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2015/12/06

2009年世界の旅【18】ボストン(16)迷走食生活・昼食編

前回の続き。これまでの経過は ⇒こちら。


 昼食については大学のカフェテリアで取ることがほとんどだった。カフェテリアはバイキング方式で、1回5.75ドル、当時のレートでは530円ほどで、自分の好きなものをたらふく飲み食いできる。ドミトリーで生活する学生の場合は、プランの中に昼食料金もセットになっている。味の方はともかく、種類が豊富だから、費用対効果としては抜群の昼食である。


 ただし、金曜日に限っては学校が午前授業で終了のため、自力で昼食を調達する必要がある。
 ニュートン・センターの駅前で謎のカツ丼を食べた翌週の金曜日、私は学校から帰ると洗濯物を袋に詰め、例によってタッパン・ストリートのコインランドリーへ出掛けた。フランさん宅の洗濯機は相変わらず故障したままであった。まだ昼食をとっていなかった私は、洗濯機が回る間、外へ出て食事の物色をした。


F1000054 ワシントン・スクエアの交差点を右に折れた所に、「MINATO SUSHI」と書かれた店を見つけた。ウィンドウに貼られたメニュー表を見るまでもなく、日本料理店だとわかる。私は反射的にその店のドアを押した。
 カウンターの他に、5、6卓のテーブルが置かれているだけの小さな店である。カウンター後ろの壁には、図鑑のごとく寿司の写真が並ぶポスターが貼られている。このポスターは前週の「Sapporo」でも見かけた。昼食時間を外れた店内では、たったひとり、東洋系と思われる先客がラーメンをずるずると啜っている。私は彼から少し離れた卓に、控えめに腰を下ろした。


 中国系の女性店員がやって来て注文を取る。日本語をしゃべる気配はなく、英語のイントネーションもどこかおかしい。私は、失敗したかな、という一抹の不安を抱きながら、8.9ドルと格安のうな重を注文した。
 ほどなく、店員が味噌汁を持ってきた。おそるおそる舐めてみると、普通に白味噌の味が口の中に広がる。出汁もほどよく効いている。具のラインナップにもおかしなところは見られない。私は安心して、2週間ぶりの味を堪能した。


 ところが、次に運ばれてきたうな重を見て、私は自分の不安が実は的中していたことを悟った。
うな重は確かに「重」に入っている。これは問題ない。ご飯の上にあの香ばしいうなぎが載っている配列も間違ってはいない。けれども、そのうなぎは、錦糸卵かと思うほど無残に解体されている。うなぎのバラバラ死体とご飯の間は、謎の海藻のようなもので区切られている。
 ひと口舌の上に乗せてみた。激しい後悔が私の脳を貫いた。口の中いっぱいに広がったのは、酢飯の味であった。


 腹が減っていた私は、不本意ながらもうな重もどきを完食し、一刻も早くこの店を立ち去ろうと立ち上がった。その時、カウンターの奥から寿司職人の格好をしたコックが出てきた。
 「オイシカッタデスカー?」
と聞く日本語のイントネーションは明らかに中国の方である。
 「ワタシ、ニホンデ、リョウリノシュギョウ、シテマシタ。」
と満面の笑みで彼は言った。修行してこの程度なら、他の料理を注文しても丙丁つけがたい状況だったであろう。


 私は苦笑しながら、社交辞令的に、どこで修業したのか、と尋ねてみた。彼は、
「フジノミヤ、デス。シッテマスカ? フジノミヤ?」
と言った。どうやら私が注文すべき料理は、うな重ではなく焼きそばだったらしい。



 延々と、続く。



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コメント

(* ̄0 ̄)ノo--no-おいしくないアルヨ!

投稿: mitakeya | 2015/12/07 17:19

爆笑しちゃいました
災難だったですね

投稿: 瑠璃 | 2015/12/07 22:49

 mitakeyaさん、ありがとうございます。
 うーん、なんでしょう。本当においしくないアルヨでした(笑)海外での日本料理は、ちゃんと事前に下調べしないと危険ですね。

投稿: いかさま | 2015/12/09 22:35

 瑠璃さん、ありがとうございます。
 このあともいろいろな日本料理店が出てきますが、これほどまでにトリッキーな体験をしたのはこの店が最初で最後ではないかと思います。ま、不安な店には近寄らなくなっただけなんですけど(笑)

投稿: いかさま | 2015/12/09 22:36

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