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2014/11/09

種村直樹氏を悼む

Img_1469  ここ2週間ほど、公私にわたってバタバタと忙しく、なかなかブログの更新ができないでいた。
 その間、10月28日には上川地方に初雪が降り、塩狩峠は路面上も湿った雪で覆われた。月末から11月頭にかけては本州方面への出張、週が明けてからは夜のお付き合いも続き、帰宅後PCに向かうと眠くなる、という日が続いた。


 そうした中、ひとつのニュースが飛び込んできた。
 以前にも私のブログで取り上げた、私が鉄道の世界へアプローチするきっかけのひとつとなった、レイルウェイ・ライター種村直樹氏が、11月6日、亡くなられた。78歳。

Img_1513  1936年滋賀県大津市生まれ。京都大学法学部から毎日新聞社へと進み、高松、大阪、名古屋、東京で記者生活を送る。1973年退社し、「レイルウェイ・ライター」として独立、「鉄道ジャーナル」を中心に各種の雑誌で執筆活動を精力的に行った。


 「鉄道旅行術」や「汽車旅相談室」などの著書に代表されるように、鉄道の営業規則関係に詳しく、鉄道ハウツー本の旗手であった。また、一方で「気まぐれ列車」シリーズに代表される紀行では、読者とともに多人数での旅を楽しんだり、ゲーム性に富んだ汽車旅を考案、実践したりと、汽車旅の新たなスタイルを世に送り出していった。

 私もこうした著作に触発されて、鉄道の世界へ深々と入っていったひとりである。
 「鉄道旅行術」に感化され、最終頁に記された事務所の住所へ質問の手紙を送り、本人から直接返事をいただいたことに驚き、開封してそのあまりの悪筆に二度驚いた。

 年末になると、読者サークル「レイルウェイ・ライター友の会」の事務局からお誘いの手紙が届いた。読者との手紙のやり取り、そして直接対話、時には一緒に汽車旅をする、というスタイルは、ライターとしては非常に稀な存在であったと思うし、それだけに種村氏を身近な存在に感じた若者は多かったはずである。「友の会」の会員数は、一時1,000人を超えていた。

 私自身もその後、縁あって種村氏と何度か乗り歩きを共にさせていただいた。事務所へお邪魔したこともある。
 けれども、こうした読者の存在は、汽車旅の魅力を伝えてきたはずの種村氏の紀行文を、一部で「取り巻き旅」と称されたような、内輪での盛り上がり感の強い作風へと次第に変質させていった。ちょうど私が社会人になる時期と重なったこともあり、私は次第に種村氏やその著作と距離を置くようになった。「友の会」は自然退会となった。

 おそらく私は、種村氏との出会いがなければ、鉄道にこれほど深々と関わりあうこともなかったし、全線乗りつぶしなどという酔狂な趣味に走ることもなかったと思う。

 けれども一方で、その酔狂な趣味は、仕事に追われてともすれば無味乾燥になる私の生活の息抜きとして立派に機能している。そして、種村氏の存在がなければ、出会うことのなかったたくさんの友人たちがいる。
 ブログ仲間であり、種村氏を通じた古くからの友人であり、私よりもずっと種村氏に近いところで歩んでこられた落花生。さんも、ブログに追悼の文章を寄せておられる。

⇒「訃報:レイルウェイ・ライター種村直樹氏、逝去。」
  地球公務員 落花生。 再び(落花生。さんのブログ)

 私の手元に1枚の写真がある。札幌近郊、恵庭市に当時存在した「キリマンジャロ温泉」の露天風呂に浸かる、私と種村氏の写真である。時は1992年の夏。上半身裸なので公開は差し控えるが、この日は新千歳空港からいくつかの駅に降りながら札幌駅へ向かい、ビール園でジンギスカンを食し、駅近くのボーリング場で2ゲームほど投げた。懐かしい思い出である。

 お会いすることがなくなってから久しいが、恩師が亡くなったような寂しさを覚える。
 心からご冥福をお祈りしたい。


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コメント

訃報に接して以来、心に大きな穴が開いたようで、何とも寂しい気持ちになっています。
また、種村さんなくして今の私はないことは間違いなく、感謝の気持ちもいっぱいです。
そのうち、私もブログに記事を書くつもりですが、今はまだ整理がつかず…。

キリマンジャロ温泉やボウリング、懐かしいね。
初めてのぬるい温泉、特徴的な湯の色など、よく覚えてます。貴重な青春の1ページです。

思い出は尽きませんが、今はただ、安らかな眠りをお祈りします。

投稿: miyap | 2014/11/10 00:03

自分の人生に関わった、良い方との思い出ですね。
年を取るごとに人との別れが増えてきます。
寂しい事ですね~。
されど 
時間は何事もなかったかのように過ぎていく・・・。

投稿: マーチャン | 2014/11/10 09:28

>miyapさん
コメントありがとうございます。また、メールでのご連絡もありがとうございました。

最後に距離を置いてしまった私としては、やはり皆さんと同じようにお見送りをするのは非常におこがましいと感じ、あえて何もせず、遠くからご冥福をお祈りした次第です。
キリマンジャロ温泉のときはmiyapさんの計らいで同行させていただいたのですが、本当に楽しい思い出になりました。

投稿: いかさま | 2014/11/14 01:43

>マーチャンさん
いつもありがとうございます。
逢うは別れの始まりとはよくいったもので、悲しいことですがこうした場面はこの先どんどん増えていくように思います。それもまた運命ですね。
出会えたこと、思い出をつくれたこと、またその人を介して他にたくさんの人と出会えたこと。それを大切にしていくことが、お弔いになるのかな、などと感じたりします。

投稿: いかさま | 2014/11/14 01:46

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