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2014/05/18

JR北海道の決算概況と今後のローカル線に関する考察

先ごろJR北海道が発表した2013年度の決算概況によると、江差線木古内-江差間の輸送密度は165人であったという。
この数字は1日1kmあたりの利用客数を表したものである。今から30年ほど前に当時の国鉄がローカル線の大幅な廃止を実施した際の基準のひとつとした数字で、江差線末端区間の場合、2012年度には50人であったから、皮肉なことに廃止決定が輸送状況を大幅に改善したことになる。

けれども、当時の国鉄が、公共性を勘案しても鉄道としての使命を終えていると判断した基準は輸送密度4,000人である。このとき国鉄から転換された第三セクター鉄道や、徹底的な合理化を進める地方民鉄を含めても、輸送密度1,000人を割り込むような路線はほぼ廃止となっている。つまり、鉄道ファンの存在は江差線末端区間の存在意義にとって、言葉は悪いが「焼け石に水」であったと言える。

JRの場合、鉄道としての採算が取れる輸送密度はおおむね8,000人以上とされているが、JR北海道全体としての2013年度の輸送密度は4,725人で、会社全体としても採算ベースには乗らない厳しい状況である。輸送密度8,000人を超える区間は、函館本線小樽-旭川、千歳線・室蘭本線白石-東室蘭・新千歳空港、札沼線桑園-北海道医療大学など、路線全体の13%に過ぎない。その一方で、500人を割り込む路線・区間は全体の38%も存在する。江差線末端区間を下回る区間も、札沼線北海道医療大学~新十津川(81人)、石勝線・新夕張~夕張(110人)、留萌本線・深川~増毛(149人)と3路線・区間を数える。

JR北海道の2013年度の鉄道運輸収入は、度重なる車両トラブルや事故を背景とした特急の減速運転や運休の影響により、前年度から約3%減少した。北海道新幹線の開業を2年後に控え、安全輸送の徹底や経営基盤の強化は不可欠の課題であるが、そうした流れの中で、これらの大幅赤字路線の整理に踏み出す可能性は否定できない

鉄道輸送はかつて産業の発展や街の活性化に大きな役割を果たしてきた。特に石勝線夕張支線は、夕張炭鉱からの石炭の積み出しになくてはならない存在だった。
けれども時代の変化は、そうした鉄道の役割を大きく変えた。石炭の斜陽化で貨物量は減少し、残った貨物輸送の多くは機動性の高いトラックにシフトした。旅客輸送の主力は近・中距離都市間移動と通勤・通学輸送になっている。地方では、その主力の通学輸送ですら、当時の想定をはるかに超えた過疎化と少子化の進行により、鉄道を必要としない量まで減少している。高齢者の通院には、車両や駅の構造上もダイヤ設定上も使いやすいとは言い難い。

昭和30年代から40年代にかけて、国はローカル線の建設を促進する一方で道路インフラの整備を推進してきた。そのことが自動車へのシフトと鉄道の斜陽化に拍車をかけたが、皮肉なことに、それによってバス転換に支障のあるようなところはほとんどなくなった。鉄道施設維持には鉄道会社が高額な費用を負担する必要があるが、一般道路を走行するバスならば負担は抑制できる。

そう考えた時、不採算鉄道路線のバス化は時代の流れであると言える。国が鉄道運営を放棄し、JRをはじめとする民間にそれを委ねたのであれば尚更である。鉄道ファンとしては寂しい思いであるが、それは厳然たる事実なのではないかと思う。


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