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2015/06/07

かみかわ点描【8】鉄路の余生~美幸線とトロッコ王国(2)

 前回の続き。今回は鉄分多めで。


 前回記したように、美幸線の開業は1964年である。これは東海道新幹線が開業した年でもある。同級生の東海道新幹線は年々乗客数を増やして国土の骨格となった。
 一方の美幸線は、開業から常にお荷物扱いされ続けて、わずか21年で鉄道としての使命を終えた。当時の国鉄が単年度赤字決算に陥ったのも1964年度からである。輸送環境の変化に追随できず、さらに政治の流れに翻弄された国鉄は、その後一度も黒字化することなく、こちらも消滅した。


Dscn4700  廃止から今年で30年になる美幸線は、トロッコの運行区間を除けばレールを剝がされ、路盤も徐々に自然に還りつつある。けれども、まだ一部にはその遺構が残っており、並行している道道49号線からも見ることができる。写真は辺渓~仁宇布間で、道道から撮った橋梁の跡である。レールこそないが明らかに鉄道の橋とわかる風情である。


Dscn4667 Dscn4668
 トロッコ王国の玄関になっている仁宇布駅のホームは、当時のまま残されている。左手のトロッコ車庫や右手の駅舎は、王国整備時に新築された建物であり、往時の駅舎は残念がら現存しない。
 仁宇布駅は開通から廃止まで美幸線の終点であり続けたが、その先、北見枝幸方面に向かう線路の工事はかなり進捗していた。線路はホームから数百メートル先で途切れているが、路盤はさらにその先へと続いている。わずか21年で打ち捨てられた線路も哀れだが、列車が走ることなく捨て置かれた路盤も哀しみを誘う。


Dscn4669 Dscn4661
 その仁宇布駅のホームには、なぜか北海道を走った実績のない583系寝台電車が置かれている。かつては宿泊施設に使用されていたらしいが、すでに使われなくなって久しいようで、車体外板は塗装が剝げてボロボロになり、一部のガラスも割れて無残な姿を晒している。車内もまったく手入れされておらず、土やホコリがひどい。名車の末路としては、これもあまりに哀れである。きちんとした形で保存できないなら、潰してしまった方がいい
 子供たちに座席から寝台への転換の仕方なぞ教えてやろうと、動きの悪くなっているベッドに手を掛けた。天井から降りてきた中段寝台には無数に虫の死骸が転がっており、私も子供も揃ってギャッと声を上げた。

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コメント

国鉄・・・懐かしい言葉ですね。
以前 国鉄と口から出た時、友から今はJRだよ!、と。
笑われた事を思い出します。
私たちの年代は
エモンかけ・・・ハンガー。
自家用車・・・・マイ・カー。
国鉄・・・・・・JR。
思い出せませんのでこれくらいに。

投稿: マーチャン | 2015/06/08 08:03

いかさまさん こんばんは
一部とはいえトロッコで活用されている線路とは対照的に、朽ちゆく寝台列車とは哀しいものがありますね。
以前、住んでいたタイの国鉄に乗ったときも車窓から、朽ち果てていく車両がいくつか見えて哀しくなったのを思い出します。
保存するのも処分するのもお金がかかるのでほったらかしなのでしょうが、そうなる前になんとかしたいですね。

投稿: Khaaw | 2015/06/08 21:58

 マーチャンさん、いつもありがとうございます。
 「国鉄」という響きが過去のものになって久しいですね。さすがに最近では「国鉄」と失言することはなくなりましたが、それでもなぜか身近な響きに聞こえます。
 国鉄、電電、専売、三公社五現業などと言われましたが、すでにJR、NTT、JTの方が通りがよくなっていますね。JTなど、もはや煙草と塩以外の分野での活躍が目立ちます。昭和は遠く…ですね。

投稿: いかさま | 2015/06/14 22:02

 Khaawさん、いつもありがとうございます。
 いろいろ調べてみますと、国鉄末期に、廃車になった特急型車両がかなりの台数北海道に上陸したようです。分割民営化後の経営の厳しさが予測される北海道会社へ、改造の種車として譲渡されたようですが、大半がその目的を果たすことなく、こういう運命をたどったと言います。
 解体・処分にも金がかかることは十分理解していますが、なんとも先を見る目のないこと、と感じます。

投稿: いかさま | 2015/06/14 22:05

こんばんは!
ギャー!ですね。
おっしゃる通り、管理できない状態で見学OKって…ちょっと怖いです。
ふーむ…北海道は面白い所が多いですね。
「ヤリキレナイ川」も死ぬまでに行きたい場所にランクインです!
トロッコ運転も!

投稿: ミナゾウ | 2015/06/18 22:36

ミナゾウさん、いつもありがとうございます。
そういえばその観点を失念していました。管理できない状態で見学OK、ということは、万が一客がけがなどをした場合にどうするのでしょうか。寝台電車は可動部分も多く、手を挟んだりする危険性も高いですから、放置のままでは危ないでしょうね。

まだ見学可能なうちに北海道へぜひどうぞ(笑)

投稿: いかさま | 2015/06/20 19:06

きちんとした形で保存できないなら潰した方がましとの意見がありますが、塗装が剥がれたなら塗り直せますし、汚れただけなら掃除できますが、解体してしまっては元には戻せませんので、放置して修復できる何らかの機会を待つというのも手かと思います。何より、私たちは583系が現役だった時代を知っている、既に見たことがあるので、今更劣化した姿を見せられるくらいなら解体して欲しいとも思うかもしれませんが、583系が現役だった頃を知らない今後の世代からすれば、ボロボロの姿でも見られないよりは良いと思う人もいるでしょうからね。ただ、管理が行き届いていないにもかかわらず、立ち入りは許可するという点は確かに問題なのかもしれません。

投稿: | 2019/07/23 21:45

 匿名さん、コメントありがとうございます。
 日本やその地域を代表する車両を残してほしいと思う気持ちは私も変わらないのですが、保存すると決めた以上はその車両になにがしかの歴史的な文化財としての意味合いを見出しているのでしょうから、やはりちゃんとした形で残し、その果たしてきた役割を広く後世に伝えていくべきだと思います。
 保存は移動させて静置して終わりではなく、その後の手入れ、清掃、すべてを含めてしっかりとした保存計画、資金確保をおこなうのが大前提ではないかと思います。それができないのであれば車両に対しても失礼だと思えてしまうのです。

投稿: いかさま | 2019/07/29 01:55

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