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2016/07/18

新幹線札幌駅考【その2】

 前回の続き。


 さて、現状のままでは新幹線を迎え入れることが困難な札幌駅だが、北海道新聞によると、JR北海道は、現在の1番・2番ホームを新幹線に転用した場合、北側の機回し線を活用して在来線ホーム1本を増設(計9本)しても、93本の在来線列車を削減しなければならないとしているという。

 ざっと数えた程度なので若干の誤差はご容赦願いたいが、現在札幌駅を発着する営業列車本数は1日645本(平日)。このうち札幌駅を挟んで通過運転する列車が253本、始発列車が199本、終着列車が193本ある。この列車本数を、現在5面10線で捌いている。ホーム1線あたりの列車本数は64.5本であり、この時点ですでに93本削減とは矛盾しているが、駅前後の配線による運行上の支障などもあり、一概には言い切れない。ただ、この試算が適切なのかどうかという点については、多くのマスコミが疑問を呈している。


 ここで多くのマスコミが引き合いに出すのが名鉄名古屋駅である。
 東は豊橋・常滑方面など、西は岐阜・犬山方面などからの路線が一本にまとまる要の場所にある名鉄名古屋駅の列車本数は1日上下合わせて800本を超える
 驚きはこの列車本数を3面2線、つまり上下各1本の線路と、それを挟んで設けられた3枚のホームですべて捌いていることである。ピーク時にはホーム1本1時間あたり30本近い電車が発着する計算になる。

 これは地下構造の関係からこれ以上駅の拡張ができない名鉄名古屋駅特有の事情もある。そうした事情と需給バランスを踏まえ、ほとんどの列車を通過運転とし、一部の始発・終着列車も、近接駅の折り返し線の活用により、通過運転列車同様の運行形態をとる。こうした工夫でこれだけ効率の高いホームの運用をできるというお手本であることは確かである。


 ただ、これをもって札幌駅と比較するのは少々乱暴かもしれない。天候の関係でダイヤが乱れやすい北海道特有の事情や、1日61往復の特急列車を始発・終着で運転しなければならない札幌駅の事情もある。

Sapporost  そこでもう少し実態が近い例として、JR東海名古屋駅と比較してみる。
 名古屋駅は、東海道本線の上り・下りと中央本線、関西本線の4方向に線路が広がる。函館本線の上り・下りと千歳線、学園都市線の4路線が入る札幌駅と構造的にも似通っている。
 在来線ホームは6面12線で札幌駅の2割増しだが、扱う列車の本数は875本(通過運転301本、始発284本、到着290本)と35%増しである。しかも中央・関西線のほぼすべての列車をはじめ、折り返し運転の比率が非常に高いにもかかわらず、ホーム1線あたりの列車本数は73本と、札幌駅より1割以上効率が良い。


 このことから考えると、構内配線の見直しをする必要はあろうが、在来線ホームを9線確保できれば、在来線の運転本数を削減せずに新幹線を現駅へ迎え入れることは十分可能と思う。仮にホームの増設を行わず8線に減少しても、現状折り返し列車の多い学園都市線と千歳線の直通運転を増やすことでホームの利用効率は上がる。
 さらに、直通運転を、学園都市線~江別・岩見沢方面と、手稲・小樽方面~千歳線という系統を中心にすれば、駅構内で本線をまたぐ「支障」が少なくなり、さらに効率は上がる。

 特急列車については、需要の点からも手稲・小樽方面への延長は非現実的だが、JR北海道が新幹線ホーム設置候補場所としている現駅西側や東側に折り返し列車用の引き上げ線を設けることで十分対応できるのではないかという気がする。


 新幹線を運営する側であるJR北海道の立場に立っても、新幹線は現在の駅にホームを設ける方が利便性が高まることは間違いない。一方で、安全対策実施のために国からの支援を得ているJR北海道にとって、「費用増」「安全性への懸念」を伴う施策を取りにくい状況であることも理解はできる。ただ、現状だけを見て、できない理由ばかりを並べ立てる姿勢には、当事者としての意識も能力も欠如しているように私には感じられる。そのことはたまらなく寂しい。




