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2014/10/22

2014秋・東海道中乗りつぶし【5】岳南電車は「岳」の「南」だった。

続き。

Shizuoka 20140921011
 大井川鐵道井川線にめでたく乗り損ねた私は、東海道本線を東へと上り、9時13分着の吉原で下車した。製紙工場が密集する富士市。その東部に位置する吉原は、かつての大昭和製紙、現在の日本製紙の製造拠点のひとつであった。貨物列車用の引込線の跡が多く残っているが、現在、この駅で貨物扱いをおこなう列車はない。

20140921012_3  それを横目に見ながら3分ほど歩き、岳南電車の吉原駅へ移動する。
 吉原から弓なりに北方向へ9.2kmの路線を延ばす岳南電車は、沿線の工業地帯の貨物輸送と従業員輸送を目的に開業した鉄道である。輸送のトラックへのシフトと工場自体の規模縮小などもあり、2012年には定期貨物列車の運転を終了、細々残る旅客営業は、本体の岳南鉄道から、減量経営を目的に設立された子会社、岳南電車へと移管されるなど、苦しい経営が続いている。

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 9時20分発の岳南江尾行き電車は、15人ほどの乗客を乗せて発車。車両は、もと京王井の頭線の電車を改造した、たった1両の電車である。早朝・夜間の通勤時間帯に2両編成の電車も走るが、日中は全列車が単行運転である。
 2駅目の吉原本町で半分の乗客は下車。残る乗客も、日本製紙吉永工場の最寄駅、比奈までにすべて下車し、車内は空っぽになる。なんともひなびた感じの風情ある駅舎が残っているが、この駅に限らず、沿線では、夜になると駅舎や沿線の工場に無数の灯りがともり、すてきな夜景を楽しめるという。岳南電車沿線は、日本夜景遺産にも選定されている。

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 終点の岳南江尾までは約20分。製紙会社のストックヤードが近く、使われなくなった貨物列車用の側線が並んでいる。表に回っていると、駅前に出ると、旅客用の駅というよりは、貨物ヤードの真ん中にとってつけたように駅舎を置いてみた、という雰囲気である。駅の目の前を新幹線の高架が横切っているのも不思議な光景である。

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 岳南江尾駅からは電車で吉原へ戻る予定だったが、南へ3kmほど歩くと東海道本線の東田子の浦駅まで出られることがわかり、歩いてみることにした。
 駅周辺のわずかな住宅街を抜けると、すぐに水田地帯。ほどよく頭を垂れた褐色の稲田が広がり、コンバインがいたるところで音を立てて働いている。最近ではあまり見かけなくなった、収穫後の稲を天日乾燥する「はさ掛け」も至るところで見られる。
 振り返ると、青い空に浮かぶ雲の上から、雪のない富士山の頭がぽっこりと飛び出している。なるほど、富士山(「岳」)の南とは、お洒落なネーミングだと感心する。

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 ところどころ寄り道したり、トイレ休憩をしながら、東田子の浦駅まで1時間ほどかけてゆっくりと散歩。駅に着くと、毎時3本ほどの電車が行ったばかりだったこともあり、さらに5分ほど歩いて海岸へ出てみた。万葉集で山部赤人が詠んだ田子の浦のやや東に位置し、海岸線に沿って松林が広がっている。
 当初の予定では岳南電車に乗るのは夕方になるはずだった。仮にそうだとすれば、岳南江尾から東田子の浦まで散歩しようなどという気持ちにはならなかったはずで、真っ青な空の下、のんびりと海岸に佇んでいると、井川線に乗り損ねたことも決して悪くなかったように思えてきた

続く。


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コメント

歩く事が少なくなって、又鉄道の知識もない私・・・、
新しい体験みたいに、いかさまさんの 旅を
楽しんでいます。

投稿: マーチャン | 2014/10/22 09:12

>マーチャンさん
いつもありがとうございます。
ローカル線の乗り歩きでは、同じ区間を単純往復することが多いのですが、歩いて別の駅まで出られるときは、極力歩くようにしています。車窓とはまた違った風景を楽しむことができて、けっこう好きだったりします。

投稿: いかさま | 2014/10/26 21:11

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