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2014/01/19

いま、JR北海道に起こっていること【1】

JR北海道が揺れている。

ニュースでも報道されているが、15日、1996年から2003年までJR北海道の第2代社長を務めた坂本眞一相談役が、余市港で遺体となって発見された。自殺の可能性が高いと伝えられている。
JR北海道では3年前の2011年9月にも、当時の中島尚俊社長が遺書を残して自殺しているから、これで2人目である。社長を務めた5人のうち2人が短期間の間に自ら命を絶つというこの一点だけでも、現在、JR北海道が置かれている異常な状況を示していると言える。

JR北海道における事故や不祥事がクローズアップされる契機となった出来事は、2011年5月27日に発生した、石勝線ニニウトンネル内での、特急「スーパーおおぞら」脱線炎上事故である。乗客の機微により、幸い死傷者は出なかったが、トンネルから引き出される、無残に焼け落ちたキハ283系の映像は全国ニュースでも流れたので、記憶に残っている方も多かろう。乗務員の危機対応のまずさも話題になった。

この事故によりJR北海道は国土交通省から事業改善命令を受けたが、事故から1か月あまりのちの7月、労働基準監督署により本社計画部門における時間外勤務の三六協定違反を指摘され、労働基準法違反による是正勧告 を受けた。中島元社長の自殺はこの2件が重なって起きたことによる心労が引き金であると見られており、残された遺書の中にもこの2件に関する記述があった。

本来ならこうした異常事態を受け、会社一丸となってこの危機を乗り切るべきところなのだが、残念なことにその後も車両の整備不良による事故が頻発した。中には、通常時だったらニュースにもならないようなものまで大きく報道されており、それについてはやや気の毒かと思われることもあるが、いずれにせよ、大小取り混ぜて車両・線路にかかわるトラブルが多く発生していることは事実である。

けれども、問題は車両整備だけにとどまらなかった。乗務員の「タルミ」と思われるような不祥事も多く報告されており、乗務中の読書、私用携帯電話の使用、居眠りなど。さらには運転士の覚せい剤使用(2013年7月29日)、ATS操作のミスを隠ぺいするために運転士がATSスイッチを破壊(同9月7日)など、呆れるような不祥事も発生している。

そして9月19日には、函館本線大沼駅構内で、貨物列車がポイント通過時に脱線 。事故を起こした列車はJR貨物の所属だが、線路の維持管理を行っているJR北海道に対し、国土交通省が特別保安検査に立ち入る事態となった。
調査の過程の中で、当該区間のレール幅が、基準を超えて広がっていたことが判明した。当初9か所とされていた基準値越えは、9月22日の記者会見で97か所と報告され、「これで全て」とされた規程違反の箇所数は、それからわずか3日後の25日には計267か所と訂正された。さらには保線データの組織ぐるみの改ざんが明るみに出るに至り、JR北海道に対する信頼が大きく揺らぐ事態となった。これまでに死者が出ていないのは不幸中の幸いである。

こうした一連の出来事を見る限り、JR北海道に同情する余地はない。ただ、これらの出来事の引き金となった要因については、メディアによってはかなり偏った、また表面だけしか見ていないと思われるような報道も多い。「リニアを建設する金があるのなら、JR東海にJR北海道を買わせればいい」と放言したトンチンカンな元首相もいたようだが、問題はもっとずっと根深く、複雑である。

私はただの鉄道好きで、このあたりの問題について豊富な資料を持ち合わせている専門家ではないが、だからこそ一連の事件に対し思うところも多々ある。ましてこの会社は、かつて私が就職を目指した会社のひとつでもある(滑ったが
次の機会以降に、私の思うところを少しずつまとめてみたいと思う。


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JR北海道経営問題」カテゴリの記事

コメント

JR九州には友人の息子さんが就職したし、JR西日本には
高校時代の友人が役員職でいます。分割しているとは
いえ、北海道よどうした?という気持ちでニュースなど
注目しているところです。 

投稿: ターコイズ | 2014/01/20 09:24

今晩はいかさま。
北海道JR素人目に不思議ですよね。
社長大変!
組織的な問題も大いにあるかと思います。
社長笛吹けど、社員踊らず!根が深いかな。
やはり国民の安全輸送を担う組織として、この際徹底的な組織の見直しが必要かなと思いました。
すいません、素人の個人的な独りよがりな意見ですけど、なにしとるんじゃ!ヽ(#゚Д゚)ノJR北海道!との思いが普遍的な感想だと思いました。

投稿: mitakeya | 2014/01/20 20:19

旧国鉄時代には、労働組合が目を見張らせていたのに、
分割してからは、誰も物言わなくなったのでこんな事態に
なったのでは?と考えています。
近頃の労働組合は、会社のいいなりになっているように見受けられます(何処の会社でも)
会社側は生産性重視、中高年は切り捨て御免、現場の人間は、泣いています
世の中あまりにも早すぎます

投稿: 姉さん | 2014/01/20 21:51

大変そうですよね。多分、かなり根深いですね。
そもそも、赤字路線。そうそうカンタンに、組織全体が良い方向へ回るのって難しいかも?って思ってしまいます。
JR東日本から、助っ人が行ってるようですが・・・焼け石に水かも。
ただ・・・『命』を預かる仕事なので・・・兎に角、『安全』だけは守られるように・・・意識&組織、人事など・・・改革してもらいたいものです。

投稿: ai | 2014/01/23 16:52

>ターコイズさん
いつもありがとうございます。お返事が遅れましてすみません。

こちらでも見ていて悲しくなってくるほど、これでもか、これでもかといろんな話が出て来ます。福知山線事故直後のJR西日本に対する報道を思い出させます。
ただ、本当に北海道だけの話なのか? これはもしかして氷山のほんの一角にすぎないのではないか、というような気はします。

投稿: いかさま | 2014/01/26 01:52

>mitakeyaさん
いつもありがとうございます。お返事が遅れましてすみません。

経営陣の責任が厳しく追及されていますね。組織の長である以上、責任はまぬかれないと思いますが、上層部の首のすげ替えではおそらく何も解決しませんね。
mitakeyaさんの言われるとおり、組織の風土・体制の抜本的な変換が不可欠だと思います。それができないのならば、せめて説明責任は果たしてほしかったですね。死者を鞭打つようで気分はよくありませんが、生きて原因の究明に当たるのが組織の長の最低限の責任ではないかと思います。

投稿: いかさま | 2014/01/26 01:56

>姉さんさん
いつもありがとうございます。お返事が遅れましてすみません。

問題の根源のひとつはまさにその組合問題だろうと思います。詳しい話はいずれ触れたいと思いますが、企業と組合の適切な距離感が保たれないと、組織の健全化は無理ですね。国鉄時代は逆に、組合の暴走と肥大化が国鉄を窮地に追い込んでいます。人命にかかわる事故も多発していました。破綻前のJALもそうでしたね。非常にバランスが必要な問題だと思います。

投稿: いかさま | 2014/01/26 02:02

>aiさん
いつもありがとうございます。お返事が遅れましてすみません。

JR北海道が鉄道本体で黒字になることは、国鉄分割前から不可能だとはっきりしていました。当然、そのためにいろいろな策が打たれたわけですが、そうしたものが機能していなかったことも、今回のことで明らかになったと考えざるを得ません。
鉄道事業にとって最大の課題である「安全」を担保するために必要なことは何か、ことJR北海道の問題に関していえば、出資者としての国の責任も問われていると思います。

投稿: いかさま | 2014/01/26 02:06

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