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2016/04/21

深刻さを増す北海道のローカル輸送

 北海道新幹線が開業した3月26日、北海道内の在来線でもダイヤ改正がおこなわれた。この改正で、非電化路線を中心としたローカル輸送に大ナタが振るわれ、一部区間で普通列車の本数が大幅に削減されたことは以前にも触れた。


 ⇒(参考)JR北海道 普通列車を大幅削減へ【2】    


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 この運転本数削減の主たる要因は、列車運行に供する車両の老朽化である。
 3月28日にプレスリリースされたJR北海道の「平成28年度事業運営の最重点事項」によると、平成28年3月末時点におけるJR北海道の普通列車用ディーゼルカーの保有車両数は205両。うち3分の2に相当する138両が車齢30年を越えたロートルである。
 この内訳は、1977年から製造されたキハ40形が128両、1978年に製造開始された51形客車を1994年以降ディーゼルカーに改造したキハ143形が10両となっている。キハ40形と同一グループの車両はまだ全国で見ることができるが、JR東海エリアでは今年の3月をもって全車両が一線を退いている。


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 この後に続くのがキハ54形28両である。ステンレスの車体からまだ新しさも感じられるが、国鉄分割民営化を前に北海道会社の経営基盤強化を目的に投入されてからすでに29年を経ており、来年には30年選手の仲間入りをする。ここまでで普通列車用車両の8割に達する。


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 これ以外の39両が、JR北海道発足以降に投入された車両で、富良野線・函館本線・室蘭本線などで走るキハ150形が27両、札幌近郊の通勤用車両キハ201系が12両となる。ただし最も新しいキハ201系でも製造は1996年。車齢は間もなく20年になる。全盛期の国鉄なら廃車が検討される時期である。
 こうした車両の老朽化に対し、JR北海道は2017年度から新造車両を投入しつつ代替廃車を進めていく計画であるが、取替えを要する車両数が多すぎて新造が追いつかない。地方の私鉄で行われているような中古車の購入も、酷寒の北海道に適した車両はない。老朽車両の故障が今以上に頻発するようになれば、今後も列車の本数を削減せざるを得ない状況になる。非常に厳しい。


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 同じプレスリリースの中では、各駅の利用状況の資料も添付されている。これによると、JR北海道全435駅のうち、1日平均の乗車人員が10人以下の駅が全体のほぼ3割、150駅もある。また、そのうちの51駅は、1日の平均乗車人員が1名以下である。なお、これらの数値の中に、3月25日限りで廃止となった8駅は含まれていない。
 地図上で見ると、廃止が取りざたされる留萌本線、運転本数大幅削減となった札沼線(北海道医療大学-新十津川)がひどいのは想定どおりだが、函館本線の大沼-長万部間や宗谷本線も相当にひどい。事実、私は仕事で宗谷本線の沿線を走る機会が多いが、こんなところから誰が列車に乗るんだろう、と首をかしげるような立地の駅が多い。


 「輸送」の公共性を考えたとき、そこに1人でも乗客がいれば、誰かが輸送の使命は負わねばならない。そういう見地からは鉄道路線や駅の安易な廃止は避けなければならないが、自治体の街づくりのビジョンもふまえ、今後も利用客の増加が見込めない路線や駅については、そのあり方をもう一度見直さなければならない。それをJR北海道1社に負わせるのは少々違うような気がする。
 経営の悪化に伴い安全をなおざりにしたJR北海道を厳しく指導することは、それはそれで必要なことだが、国はもう少し株主としての責任を感じ、今後の交通体系のあり方について沿線自治体やJRを交えた検討を主導してもよいのではないか、と思う。


 2016年度中の廃線が確定していた留萌本線・留萌-増毛間の最終運転日が今年12月4日になると北海道新聞は報じた。この区間は現在、雪崩の恐れがあるため運休となっているが、4月28日から運行を再開する予定である。ただし、残された時間はあと7か月あまり。留萌ー増毛間にとって最期のシーズンが間もなく始まる。




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JR北海道経営問題」カテゴリの記事

コメント

閑散路線車両の老朽化問題、他の所はどうなっているのか、と思って調べてみると、かなり極端な様ですね。
JR四国徳島エリアの1500型、姫新線のキハ122・127系、山陰本線のキハ121・126系等々、高性能な新型車両が入るところは何れも、地元自治体から多少なりとも支援が入っているようです。
一方、未だにキハ40系列を使い続けている所には補助が入っていない。

その点で考えると、北海道や各開発局、或いは自治体の姿勢はいかにも無責任に思われます。道としての北海道は、いつまで被害者の立場に立つのでしょうか?

投稿: nyaronx4 | 2016/04/23 12:49

 nyaronx4さん、コメントありがとうございます。
 これらの車両の導入には、輸送改善事業の実施とあわせて自治体の補助があったのですね。JR北海道では、宗谷本線の輸送力強化に道出資の第三セクターが設立されて、特急用車両の調達もおこなった事例がありますが、普通列車については省みられなかったのが実態です。
 当時の道や市町村が地域内輸送の重要性をどの程度認識していたかは微妙ですが、JRの減便要請・廃止申し入れなどの際の自治体の対応には私も多少の違和感を感じます。経営の合理化で費用を削減するのはJRの義務ですが、地元住民の利用を促進する方策は自治体が中心になって考えなければならない問題なのでしょうね。
 nyaronx4さんがご自身のブログで書かれている三江線の件もそうですが、地域の交通体系の方向性は自治体が責任を持って示さなければならないと思います。

投稿: いかさま | 2016/04/25 00:12

一応、石勝線・根室本線・宗谷本線の高速化工事は、沿線自治体や道庁も出資する第三セクター「北海道高速鉄道開発」が実施したんですよね。「スーパー宗谷」用のキハ261系(基本番台)も同社が所有して、JR北海道に貸し付けています。北海道でも自治体の援助がまったくないわけではありませんが、それでも不十分というところにJR北海道の厳しい事情が見てとれます。

特急用車両にしても、山陰地方のキハ187系のように、各県が資金を出して購入した例があります。JR北海道もこの方式で何とか車両購入費用を調達したいんですが、肝心の道庁が消極的となると、もはや為す術がありませんよね。そこのところ、もっと報道されてもいいと思うのですが。

函館本線の大沼~森間については、大沼公園以外の本線側の駅(姫川など)を全廃して、原則特急を本線経由、普通列車を渡島砂原経由にしてもいいと思います。まあ、配線や貨物列車などの兼ね合いもあるので、すんなりとはいかないでしょうけど。

「利用の少ない駅を廃止したら特急停車駅しか残らない」という区間もあるでしょうから、「普通列車の設定を特急が走らない時間帯に限定する」、「その線区内で完結する短距離利用限定で特急料金不要の特例を設定する」といった方法も取れると思います。

投稿: 龍 | 2016/04/25 01:03

 龍さん、いつもありがとうございます。
 北海道は広いということもありますが、その人口の集積の仕方が他の地域と比べても特異ですね。その結果としてJR北海道も都市間輸送にその軸足を置かざるを得ず、北海道からの支援もそこに集中したのだろうと思いますが、その都市間輸送もここ数年はジリ貧の状態が続いています。
 ご指摘のように今後は、都市間輸送の機能は維持しなければならないがローカル輸送はこのままでは維持できないという路線が増えていくことでしょう。相当の数の駅をそぎ落とした上で、「特急」「普通」という列車体系自体を見直さなければいけない場面が遠くない未来になるかもしれませんね。

投稿: いかさま | 2016/04/27 21:18

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