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JR北海道経営問題」カテゴリの記事

コメント

名鉄名古屋駅のダイヤ運行は神業です。
ただし、なにかトラブルがあるとめちゃくちゃになります。
名鉄は理由があれば必ず運行本数を減らし、理由にならない理由で(雨が少々強く降る、雪がちらつくなど)運行本数を減らすのが得意でしたが、最近少しトラブルが減少した気がします。

投稿: OKCHAN | 2016/07/19 15:46

名鉄沿線に住む者にとって新名古屋駅(名鉄名古屋はいまだになじめない)へ行く以外名鉄に乗ることはめったにありませんから、そうまでしても運行しているのでしょう。ただ、乗降時間短縮のため3ドア車(特急特別車以外)がほとんどとなってしまいパノラマカーに準じたゆったり座れるクロスシート車が減ったのが悲しいところです。とにかく名古屋に来たら名鉄の降車ホームで30分ほど佇むだけで楽しめると思います。昔は北アルプスの気動車もあったんですけどね。

投稿: かわうそくん | 2016/07/19 22:36

 OKCHANさん、コメントありがとうございます。
 あの限られたスペースの中であれだけの列車本数をこなすのですから、ダイヤが乱れた時にどうするのかは気になっていました。やはり本数を削る以外に方法はないのでしょうね。雪のない時期も含めて遅れが常態化しているJR北海道に同じ芸当は難しいでしょうから、やはり合わせ技で考えていく必要があるかと思います。

投稿: いかさま | 2016/07/21 22:05

 かわうそくんさん、コメントありがとうございます。
 私もJR沿線民でしたので名鉄利用は非常に限られていましたが、たまに名鉄名古屋駅のホームに立つと、あのあわただしさについていけなくなる気がします(笑)
 乗降時間の削減はこの駅構造からは必須条件ですね。ロングシート化だけでなく、降車ホームと乗車ホームの分離、乗車位置の区分の仕方など、隋所に工夫がみられるのが楽しいです。
 北アルプス、パノラマカー、パノラマDX、あるいはいもむしと、車両のバリエーションも楽しかったですが、名鉄に限らず最近は画一化が進んでいるのは残念ですね。

投稿: いかさま | 2016/07/21 22:10

札幌駅の構内配線図によると、現状ではそれぞれのホームに以下のような制約があることになります。なお、ここでの「不可能」とは、そもそも物理的に連絡していないことを指します。「本線を支障」したとしても、絶対に不可能という意味です。4〜7番線は全ての路線の発着に対応しています。

1番線:岩見沢・千歳方面への発車、学園都市線の発着が不可能。
2・3番線:学園都市線の発着が不可能。
8番線:手稲方面への発車が不可能。
9〜11番線:岩見沢・千歳方面からの到着、手稲方面への発車が不可能。

特に、9〜11番線は学園都市線にこそ連絡できるものの、それ以外は手稲方面から岩見沢・千歳方面へ抜ける一方通行で、かなり使いづらくなっています。1番線もほぼ岩見沢・千歳方面から手稲方面への一方通行でしか使えないことを考えると、かなり効率が悪いです。1・2番線を新幹線に転用する場合、まずはこの制約をできる限り解消することが必須条件になります。

投稿: 龍 | 2016/07/25 21:02

 龍さん、いつもありがとうございます。
 新幹線転用で問題が解消される1・2番線は別として、特に9から11番線は現状でも制約の多い配線ではありますね。完全にスルー運転ができる状況ならばともかく、一定の折り返し運転が必要になると考えれば、困難が伴うとは思いますが、少なくともなんらかの渡り線増設は不可欠かもしれませんね。
 その際には、札幌-白石間の複々線の有効利用も検討してみてはどうかと思います。

投稿: いかさま | 2016/07/28 00:01

この手の問題についていつも貨物列車が無視されているのはなぜなのか・・・

投稿: | 2016/10/08 23:42

 匿名さん、コメントありがとうございます。
 JR貨物は札幌駅をまたぐ区間の免許は有しておらず、通過する貨物列車は現在運転されていませんので、あえて検討材料から外しています。強いて言えば名古屋駅は貨物列車の本数も多いので検証よりなお厳しくなりますが、一方で通過用の中線もあり、影響はそれほど大きくないのではないかとも思います。

投稿: いかさま | 2016/10/10 19:25

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