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2013/08/06

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【5】壊れた行程、凹んだ心。

これまでの旅の経過は⇒こちら

Kansai004_2分刻みの行程表から40分の遅れを出した私は、大垣駅でこの先の進路について延々と悩んだ挙句、14時45分の揖斐行き電車に乗った。2両編成の電車は座席がさらりと埋まる乗り具合で、黄緑色の稲が広がる水田地帯を走っていく。いずこも同じだが、駅ごとに乗客が減って行き、15時09分着の揖斐に降り立ったのは、20人ほどであった。

Dscn2303駅前には2台のタクシーが客待ちしていた。私はそのうちの1台の運転手に声を掛けた。谷汲山から谷汲口駅へ向かうバスが通過する谷汲バス停までの所要時間を聞くと「10分から15分、運賃は3,000円弱」と言う。コミュニティバスの谷汲発は15時24分だから、一か八かの勝負である。
要するに大垣の駅頭で散々悩んだ挙句にどれひとつとして諦めることができなかった往生際の悪い私は、そのタクシーに乗り込んだ。

タクシーは揖斐川町の市街地を抜け、山道へと入っていく。舗装はされているものの、道幅も狭く曲がりくねっているから、タクシーのスピードは上がらない。時間は刻々と過ぎ、料金メーターはカチカチと上がっていく。私はふと、18年前、ラーメン屋に忘れたカメラを取り戻すために会津若松から喜多方までタクシーを走らせたときのことを思い出していた。

谷汲山門前の交差点の手前まで来たとき、正面から来たバスが交差点を左折していくのが見えた。どうやら私の乗るべき高科行きバスのようである。谷汲バス停でそのバスに追いつく夢は無情にも破れ、私の乗ったタクシーはさらに数百メートル前を走るバスを追走することになった。

Img_0727ようやく前を行くバスを抜き去った時には、谷汲口駅まであとわずか、と言う地点まで来てしまっている。あたりに何もない山の中で「ここでいいです」とタクシーを止める勇気のない私は、結局そのまま谷汲口駅まで運ばれることになった。時刻は15時30分、揖斐駅からの運賃は4,280円であった。

Dscn2306鳥羽の宿を出る前に食べた菓子パン以来固形物を口にしていないから、非常に腹が減っている。けれども谷汲口駅周辺に店は1軒もなく、駅自体も自販機が1台あるきりの無人駅である。私はその自販機で売っていたナタデココ入りのヨーグルトドリンクを一気に流し込み、15時48分発の樽見行き列車に乗り込んだ。

Dscn2312樽見鉄道は「根尾谷」と呼ばれる根尾川沿いの山間を走る。川は途中で大きく湾曲しており、列車は時々鉄橋で川を渡り、トンネルで山を抜ける。この辺りは1989年、旧国鉄樽見線が第三セクターの樽見鉄道に転換された以降に開通した区間であり、それなりにカーブは多いが線形は悪くない。

Dscn2309終点の樽見は、「うすずみふれあいプラザ」と名付けられたコミュニティスペースになっている。樹齢1500年を超えるエドヒガンザクラの古木「淡墨桜」のある公園への最寄り駅で、春の開花シーズンには行楽客で賑わう。
旧根尾村の中心に近いこともあり、駅から少し降りると小さいながらも市街地が形成されていた。私はそのうちの1軒の商店で菓子パンと飲み物を買い、近くにあったJAのATMで、タクシー代を払って心細くなった現金を追加した。

16時28分発の列車で、再び根尾谷に沿って大垣へと向かっていく。その車内、私はわざわざ大枚をはたいてまで乗りつぶしにこだわっていることが果たして正しいのかどうか、ひどく思い悩んだ。そのうちに、これは仕事を積み残してきた天罰に違いない、と考え始めた。
本巣辺りで根尾川と別れ、市街地が広がりはじめると、乗客が少しずつ増えてきた。大型ショッピングモール近くに新設されたモレラ岐阜からは立ち客も出て、車内は賑やかになったが、私ひとりだけはどんよりした気持ちのまま、約3時間ぶりに大垣駅へ舞い戻ることになった。

まだまだ続く。

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コメント

(^^)こんにちは
今回の記事と先の記事、目的が違えばのどかな鉄道沿線の旅になるのでしょうね
この時のいかさまさんの心持ちには申し訳ないのですが、いつかこちらに紹介されているところへ行ってみたいと、強く思いました

いつものように淡々と書かれていますが、きっとこの時のいかさまさんは、ほんと随分と気持ちがお疲れのようですね
いかさまさんが積み残されたお仕事、天罰が当たらないようにと同僚の方々がしっかりと後を引き受けて下さったのに、ネ

投稿: tutatyan | 2013/08/07 09:40

なじぇか、この後素敵な展開が待ってるような…
天罰なんてそうそうあるもんじゃないですもん
と、勝手に解釈して次回を待ってますね~
でも、計画が破たんした時の、がっくり感、分かりますぅ

投稿: と~まの夢 | 2013/08/07 11:16

計画どうりにいかなくってもいいじゃないですか
世の中まちがいだらけなんですもの
目標に向かって

投稿: 姉さん | 2013/08/07 21:43

>tutatyanさん
いつもありがとうございます。

いえいえ、この目的でも、とてもすばらしい列車の旅ですよ。
ぼんやりと景色を眺めながら、その時その時でいろいろなことに思いをはせたりするのはとてもいい時間です。

ただこの時は、さすがに参っていたようです。濃尾平野や根尾谷ののどかな風景を眺めつつも仕事のことを考える…。
意外と割り切り、転換が苦手なタイプのようです(苦笑)

投稿: いかさま | 2013/08/08 23:53

>と~まの夢さん
いつもありがとうございます。

このあと待っていた最大の素敵な展開は、例のbuzzっちさんとの濃厚な一夜だったりするわけですが(笑)
でも、ここから先は地域の特質なのでしょうね、鉄道だけではない風景もぽつらぽつらと出てくる…はずです。

投稿: いかさま | 2013/08/08 23:55

>姉さんさん
いつもありがとうございます。

なんとも心強いコメントをありがとうございます。
そうですよね。逆の立場になった時に、お返しができればいいのですから、ヘコんでばかりいても仕方がないですね。
まあヘコんでいても目標に向かって邁進はしているわけですが(笑)4000円も余計に使ったりして。

投稿: いかさま | 2013/08/08 23:58

こんばんは!
ごめんなさい、笑ってしまいました!
ちょうど別の記事で「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざを見たばかりで。
しかも、いかさまさんのそもそもの目的の「乗りつぶしの旅」までも揺らいでる!
も〜ツッコミ所満載すぎです。
「大枚をはたいてまで乗りつぶしにこだわっていることが、果たして正しいのか…」乗りつぶしは、こだわらないと意味がわからない趣味ですし、正しいのかどうかは…多分いかさまさん以外には正しくないと思われます…
けれど、駅舎や電車、風景写真は行ったことのない私にはとてもワクワクしますし、何よりいかさまさんの記事で今日の私はハッピーな気分で眠れます!
いや!次が楽しみで眠れないか!

投稿: ミナゾウ | 2013/08/09 22:25

>ミナゾウさん
いつもありがとうございます。

人生二兎を追って痛い目にあったのは一度や二度ではありませんが、何せ学習しないものですから、二兎どころか三兎でも追いにいったりするわけです(笑)。
普通の人からはどう考えても理解されないということは重々承知していますが、そこのところの可笑しさを楽しんでいただければ、と思います。
ぜひ引き続きお付き合いをよろしくお願いします。

投稿: いかさま | 2013/08/11 01:02

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