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2014/02/03

いま、JR北海道に起こっていること【3】

前回からかなり時間が開いてしまったが、もう一度、続き。


前回の最後で、私は、
「他の鉄道会社にもそうした病巣が目に見えない形で隠れており、何かのきっかけで一気に噴き出すのではないか。」
と書いた。それはこうした事故・不祥事がひとたび起こると、「実は以前にもこんなことがあった」というようなケースが続々と報道されるからである。そしてこれらは、きっかけとなった事故のはるか以前から、あまり一般市民の目に触れない形で、しかし実際に起こっていた事実ばかりである。

例えば今回の場合で言うと、9月の函館本線貨物列車脱線事故の現場でレール幅が基準を大きく超えて広がっていたことに端を発し、同様の状況が270か所で発生したことが明るみに出た。さらに保線データの改ざんがおこなわれていた、という事実が大きく報道されるに至り、全社の保線現場のおよそ4分の3に相当する33の保線部署で、最長20年以上にもわたってデータ改ざんがおこなわれていたことが判明している。

私が気にしているのは、これはひとりJR北海道だけの話なのか、という点である。

というのは、つい先日、図書館でぶらぶらと本を探している時に、たまたま手に取った本を見て衝撃を受けたからである。

JrJRのレールが危ない」というこの本は、2006年、JR西日本福知山線脱線事故の翌年に刊行された本である。
この本の中で、2000年から2006年までの間に、レールの継ぎ目破損や、レールそのものの破断が、北海道・東日本・東海・西日本の4社で計33件発生していることが明らかにされている。保線現場での合理化に伴い沿線の巡回頻度が少なくなっていることや、「手抜き保守」がおこなわれている実態、それを告発した下請け会社がJRから契約を破棄されたという出来事などが、綿々と描かれている。

取材がやや一方に偏っているきらいがあり、会社側と対峙する労働組合の影がちらつくように感じられるのはあまり気分のいいものではない。
また、私はプロではないから、ここに書かれているような保線の合理化が、適正の範疇を超えているかどうかを判断することはできない。国鉄時代に労働組合が強い権力を握ったことで、常識の範疇と思えるレベルの合理化すらままならず、職場の荒廃を招いたような例もある。

ただ、ここに書かれていることがある程度事実であるとすれば、JR北海道でおこなわれていた改ざんまでは至らないにしても、保線レベルの低下や危険事案に対する不十分な措置、場合によっては事実の隠ぺいなど、日本の鉄道が安全であるという神話を脅かすような病魔が、すでに全国各地に巣喰っている可能性もあるのではないか、と思えるのである。だとしたら、病根は私たちが考えている以上に、とてつもなく深い。


この話は今回でいったん休憩。



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コメント

どんな企業にも、いろんな問題があると思いますが・・・
安全に関することだけは・・・兎に角手を抜いたり、改ざんしたり・・・しないで地道にやってほしいなって思ってます。
ほんの少しのことをケチったばかりに、そのツケがとてつもなく大きく跳ね返って来ると言うことは、今迄、JR福知山線でもJALの御巣鷹山でも・・・何度も経験してきてることですよね。
横浜線の線路のすぐ横のマンションに住んでるので・・・保線の為に、沢山の作業員の方が、昼間も夜中も働いてるのを間近で見てるので・・・まさか・・・とは思いたいのですが。

投稿: ai | 2014/02/04 16:02

旧国鉄の動労とかの組合はひどいものでしたね。日教組なんかも北海道を含めてひどかったです。我が新潟県もまったく非常識な屁理屈をつけて、サボタージュが横行していました。同じサボタージュでも学校は表面化しませんが、鉄道はひどい事故になってしまいます。組織の中では個人は卑怯なほど弱いものですね。元社長2人を自殺させたのは紛れもなく組合という非常識な組織だと思っています。

投稿: ゆ~ | 2014/02/04 20:29

>aiさん
コメントありがとうございます。遅くなってしまって申し訳ありません。

おっしゃる通りだと思います。交通機関にとって最も大切なのは、スピードでも快適性でもなく、安全の確保ですよね。福知山線事故以来いくらか見直されてきた雰囲気はありますが、未だに外面だけを大事にしているのではないかという残念な感じがあります。

黙々と安全のために縁の下で働く方々の気持ちを無駄にしないでほしい、と感じています。

投稿: いかさま | 2014/02/16 05:44

>ゆ~さん
コメントありがとうございます。お返事が遅くなって申し訳ありません。

労働組合のあり方や会社側との接し方は、その会社それぞれだと思いますが、旧国鉄時代の組合などのように、首をかしげるようなものも多かったですね。
自身の生活を守るための組合活動は否定しませんが、本来の目的を逸脱して、企業の役割を放棄するような方向へ向かった結果、国鉄は組織ごと消滅させられました。
JR北海道の一連の事件の深層はわかりませんが、組合がそういう形に変質(あるいは先祖返り)していないことを祈ります。

投稿: いかさま | 2014/02/16 05:53

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