其処から負けた側の検証も可能になるのだと思います。
たぶん、人の心の問題(過大であろうと、過小であろうと、それを認めたい人達、
認めたくない人達の気持ち)が阻んでいるところも大きいのだと思いますが、
それでも出来るだけ客観的に、知っていかないと・・知ろうとすることだけでも大切ですよね
長々と、失礼致しました o(_ _)oペコッ


投稿: tutatyan | 2012/08/16 08:04

>華凛さん
毎度ありがとうございます。
無条件降伏を受け入れるしかなくなった時点で、戦後日本の運命は、国のあり方や国民の考え方も含めて大きく変わったのではないかと思います。ただ、どちらが幸せだったのかは何とも言えないですね。
今も世界のどこかで戦争は起こっていますし、身近なところでは竹島や尖閣諸島がきな臭い状況になっています。平和裏に解決していく方法はないものでしょうか。歯がゆい思いで報道を眺める日々です。

投稿: いかさま | 2012/08/16 23:45

>tutatyanさん
毎度ありがとうございます。
「残された歴史は勝った側の歴史」というのは同感ですね。
史実の伝承にも、少なからず伝承する者の主観が入って来るのは致し方ないと思います。問題は主観に基づく事実がそのまま発展していくことで、本来の事実がぼやけたり、歪曲される例が多々出てくることではないでしょうか。
原点に立ち返って、さまざまな視点から検証を進めることが大切なのでしょうが、時の流れとともに事実を記した資料も、語り部たる人々も少なくなってきて、より本質を理解しにくい状況になってきてしまっているのが現状ではないかと思います。
さまざまな本や映像などを通じて入手する情報を取捨選択して、できるかぎり公平な視点から理解を深めていかなければならないな、と思っています。

投稿: いかさま | 2012/08/16 23:54

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