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2014/12/07

「青い流れ星」の終焉~ブルートレイン「北斗星」廃止へ

02 先日、寝台特急「北斗星」が、来年3月のダイヤ改正をもって定期運転を終了すると報道された。3月以降は多客期の臨時列車として運転されるが、夏の行楽シーズン終了後の8月には完全廃止されるという。
 この件に関してJR東日本・JR北海道から正式なプレスリリースは出ていないが、報道の内容や状況を見る限り、ほぼ規定事実と考えてよさそうである。


 私は以前のブログでも、寝台特急の現状について触れた。
 ⇒「ブルートレイン」が死語になる日
 この記事を書いたときも、JR各社からのプレスリリースは出ていなかったが、上野-青森間「あけぼの」は報道どおり今年3月に廃止、「トワイライトエクスプレス」はこの報道より早く来年3月(2014年度末)での廃止が確定している。

20 青い客車を連ねた寝台特急が「ブルートレイン」と呼ばれるようになったのは1965年前後からとされているが、その系譜は1958年、東京-博多間の特急「あさかぜ」に導入された20系客車までさかのぼる。
 その2年前に運行を開始した「あさかぜ」は、当初旧型客車の寄せ集めで編成されていたにもかかわらず、大好評を博したことから、今後の国鉄のフラッグシップとなる寝台特急にふさわしい最高級の設備を持つ車両として製造されたのが20系である。

 20系客車はその後も増備されて、ダイヤ改正ごとに増発される寝台特急に続々と投入され、北海道・四国を除く日本全国を走った。その後、設備を改善して投入された寝台客車(14系・24系)も、青い車体に白い帯という塗色を引き継いだ。
 1970年代後半には「ブルートレインブーム」が訪れ、さまざまなグッズや書籍が発売される一方、通過駅で深夜に写真撮影をする小中学生の存在が社会問題にまでなった。

 しかしその時期は、新幹線の延伸や航空路線の発達により、寝台特急のビジネス輸送が激減していった時期と一致する。ブームが加熱する裏では、不採算列車の廃止・再編が進行し、国鉄が分割・民営化されると、地域輸送を重視する各社の思惑も絡んで、寝台特急を含む夜行列車の削減が加速した。

 こうした状況から、寝台特急用の「青い客車」の新製は1980年が最後となり、改造やリニューアルによって近代化が図られたものの、老朽化・陳腐化が著しい状態になっていた。2009年には「富士・はやぶさ」の廃止により東京駅からブルートレインが消滅し、上野発の列車も次々に削減され、今年3月「あけぼの」が廃止となった後は、「北斗星」が最後のブルートレインとなっている。

 今回の「北斗星」廃止も、乗客の減少と車両の老朽化が原因のひとつである。また、1年あまり後に控えた北海道新幹線の開業も大きな理由である。

 これも以前のブログで触れたが、北海道新幹線の青函トンネルは、既存在来線のトンネルを使用することになっている。新幹線が開業すると、高速の新幹線列車が頻繁に行き交う中を、在来線規格の貨物列車が間隙を縫うように走ることになる。大きな時速差のある列車が混在する区間のダイヤ構成は非常に難しく、加えて新幹線と貨物列車のすれ違い時に生じる風圧による事故の懸念もある。こうした状況下で、青函トンネルにブルートレインを走らせるだけのダイヤの余裕はなさそうである。

 加えて、現在交流20000Vで電化されている青函トンネルは、新幹線規格に合わせて25000Vに昇圧される。JR貨物はこれに対応する電気機関車を新製しているが、JR北海道では旅客列車用の機関車を新製する予定はない。

 それならばせめて北海道新幹線開業の再来年3月まで生き延びさせることはできないか、と考えるのがファンのせめてもの心理であるが、それも残念ながら難しい。

 青函トンネルでは新幹線開業に向けた工事がおおむね終了し、今日未明には、北海道新幹線H5系電車が初めて青函トンネルを試験走行した。この先、開業に向けた各種の試験をおこなうために、新幹線の試運転列車を走らせる時間や、列車の走らない時間を確保する必要があるためである。

 すでにJR北海道は、今年の年末年始に青函トンネルを通過する夜行列車を、年末年始に大幅運休することを発表している。特に12月29日~1月4日は、「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」「はまなす」と、すべての夜行列車が運休になる。
 ちょうど年末年始で貨物列車の運転本数も少なく、各種試験の時間が確保しやすいということもあるのだろうが、帰省客や旅行客でこの類の列車が日頃ないほどの賑わいを見せる数少ない時期でもあるにもかかわらず、こうした措置がとられること自体、夜行列車の果たす輸送ウェイトが小さいことの現われでもある。

 ブルートレインがこうした困難を乗り越えてでも採算性のある列車であれば、車両も新製されるだろうし、列車の存続も図られるのであろうが、残念ながらそこまでの需要も採算性もないというのが、現実の姿のようである。

 「青い流れ星」とも呼ばれ、鉄道ファンならず多くの人々の旅情をかきたててきたブルートレイン。50年を越えるその歴史の終焉へのカウントダウンがはじまった。



【参考記事】
 ⇒寝台特急の思い出【その1】 【その2】 【その3】




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コメント

ブルートレインではないけれど?
年末に帰省するとき上野のテント村で臨時列車を待っていた記憶があります。
今では夜行バスなのかな?

投稿: 姉さん | 2014/12/07 21:56

ほんと、寂しいですね。豪華寝台車だけではなく、リーズナブルな夜行列車も走らせてほしいですね。

投稿: キハ58 | 2014/12/08 23:50

こんにちは。ブルートレイン廃止ですね。
学生の頃を思い出します。あれって、狭くてなかなか寝付けなく、窓をちらみしては(* ̄ー ̄*)まだ夜が明けないなーなんて思い出ありますね。少し寂しい気持ちです。なんか違う形で再デビューすればいいのですけど。

投稿: mitakeya | 2014/12/09 10:36

こんにちは。
 
トワイライトに続いて北斗星も・・・と思うと ため息です。
 
高速移動だけが旅じゃないのに。
どこかでまた乗れないかと思ってますが
かなり厳しそうですね。

投稿: 花mame | 2014/12/09 14:46

>姉さんさん
いつもありがとうございます。
テント村、話に聞いたことがあります。年末や盆の帰省時期、ホームや改札の混乱を避けるために開設されていたそうですね。
帰省手段が多様化し、指定券の確保も比較的容易になった昨今では考えられない光景です。

投稿: いかさま | 2014/12/11 00:18

>キハ58さん
いつもありがとうございます。豪華寝台車もいいけれど、気軽に乗れる夜行列車の存在は、もはや多客期のほんのわずかなものになってしまいました。時代の流れといえばそれまでですが、寂しい話だと思います。

投稿: いかさま | 2014/12/11 00:19

>mitakeyaさん
いつもありがとうございます。
mitakeyaさんは九州ですから、ブルートレインを利用される機会も多かったのでしょうね。私などは熟睡できる性質ですが、一般の方はなかなか眠れなかったことでしょう。
今後は寝台列車は、ひとにぎりの特別な人々だけのためのものになってしまうのでしょうね。

投稿: いかさま | 2014/12/11 00:21

>花mameさん
コメントありがとうございます。
トワイライトエクスプレス・北斗星と、廃止の報道が相次ぎましたね。北海道は完全に新幹線モードに切り替わりつつあります。
こうなると「カシオペア」の動向も気になりますね。これがなくなると、東京・関西と札幌の直通手段が消滅することになるのですが、それも時代の流れと片付けられてしまうのでしょうね。

投稿: いかさま | 2014/12/11 00:24

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