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2013/06/02

いかさまトラブラー【6】忘れ物・失くし物編(4)

最後に「忘れ物」というよりは「失くし物」の話をひとつ。

Pb074197舞台は海外、4年前、2009年の会社の海外研修でのことである。
ロンドンからパリまで「ユーロスター」で移動し、終着のパリ北駅で、現地在住の大学時代の後輩、S君と合流した。翌日のオフの過ごし方を打ち合わせるために駅構内のカフェに入った。そこで手帳がないことに気付いた

手帳といっても、出発前にダイソーで買ったメモ帳レベルのものだが、これまで50日に渡る旅で得た情報や、現地で知り合った一部の友人の連絡先も書き溜めてある。不注意と言うより他はなく、弁解の余地はない。私自身にとっても、旅の記憶はまだ鮮明に残っているからいいが、せっかく出会えた仲間たちと連絡が取れなくなるのはつらい

今回は日頃と違って「置き忘れた」意識は全くなく、「落とした」可能性が高い。かといって道端で落とせばさすがに気付くだろうし、荷物を出し入れ、あるいは上げ下ろししているときに落としたものと推定し、前後の行動から、紛失場所はロンドンのホテル、ホテル近くのバーバリーショップ、「ユーロスター」の車内のいずれかであると踏んだ。ただし、上着のポケットに入れて持ち歩いていた、という状況から、どこかで掏られた可能性も否定はできない。

まだホームに停まっていた「ユーロスター」に戻ろうとするが、ホーム入口の改札で止められる。国際列車である「ユーロスター」の車内に戻るには、「出国手続き」が必要なのだと言う。駅員に指示されて向かった出札窓口で事情を話すと、
「ユーロスターの忘れ物は、遺失物取扱所に届けられる。場所はパリ北駅か、セント・パンクラス駅の遺失物取扱所になる。」
と言い、連絡先を教えてくれた。

私たちはひとまずルーブル美術館に近いホテルに入り、そこからバーバリーショップと宿泊したホテルに電話する。しかし、どちらの答えも「それらしい遺失物はない」とのこと。
鉄道の遺失物取扱所については、電話での問い合わせは受け付けないとのことで、セントパンクラス駅へは、詳細を記したメールを送信して朗報を待つ。

パリ北駅の方へは、2日後の夕方、取引先訪問の帰路に訪ねた。
遺失物取扱所は広い駅構内の地下、やや奥まったところにあり、人通りも少なく薄暗い。カウンターには黒人の男性が二人。通常の状態だったら絶対に近づかない空間である。
白い眼でこちらをギロリと睨む黒人係員に英語で話しかけるが、こちらが下手なのか向こうが理解しないのか、通じている気配がない。ボディランゲージに、イラストまで駆使したところで、ようやく奥へ入りゴソゴソ探していたが、ほどなく戻ってきて「ノン」と一言。もう一度よく探せ、と言いかけて、四つの白い眼球に射すくめられたような気分になり、退散する。

ホテルに帰ってPCを開くと、セントパンクラス駅から丁重なメールが届いていた。
「お尋ねの品物は見つからなかった。もし見つかれば、すぐに連絡する」
私はどっと疲れを感じた。

結局、この手帳は見つかることなく今に至るのだが、この一件は私にいくつかの教訓をもたらした。
そのうちのひとつは、「大切な物の定位置は守る」ということである。
上着のポケットに入れていた手帳だが、本来の定位置はセカンドバッグのポケットであった。たまたまホテル出発前に、頼まれた買い物をすませるために、品番をメモした手帳を上着に移して出掛けたのだが、これをホテルに帰ってすぐ定位置に戻しておけば、この騒ぎには至らなかった。少なくとも、紛失場所はもっと絞り込むことができた。

そしてもうひとつ。
これまで何度も書いてきたとおり、私は英語が苦手である。研修を経ていくらか上達した感はあるが、ロンドンへ入ってキングス・イングリッシュとなり、ホテルのフロントのおばちゃんの早口など、聞き取れないが故にチェックインに10分近くを要するなど、いくらか自信を喪失しつつあった。
けれども、私はこの失くし物を捜索するために2か所へ電話をし、必死のやり取りで手帳の行方を探った。面と向かってならともかく、相手の表情も動きも見えない電話である。それでも私の英語はなんとか伝わったし、相手の早口も思った以上にスムースに聞き取ることができた。
学んだことの最後にして最大のひとつ、それは「必要に迫られると英語力はアップする」ということである。「火事場の馬鹿力」、まさにそのとおりである。

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コメント

言葉の分からないところでの
落し物、忘れ物、不測の事態…不安だし困りますね~
火事場の馬鹿力かぁ
と~まなら即諦めてたかもです(;ω;)

投稿: と~まの夢 | 2013/06/03 19:18

>と~まの夢さん
いつもありがとうございます。

まったくもってそのとおりです。言葉が通じないというだけでも十分不安なのですが、そこにトラブルがかぶさってくると、一瞬、泣きそうな気分になります。

そこで冷静さを取り戻すって大切ですよね。いかさま、意外と危機管理能力が高いのではないか、と自負しています(笑)

投稿: いかさま | 2013/06/05 00:58

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