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2016/09/22

2009年世界の旅【55】コミュータ航空でポート・アンジェルスヘ

これまでの経過は ⇒こちら。


 10月19日、月曜日。朝7時にホテルをチェックアウトし、ボーイング・フィールド(Boeing Field)空港へ向かう。これから視察のために向かうポートアンジェルス(Port Angels)への飛行機が出発する空港である。
 昨日の航空博物館訪問の際、空港の位置はだいたい把握しているので、公共交通機関で向かってもよかったのだが、またバスの乗り間違いでもしようものなら目も当てられない。私は大人しく昨夜のうちにタクシーを手配しておいた。


Pa203405  白いタクシーは、まだ薄暗い街を南に向かって快調に走り、20分ほどで空港に到着した。料金は20ドルほどである。
 正面に時計のついた小さな空港の建物は、どうかすると学校のように見える。入口に書かれている「KING COUNTY AIRPORT」、キング郡空港というのが正しい名前で、ボーイング・フィールドは通称らしい。


 ホテルのフロントのようなチェックインカウンターで、9時30分発、ケンモア・エア5160便の搭乗手続き。パスポートとEチケットを差し出し、荷物を預けるが、引換タグどころか搭乗券も渡されない。入口近くの小さな売店でパンとコーヒーを買い、窓際のカウンターに腰掛けて食べながら、本など読みつつ時間をつぶす。


 9時近くになり、「搭乗口」の案内に従って移動するが、セキュリティ・チェックのゲートもなく、搭乗待合室とおぼしき椅子の並んだ空間に突き当たった。わずかに3人ほどの客が物憂げに時間をつぶしている。滑走路に面した勝手口のようなドアに「BOARDING GATE」と書かれており、ドアの向こうに、セスナに毛が生えた程度の小型飛行機が並んでいるのが見えた。


 9時10分頃、手に紙切れを持った職員が現れて、ポート・アンジェルス行きの乗客は集まれ、と声を掛ける。集まった4人の乗客が各々名前を告げ、係員が乗客名簿らしき紙切れに何やら書き込む。これですべての手続きは終了である
 搭乗口から外を眺めていると、スーツケースを積んだ台車が、人手で引っ張られて、外に並んだ小型機のうち1台の脇にたどり着いた。飛行機の下部がぱかっと開いて、わずかばかりの荷物がそこへ積み込まれた。


Pa203408  係員の案内に従い、搭乗口を出て、滑走路をその小型機へ向かって歩く。右側後方の乗り口から、わずか4段のステップを上がって窮屈な機内へ入り、大柄なパイロットの出迎えを受ける。全部で9席の客席は自由席で、操縦席のすぐ右側後ろ、かぶりつきの席に座る。後からやって来て、右側の座席に座ろうとした乗客に、パイロットが反対側の席に移るように指示している。機体のバランスをとるためだろう。
 4名全員が着席すると、パイロットは操縦席にどっかと腰を下ろし、計器類のチェックをひととおり済ませると、こちらを振り向いていろいろと指示。シートベルトを装着しろ、と言っているのは理解できたが、それ以上は何を言っているのかわからない


 9時30分少し過ぎ、ゴロゴロと動き出した飛行機は、滑走路の中央にいったん鎮座すると、プロペラの轟音とともにやおらスピードを上げて離陸態勢に入った。ジェット機に慣れた身には、これで本当に離陸できるのか不安になる程度のスピードだが、わずかな助走距離で、機体はふわりと浮かびあがり、かなりの急角度で上昇を始めた。ジェットコースターが発車後にカクカクと高い所へ登っていく感覚にやや似ている。


 飛行機は上昇しながら大きく左傾斜してカーブを切り、今度は右へと進路を変えて大きく右に傾斜する。体が外側に大きく投げ出されるような感じになる。正面の景色が右へ、左へとふらふら揺れるのを見ると恐ろしくて仕方がない。目の前で操縦桿を握るパイロットの表情を窺うと、笑みを浮かべたまま、鼻歌でも歌いだしかねない上機嫌ぶりである。少なくとも落ちそうな雰囲気ではない。そう思うと多少落ち着いた気持ちにはなった。


 ようやく水平飛行に入ったかと思う間もなく、ぐっと下に沈み込むような感じで機体の高度が下がった。離陸からおよそ20分、正面に滑走路のアスファルトが見えてきた。滑走路以外には何も見えない。
 バウン、という感じで飛行機が滑走路に車輪を付ける直前、ようやく空港ターミナルが見える。この空港は、「ウィリアム・R・フェアチャイルド国際空港(William R. Fairchild International Airport)」という立派な名前を持っているが、その名に反して空港ターミナルはあまりに粗末で驚く。「Port Angeles International Airport」と屋根に仰々しく書かれているその建物は、どう見ても田舎の農協店舗か倉庫のような雰囲気である。


 空港には、現地視察先の日本人営業マン、Y氏が待っていてくれた。気楽に日本語で挨拶と名刺を交わし、Y氏の運転する車で視察先へ向かう途中、楽しいフライトだった、という話をすると、
「ここにお越しになる方は、大半、吐き気を催すほど揺れたと言いながら、ぐったりして降りてこられるんですよ。」
と目を丸くした。



 ※この航空路線は、収益性の問題から残念ながら2014年に廃止となったとのこと。


 延々と、続く。



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コメント

私は自衛隊のプロペラ機に乗ったことがあります。
(試乗体験)
眼下に関東平野が一望に見えてとてもよかったです。

投稿: 姉さん | 2016/09/22 22:12

二十数年前、グランドキャニオンに行ったときに乗った小型機のことを思い出しました。
私は日本人としては巨漢なので、同じく巨漢のパイロットに副操縦士の席に座るようにいわれました。
何やらいろいろ話しかけられ、後ろの乗客に自分のいっていることを伝えろ、といわれましたがほとんど分かりません。
適当に分かったことだけを伝えました。
操縦席の視界がとても狭いのに驚いたことを覚えています。
途中で眠くなったのでうたた寝したら、自分をそこまで信頼してくれてありがとう、といわれました。

投稿: OKCHAN | 2016/09/23 10:10

 姉さんさん、いつもありがとうございます。
 小型機というのはかなり揺れるというのが定説だそうですが、ただの移動手段だと思わず、乗っていること、見えてくるものを思いっきり楽しんでしまえば恐怖などなくなるように思えます。
 もっとも、たまたま私の乗った日が揺れが少なかっただけかもしれませんが(笑)。

投稿: いかさま | 2016/09/26 23:49

 OKCHANさん、コメントありがとうございます。
 副操縦士の席とは、これまた貴重な体験ですね。
 私も操縦席の窓が意外と小さく、視界がそれほど広くないことには驚きました。しかしそれ以上に、映像以外で飛行機が向かっていくその先の景色を眺めたことはありませんから、それがとても新鮮で楽しかったです。
 さすがに私は眠りませんでしたが、もう少し長い時間飛んでいたら、きっとパイロットの鼻歌に安心して居眠りくらいしたかもしれません(笑)

投稿: いかさま | 2016/09/26 23:52

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