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2013/05/15

いかさまトラブラー【1】寝過ごし編

日常生活でもそうだが、ことに旅には大小さまざまのトラブルがつきものである。
後になって振り返れば、そのときのトラブルは、旅のインパクトとして強く印象に残っている。他の方のブログや旅行記などを見ていても、トラブルに巻き込まれたシーンは読んでいて正直なところ面白い。だが、遭遇したその瞬間は誰しも青ざめているはずである

トラブルといっても、飛行機や列車の遅れ、あるいはストライキ、事故などといった不可抗力に近いものもあれば、寝過ごし、忘れ物、乗り遅れなどといった「身から出た錆」に相当するものまで幅広い。

私自身の経験を振り返ってみると、不思議というか幸運というか、これまでに生死にかかわったり、あるいは後の行程に重大な支障を及ぼすようなトラブルに見舞われた記憶はほとんどない。そのときはそのときでかなり肝を冷やしたり呆然としたりするのだが、結果何とかなっている、というものばかりである。が、小さいものを積み上げればそれなりにいろんな場面には遭遇している。

以前にも書いたが、私は、高校2年から3年の春休みにかけての九州旅行で、寝過ごし3連打を記録したことがある。
 ⇒「寝過ごし考」

その旅は、ありあまる体力を過信し、全14泊中地上泊はわずか6泊、残り8泊はすべて夜行列車での車中泊という強行軍であった。金がなかったせいもあるし、当時の九州には「かいもん」「日南」という、九州を南北に縦断する便利な夜行急行列車が運転されていたゆえでもある。「ワイド周遊券」では、特急・急行の自由席を追加料金なしで利用することができた。

今は亡き東京発の寝台特急「はやぶさ」のB寝台個室で一夜を過ごした翌日、私は熊本から人吉、志布志経由で宮崎へ入り、上り夜行急行「日南」の客となった。グリーン車に相当する深いリクライニングシートで熟睡した私は、翌日、折尾で下車する予定がすっかり寝入ってしまい、博多駅で車掌に肩を叩かれて目を覚ました

それでも懲りない私は、その夜、博多から下り夜行急行「かいもん」で深夜の熊本に下車、駅前の食堂で夜食をかき込んだ後、上りかいもん」で久留米へ引き返した。「夜行返し」という手法で、上り・下りの夜行列車を組み合わせて宿代を浮かす、という、当時の「」の若者たちに愛用されていた手段である。ただし、当然ながら疲労の蓄積は著しく、寝過ごしのリスクと背中合わせになる。まして私はこれで夜行3連泊目であった。

私は幸い寝過ごすこともなく久留米で下車し、早朝の久大本線大分行きの列車に乗り継いだのだが、おそらくそこで気が緩んだのであろう、下車予定の夜明を見事にスルーし、5駅先の天ヶ瀬停車中に目を覚まし、慌しく下車した。幸い、待つほどもなく久留米行きの列車がやってきたが、夜明から乗り継ぐ予定だった日田彦山線小倉行きの列車には間に合わない。私は日田駅近くの喫茶店で朝食をとりながら、崩れた乗りつぶしプランを再構築するために、時刻表と格闘することになった。

その結果、日田から田川後藤寺へ行き、そこで後藤寺線の列車に乗り換えて新飯塚へ往復、田川後藤寺から再び日田彦山線で小倉を目指す、というプランを整えた。
意気揚々と列車に乗り込んだ私は、満足いくプランが出来上がったことで慢心していたのであろう、列車が田川後藤寺をはるかに過ぎて小倉の手前に達するまで、私の意識は完全に遠のいていた

1わずか2日間で3度の寝過ごしなど、完全に緊張が緩んでいると思われても仕方がないが、出発当日に東京で舞い上がって夜更かしし、翌日の「はやぶさ」では興奮のあまり何度も目を覚まし、九州へ入っては初めて見る景色に目が釘付けとなれば、いかに若くて体力に自信があろうが陥落するのは時間の問題である。むしろよくぞ3日4日ももった、と今となれば思う。
今もし、当時の行程が再現可能だったとしたら、3泊目の「夜行返し」を諦めて、久留米あたりのホテルにもぐり込んでいるだろう。仮に気合を入れて「かいもん」に乗ったとしても、熊本どころかはるばる鹿児島まで連れて行かれた自信がある

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コメント

ううむ、強者なりぃ\(◎o◎)/!
会社からの帰りに2駅ほど寝過ごし…という経験はあるけど、旅先で、しかも3連発はヽ〔゚Д゚〕丿スゴイとしか…
でも、旅の思い出…忘れられないですよね~( ´艸`)ムププ

投稿: と~まの夢 | 2013/05/16 14:11

いかさまさん、わたしは四国で急行あしずりを使って、阿波池田駅で夜行折り返しをしました。ウィド周遊券、良かったですよね。

投稿: キハ58 | 2013/05/16 22:08

>と~まの夢さん
いつもありがとうございます。
寝過ごしって、体力を消耗していて、かつ緊張感が緩んだ瞬間に起こりますよね。この旅行の時には、初めての長期間、しかも遠方の旅行で緊張していたはずなのですが、やはり夜行連泊で体力が落ちていたのだろうと思います。
「周遊券」という乗り放題を使っていて、予定が変わっても経済的な負担が少なかったのが救いですね。逆に、たからこそ緊張も緩んでいたのかもしれません(笑)

投稿: いかさま | 2013/05/18 22:39

>キハ58さん
いつもありがとうございます。
僕自身は「夜行返し」は、この時の「かいもん」が最初で最後の経験だったのですが、当時の同年代の仲間では結構多用していた方も多いですね。
末期の大垣夜行など、富士で「夜行返し」をしていたホームレスがいた、なんて話も聞きます。乗車券をどうしていたのかは知りませんが(笑)

投稿: いかさま | 2013/05/18 22:44

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