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2012/11/05

朋遠方より来たりて思う(3) 組織と熱意

引き続き塾講師のアルバイトの話。

以前にも書いたとおり、私たちの働いた学習塾は、道内ではかなりの大手である。札幌市内に複数の本部を持ち、大学生のアルバイト講師が約100名、それが3科に分かれて所属していた。

これだけのアルバイトが所属する組織を動かしていくためには、その人材を効率的に配置し、効果的に動かしていくことはもちろん重要である。
ただ、それだけでなく、大学生のアルバイトという、所属年限の限られた人員が4年ないし6年で入れ替わっていくなかで、体系的に「教える」技術の伝承を行っていかなければならない。

何を教えなければいけないか」という基幹の部分を指導するのは「専任」と呼ばれる社員講師の責務であるが、「どう教えるか」という、いわゆるスキルの部分に関しては、アルバイト講師相互間での伝承になる。これは、どこの組織にでも見られる形態である。

面白いのは、そのスキルの伝承を行うための仕組みづくりを、会社側が確立させていることである。
詳細を書きすぎると差し障りもあるだろうから漠然とした話になるが、「授業とはこういうものだ」ということを理解させるための研修から、「教えるスタイルはさまざまだ」ということを理解させるための研修をメニューとして用意し、さらには、定期的なミーティングの中で相互に能力を高め合うための時間をつくる。そのためにアルバイト講師をグループ化・階層化して、一種自治的な組織を形成させている

これはある一面では、会社が自前の人材を育成することを放棄しているように見えなくもないが、一方では非正規の人員を器用に使っていくための有効なシステムであったように感じる。
先日飲んだ友人のひとりが、
「人材育成のためのプログラムを会社の中で考えると、自然とあの塾のシステムに行きつくんだよね。してみると、よく練られたシステムなんだよ。」
と言っていたが、確かにそのとおりである。

そういう環境の中で、私たちは知らず知らずのうちに「組織」というものを、他のアルバイトに就いた友人たちよりも強く意識しながらアルバイト生活を送ってきた。
会社に入り、それまでと異なる「組織」の縛りの中で悩む部分もあったけれど、結局仕事や人を動かしていくためには、組織化と体系化がきわめて重要だということを再確認するのに、さほどの時間はかからなかった。自分が部下を持つ立場になった時、どこまで実践できたかはわからないが、少なくともその体験を常に心の片隅に置きながら仕事をしてきた、そのつもりではいる。

もっとも、同じようなシステムが確立していながら、アルバイト講師たちが持つ能力には、個々の差以前に科目間、あるいは本部間でもかなりの差があったように思う。
それはなぜだろう、と考えると、結局最後は、送り手あるいは受け手の「スタンス」に行き着く。そこに存在する課題に対する姿勢、すなわち「熱意」である。
組織が有効に機能するもしないも、伝わるも伝わらないも、結局は「熱意」の問題なのかもしれない。

そういう熱さを持った仲間たちが、今もこうして私の周囲にいてくれるのである。

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