« 最後の急行、最後の定期客車列車「はまなす」に捧ぐ | トップページ | 43歳・初沖縄【4】「沖縄らしいもの」探し »

2016/03/27

北海道の鉄道新時代へ~北海道新幹線開業

 北海道新幹線・新青森-新函館北斗間148.8kmが開業、全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画が定められて以来43年を経て、北の大地に新幹線が足を踏み入れた。


 開業初日となった3月26日は、1番列車の発着を軸に、全国放送のテレビ番組でも華々しく取り上げられて、注目度の高さを示した。道内では午後から夕方にかけても特番を組んだ局もあった。ちょうど開幕を迎えたプロ野球では、北海道日本ハムファイターズがH5系カラーの限定ユニフォームで試合に臨んだ。


 新幹線そのものも、初日、2日目と目立ったトラブルもなく無事運行されたようでなによりである。その一方で、新函館北斗・新青森・東京発それぞれの始発列車を除くと、列車の座席には余裕があったようである。午後の下り列車では半分以上が空席の列車もあったと、一部新聞は報じている。北海道新幹線の想定平均乗車率は3割程度とされているが、開業初日からこの状況ではいかにも寂しい。


 北海道新幹線との並行区間となる江差線・五稜郭-木古内間37.8kmは、北海道と沿線市町村が出資する第三セクター「道南いさりび鉄道」に移管される。青函特急という大きな収入源を失い、運賃をJR時代のおよそ3割増しに引き上げてスタートするが、年間20億円を越える赤字運営が予想されている。
 自前の車両準備もままならず、JR北海道から有償譲渡されたキハ40形が輸送の任に当たる。特別保全工事が施されたとはいえ、車齢35年を超える年代ものの車両に依存せざるを得ないことも、厳しさを物語っている。


 そのキハ40形の老朽化は、譲渡元のJR北海道でより深刻になっており、3月26日のダイヤ改正以降、8路線で全体のおよそ17%の普通列車が削減される。札沼線新十津川駅は、唯一の発車列車が9時40分発と、日本一最終列車の早い駅になる。話題性は豊富だが路線の存在意義はないに等しい。
 今秋の廃止が伝えられている留萌本線・留萌-増毛間は、2月12日以降、雪崩の恐れがあるとして運休が続いている。春には運転再開の予定だが、雪崩対策ができない懐状態であることが察せられる。


 都市間輸送については、函館・新函館北斗-札幌間の特急「北斗」系統は新幹線に合わせて増発されたものの、それ以外の都市間輸送は現状維持の状態である。むしろ、割引きっぷの抜本的見直しにより損なわれた利便性がクローズアップされている。「『Sきっぷフォー』の廃止と指定料金の見直し」を取り上げて以降、このブログのアクセス件数も、それまでの2倍から3倍近くになっている。


 以前にも書いたとおり、北海道新幹線は年間50億円近い赤字を生むとされている。この赤字は、江差線の経営分離や全体的な費用圧縮などの合理化により吸収できるとされているが、それでも会社全体として400億円あまりの営業損失となる図式は変わらない。
 収益改善には、新幹線の乗客を道内各地へ運ぶための輸送体系強化や、魅力ある列車の創造などが不可欠だが、この経営状況下ではその投資もままならないであろう。


 北海道の鉄道の苦しい戦いは続く。それでも新幹線の延伸は、北海道の鉄道シーンを新しいステージへと踏み出させた。15年後、新幹線が札幌延長されると、北海道の鉄道はまた大きく変わる。それまでなんとか踏ん張ってもらうより仕方がない。




ランキング参加中です。みなさまの「クリック」が明日への糧になります。よろしかったら、ポチっとな
にほんブログ村 鉄道ブログへ にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ  鉄道コム

|

« 最後の急行、最後の定期客車列車「はまなす」に捧ぐ | トップページ | 43歳・初沖縄【4】「沖縄らしいもの」探し »

鉄道の旅人」カテゴリの記事

JR北海道経営問題」カテゴリの記事

コメント

去年の北陸新幹線開業と比べると、
なんか淋しいですね
北海道って魅力のあるところなのに・・・・

投稿: 姉さん | 2016/03/27 22:41

北海道が持っている「魅力」って、結局「そこへ行ってみたい」ではあっても、「そこに住みたい」ではないんですよね。だから、「新幹線ができて人口流出が激しくなった」とか、「ローカル線の廃止で沿線が寂れた」という報道を見ても、大して驚きはないです。

そういう地域が寂れているのは今に始まったことではないし、それを今まで放置して何の対策も取らなかったのはその自治体の落ち度です。自分では何もせず、「JRの企業努力が」などと抜かす人しかいないのなら、たとえ新幹線ができなくても、ローカル線が廃止されなくても、結局は廃れただろうな、と。むしろ、その程度で人口があっさり流出するのなら、それは単にその土地に魅力がないか、あっても十分にアピールできていないだけです。そこのところを道新さんもしっかり報道してほしいんですけどね。

