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2015/11/09

JR北海道の第2四半期決算発表とローカル線の動向

 11月6日、JR北海道は、平成27年度第2四半期(4月~9月)決算と通期業績予想を公表した。鉄道運輸収入は前年より6億円ほど好転、燃料価格の下落により動力費が5億円減少しているが、その一方で修繕費や減価償却費が増加し、第2四半期までの営業損益は150億円の赤字と、前年同期より8億円悪化した。通期予想でも482億円の赤字と、前年より92億円の大幅悪化を見込んでいる。

JR北海道プレスリリース「平成27年度第2四半期決算について」(PDF)


 この内容はJR北海道の苦境を直接的にも間接的にも伝えるものであるが、今回はさらに、これまでもたびたび報じられてきた、利用の極端に少ないローカル線の輸送実態について、輸送密度とあわせて営業係数の公表に踏み切っていることが特筆される。


 営業係数とは、各区間の営業費用を営業収入で割り、100円の営業収入をあげるのにどれだけの営業費用がかかるかを示した数値である。国鉄時代には毎年、すべての路線について公表されていたが、JR化以降は各社とも発表していない。雑誌「東洋経済」の鉄道特集などで、独自資料として時々取り上げられている。

Hokkaido

 地図は、北海道のJR各路線・区間を、輸送密度別に色分けしてみたものである。JR北海道のプレスリリースにも同様の地図があるが、もう少し区分を荒くしてみた。


 黒線で記された区間は、輸送密度8,000人以上の区間である。
 国鉄再建法の基準によれば、輸送密度8,000人以上の路線は「幹線系線区」として、独立で収支が合い償うとされている。事実、黒線の区間は札幌近郊輸送や都市間輸送により、安定した経営ができる水準と考えられるが、北海道全体に占める営業キロの割合では11%に過ぎない。


 青色で記された区間は、輸送密度4,000人~8,000人未満の区間で、国鉄再建法の基準では「地方交通線」に相当する水準である。収支的には採算割れだが、都市間・都市圏旅客輸送や貨物輸送で一定の需要が存在する区間である。江差線を除き、いずれも国鉄再建法の上では「幹線」に分類された路線であることは興味深い。


 オレンジ色と赤色で記された区間が、輸送密度4,000人未満の区間で、国鉄再建法の基準では「特定地方交通線」に相当し、廃止対象とされた区間である。
 また、赤色の区間は、輸送密度500人未満の区間で、今回、営業係数が公表された区間である。先頃廃止が伝えられた留萌本線・留萌-増毛間(輸送密度39人)は、営業係数4,161円とぶっちぎりのワースト1。以下、輸送密度ワースト6までの区間が、営業係数1,000円を超え、収入の10倍以上の費用がかかっている路線になる。


 いっぽう、赤字の「額」を見ると、宗谷本線・名寄-稚内(輸送密度405人)が、約22億円と突出して大きい。営業係数は543円と控えめだが、路線が長く、保線費用がかさむためである。
 先に挙げた留萌本線・留萌-増毛間の赤字額は約2億円で、実は深川-留萌間(輸送密度177人)よりも赤字額は小さい。根元の区間が生む赤字額は年間5億円を越える
このあたりが数字のマジックめいたところで、赤字幅の縮小だけを考えれば根元を先に廃止してしかるべきなのだが、もちろん、そんなことにはならない。留萌市が市民を対象に実施したアンケートでは、留萌-増毛間の廃止を容認する意見が約8割に達した一方、深川-留萌間の廃止を危惧する声も目立ったと、北海道新聞が報じている。


 こうした実態はプレスリリースとともに沿線自治体にも報告された。来春の減便ダイヤ改正への地ならしと考えられるが、一方でさらに先を見越し、廃止に向けたアドバルーンではないかと疑う向きもあるようである。
 ただ、理解しておきたいことは、仮にこれらの7路線10区間を全廃したとして、圧縮される赤字額は73億円。JR北海道の鉄道事業全体が生んだ赤字、415億円の18%弱に過ぎない。加えて、来春開業の北海道新幹線は、開業から当面、毎年約50億円の赤字を生むとされている。JR北海道の「選択と集中」はどこまでその効果を発揮するのか。不安である。

 

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コメント

異例の公表ですね。
"JR北海道の「選択と集中」はどこまでその効果を発揮するのか。不安である。"
私も同じ気持ちです。

投稿: キハ58 | 2015/11/10 22:12

 キハ58さん、いつもありがとうございます。
 まったくですね。経営陣にとっても非常に舵取りの厳しい局面だと思いますが、ここでの選択の誤りは北海道の公共交通機関のあり方を大きく変えるものになりかねません。慎重でありつつもドラスティックに取り組んで欲しいと願っています。

投稿: いかさま | 2015/11/11 22:16

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