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2015/10/12

JR北海道 普通列車を大幅削減へ

 少し前の話になるが、9月30日、JR北海道は、利用客の少ない列車と駅の見直しをおこなうと発表した。

 ⇒ JR北海道HP「ご利用の少ない列車や駅の見直しについて」


Dscn1181 今回の普通列車の運転本数削減の主因は、主力車両であるキハ40形ディーゼルカーの老朽化であるという。プレスリリースではご丁寧に腐食部分の写真を掲載しており、危機感を伝えているが、そもそもこんなになるまで放ってあったのかとむしろ愕然とする。


 鉄道としてのサービスをおこなうのであれば、それに必要な車両をしっかり確保し、安全な状態に整備して提供するのが当然である。問題のキハ40形は最も古いものでは車齢40年近くに達しており、路線の維持計画、運行本数の見直しなどをふまえ、更新を計画的に進めていくタイミングにあった。ローカル線の輸送実態から考えて、DMVの実用化まで新車投入を抑制する腹積もりだったのかもしれないが、それならそれで徹底的な車両整備、場合によっては延命工事を実施すべきであった。「車両が用意できないから本数を減らす」というのは、どう考えても本末転倒である。


 収益性の低い普通列車用の車両の投資を抑え、投資効果の高い都市間輸送用の特急用車両を優先させた会社の事情もわからないではないが、その特急用車両ですら整備を怠ってあの体たらくである。少なくともその部分に関する限り、JR北海道に同情の余地はない。


 一方、普通列車の削減対象区間については、ディーゼル車両による運転区間のうち、特に収益性の悪い区間と考えられ、対象路線で平均15%の列車本数を削減するという。
 以前の記事の中でもふれたとおり、JR北海道においては、1日当たりの輸送密度が500人を下回る区間が7線8区間存在するが、これらの路線を中心に、それ以外の区間でも日中の閑散時間帯の運転本数を削減するという形で実施されるものと推測される。

⇒ 参照 「JR北海道再生のための提言書」をめぐる動き【3】


 このうち、現在最も列車運転本数の少ないのは、札沼線浦臼-新十津川間である。北海道医療大学-浦臼間は1日下り7本、上り6本(この他に石狩当別までの区間列車が1往復)が運転されているが、浦臼-新十津川間はわずか3往復である。しかも、今回の列車削減により、この区間の運転本数はたったの1往復になるという。


Photo 私は以前、仕事の関係でこの付近の営業を担当しており、頻繁に往来したが、沿線は純然たる農業地帯で、道路の整備状況もよい。JAの倉庫群に埋もれるようにして存在する新十津川駅へも何度か足を運んだが、午後の列車の客は片手を超えたことはなく、ゼロという日もあった。路線そのものは札幌につながっているが、利便性が悪く直通旅客はほぼ皆無である。新十津川は滝川、月形は岩見沢へバスで出て函館本線を利用した方が圧倒的に便利である。


 この区間を含む札沼線北海道医療大学-新十津川間の輸送密度は81人。途中、石狩月形・浦臼までの区間運転の列車(下り5本、上り4本)を含め、1列車1km当たりに均すと6.9人となる。これだけの乗客を運ぶために、47.6kmの線路と信号設備が整備され、老朽化しているとはいえ専用の車両が2両用いられている。浦臼-新十津川間に限れば、輸送密度はもっと低くなると思われる。


 こうしてみれば、数字の上では3往復の列車が1往復に削減されても何の問題もないようにみえる。
 が、実際はそう簡単ではない。ローカル線の乗客は高齢者の通院と高校生の通学が大半を占めている。中でも通学需要がかなりの割合になるのだが、1日1往復の列車の運転を通学需要に一致させれば、数少ないとはいえそれ以外の需要は犠牲になり、その分輸送需要はさらに減少する。浦臼-新十津川間には1日4ないし5往復ではあるが、路線バスも並行しているから、転移先にも困らない。


 このような状況に至ってまで、わずか1往復とはいえ鉄道を維持しなければならない理由は何なのか。鉄道を重要なインフラと位置付けた沿線自治体の要望に応えたものなのだろうが、公共性が高いとはいえJR北海道は民間企業である。鶏と卵の関係になってしまうが、1日3本しか列車を走らせないから乗客が減るのか、乗客が減るから3本どころか1本しか走らせられないのか、そこはじっくり検証する必要がある。


 いずれにせよ、1往復の列車のためだけに鉄道会社が線路という私有物を維持していかなければならないのだとすれば不幸な話である。しかも以前に触れたように、そこから発生する赤字の大半は、実質的に国(=国民)によって補てんされているのである。
 そう考えれば、鉄道会社側はもう少し踏み込んで、運転を「休止」する形をとりつつ代替手段の提案をしても良かったような気がするし、自治体側も鉄道会社の協力を得て並行バス路線の拡充などを求めていくという考え方もあったように思う。


 道路が貧弱であった時代、鉄道はより確実な交通機関として、地域住民の生活を守った。しかし道路の拡幅や改良が進んだ現在、鉄道が運休となるような荒天時でもバスは普通に走っていたりする。一部区間の不通が広域に影響する鉄道よりもバスのほうが小回りが効くこともある。定時性に関しても、都市部以外ではそれほどの差はない。
 鉄道の存続を求めたのも地域住民だが、道路整備を求めたのもまた地域住民である。その結果として自動車の利便性が向上し、鉄道の利用が減少したのだとすれば、「二兎」を追い続けることが必ずしも得策だとは思えない。共倒れではなく、どちらかを重点的に活かす方法を考えることも必要なのではないか、と思うのである。



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JR北海道経営問題」カテゴリの記事

コメント

JR北海道は赤字で1日何本の路線が多く北海道新幹線開通時に第三セクター化される区間もあります。北海道では札幌近辺は黒字で運行本数も1時間に数本の路線が多いです。地下鉄もあります。現在の札幌市交通局を北海道交通局を発足させJR北海道の赤字路線を引き継いたらいいと思う。これなら公営だから採算が取れない路線でも税金が入り経営が出来る。本数も毎時1本確保出来る。

投稿: | 2015/10/21 19:05

無視できないほど需要が存在するのかはわからないですが、「浦臼~月形の移動需要」というのも考慮しなければならないとは思います。この区間は2003年にジェイ・アール北海道バスが撤退した時点でバス路線が分断(石狩新宮~石狩月形の区間が完全廃止)されており、「浦臼~新十津川と同時に石狩月形~浦臼も減便」となると、元の本数が少ないだけに大きな影響が出そうです。

投稿: | 2015/10/25 15:01

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