投稿: 龍 | 2016/03/27 23:41

 姉さんさん、いつもありがとうございます。
 エリアの中心部にまで新幹線が乗り入れた北陸と、ようやく玄関口までやってきたばかりの北海道とを比較しては気の毒かもしれませんが、札幌や旭川などの住民があまりにもクールにとらえているのが気になります。どうやって新幹線の高架や恩恵を内陸にまで広げていけるか、課題は尽きません。

投稿: いかさま | 2016/03/29 23:26

 龍さん、いつもありがとうございます。
 ローカル線問題を考えるときにいつも思うことなのですが、一般論として、国鉄末期の特定地方交通線問題をすり抜けてJRとして残った路線ほど、地元自治体として同意かしていくかという意識が希薄であると感じます。鉄道に限らず、与えられたインフラをどう活用していくかを真剣に考えない自治体の衰退は著しいですね。
 並行在来線である道南いさりび鉄道の厳しさはもちろんですが、人口希薄な地域に設けられた奥津軽いまべつ・木古内の両駅、そして新幹線そのものも含め、評価は自治体や住民がこれをどう活用していったかにかかっていると思います。

投稿: いかさま | 2016/03/29 23:33

引き続きコメントさせていただきます。
北海道の方にとって北海道新幹線函館延伸はメリットあるんでしょうか?
北海道新幹線の赤字のために、北海道のその他の大部分の地域が合理化されて、駅はなくなる、普通列車はなくなる、特急列車はスピードダウン。
特にスピードダウンはひどいですね。
オホーツクまでスピードダウンとは理解に苦しみます。
北海道の人が道内で生活するのに不便になってしまう新幹線てどうなんでしょう?
北海道新幹線自体が赤字であるなら、新函館北斗までJR東日本にしておけばいいのに!
と思うのは、本州に住んでいるからでしょうか?

投稿: クロ381-11 | 2016/04/14 10:34

 クロ381-11さん、ありがとうございます。
 札幌、あるいは旭川に住んでいますと、北海道新幹線の新函館北斗開業のメリットを感じることはほとんどありません。そのあたりが盛り上がりに水をさす状況なのだと思います。
 駅廃止・普通列車削減・特急スピードダウンは私自身は北海道新幹線の開業とは直接の関係はないと思っていますが、一般的な見方としては新幹線のバーターとして犠牲にされたということになるのでしょうね。

 ただ、これまで利用客の減少を深刻な問題として捉えず、自治体も看過してきた中で、なお駅を維持せよ、普通列車の本数を守れというのは、どこか身勝手な気もします。早くに第三セクター化された路線の沿線のほうが利用促進のための動きは活発ですね。見習うべき点は多いように思います。

 先般のJR東海にJR北海道を救わせる話とも関係しますが、北海道新幹線はトンネルの経営をJR北海道が負っている以上、JR東日本にするというのはナンセンスだと思います。民間企業であるJR東日本が、赤字が確定している路線を引き受けなければならない理由もないと思います。

投稿: いかさま | 2016/04/15 01:13

民間企業であるJR東日本が赤字が確定している路線を引き受けるのは、、、という観点からいえば、東より経営基盤の弱いJR北海道が引き続き赤字路線を引き受け続ける、ことの方がナンセンスです。
突き詰めれば、青函トンネルをJR北海道管内ににしたことに問題があり、ほかのJRの区割りを含めた分割民営化、整備新幹線法などが現在の社会に沿ったものであるのか考える時期にきていると思います。

投稿: クロ381-11 | 2016/04/16 08:35

 クロ381-11さん、コメントありがとうございます。
 国鉄分割民営化に際しての区割りの仕方や経営安定基金の積み方、あるいは分割民営化という手法そのものなど、その段階で問題が少なからずあったであろうことについては私も同感です。
 しかし現実には、本州三社は完全民営化されてJR会社法の対象から外れた純民間会社になっています。ここに今から負の資産を負わせることは株主の同意なしにはできません。社会資本として高い公共性を持つ鉄道事業であったとしてもです。
 だとすれば現状のJR北海道がおかれている問題は、北海道で解決するしかありません。JR北海道の株主は国です。インフラとしてその重要性が認められるのであれば、JRに任せるだけでなく、別な運営形態も視野に入れて今後のあり方を国・地方自治体も含めて検討していく必要があると思います。

投稿: いかさま | 2016/04/18 02:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 北海道の鉄道新時代へ~北海道新幹線開業:

« 最後の急行、最後の定期客車列車「はまなす」に捧ぐ | トップページ | 43歳・初沖縄【4】「沖縄らしいもの」探し »