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2016/10/02

ローカル線の行方【2】動き出した廃線問題

 8月、北海道を立て続けに襲った集中豪雨と台風の影響により、北海道内の鉄道路線網は道東方面を中心にズタズタに寸断された。石北本線・日高本線・石勝線・根室本線・釧網本線などで路盤流失があったほか、函館本線でも倒木による断線などの被害が出た。

 ⇒9/2時点での被害状況はこちら(JR北海道HP)

 このうち、函館本線は9月3日、釧網本線は9月16日に全線で運転を再開、路盤流失に加え作業用モーターカーの脱線など二次災害も発生していた石北本線も、10月1日から運転を再開した。
 一方、根室本線・富良野-新得-芽室、石勝線・トマム-新得については、路盤流失箇所数が多く、復旧は早くとも11月末とされている。札幌と釧路・帯広を結ぶ特急「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」計11往復は全便運休を余儀なくされている。

 また、日高本線については、9月16日に苫小牧-鵡川で運転再開しているが、鵡川-様似は2015年の高波被害以来運休が続いており、今回の一連の台風でもさらに路盤流失の被害が拡大している。この区間の復旧は最速で2019年度とされているが、最低でも30億円を超えるとされている復旧費用の負担、また復旧後の運営形態の在り方について、沿線自治体との協議が続いている状況である。

 つまり日高本線の末端区間は、JR北海道が7月29日のプレスリリース「持続可能な交通体系のあり方について」の中で示唆した、赤字ローカル線の運営形態の見直しを先取りして進めていることになる。
 見直し対象となる路線の公表は秋口とされていたが、台風被害の影響か、今日現在まだ公表には至っていない。しかし、全線を通じての輸送密度が298人/km/日(2014年度。災害発生前の数字)の日高本線が対象になるのは確実で、要するに今後の運行すら危ぶまれる路線の復旧にJR北海道として巨額の投資はできないということである。

Dscn1193  こうした状況の中、夕張市は、これまで閑散路線として公表されてきた石勝線(支線)・新夕張-夕張について、代替交通機関の整備と必要な人材の派遣などを条件に、見直し路線の公表を待たずに廃止を容認する姿勢を打ち出し、JR北海道も8月17日、廃止を正式に申し入れた。2019年春の廃止が予定されている。

 石勝線支線については、これまでにも水面下でJR北海道と夕張市の間で折衝がおこなわれていたのだろうが、対象区間がすべて夕張市内におさまっており夕張市単独で機敏に判断できたこと、その夕張市が財政再建団体で行政スリム化が喫緊の課題であったことなど、他線と比べて特異な環境ながら、JRからの廃止提案に先駆けて地域の公共輸送維持に向けた好条件を引き出した動きは評価されてよいと思う。


P7085844  このほか、北海道の事例ではないが、2014年度の輸送密度が50人/km/日と国内の鉄道路線でワースト1であったJR西日本・三江線(三次-江津)の2018年3月限りでの廃止も決定された。三江線の廃止は、利用客の減少と合わせ、近年の豪雨による自然災害リスクの増加が一因となっている。
 JR東海・名松線の家城-伊勢奥津は、豪雨災害による廃止提案から一転、自治体が治山・治水工事と今後の安全を担保することを条件に復旧させている。

 道路と違い一民間企業の単独インフラである鉄道は、道路と比べると復旧に時間も費用も掛かる。ここ数年北海道でも台風や前線の影響による豪雨災害が増加し、鉄道にも少なからず影響が出ている。日高本線や留萌本線の事例を考えると、今後の鉄道のあり方には、こうした要素も影響してくることが予想される。「災害や悪天候に強い鉄道」はもはや過去の存在なのだろうか



 続く、予定。

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コメント

宗谷本線の名寄〜稚内間に関しては、特急が停車する駅以外は利用者がほぼ皆無に等しいという惨状です。開業時から存在し、周囲の集落が減って秘境駅になった駅もありますが、多くの場合は仮乗降場として設置され、JR発足時に「仮乗降場」という区分がなくなったから「駅」を名乗っているだけの「名ばかり駅」です。普通列車も通過するんですから、よほどのことがない限り、残しておいても仕方がないです。

正直な話、宗谷本線の普通列車は、旭川〜名寄間、名寄〜音威子府間、幌延〜稚内間があれば十分な気がします(名寄〜音威子府間も微妙ですが)。1日平均乗車人数が0〜1人の駅は極力廃止して、そこの利用者は路線バスかデマンド交通(バスやタクシー)で特急停車駅まで送迎する方式にすれば、少なくとも今よりはマシになるかと。余計な駅を通過するので所要時間が短縮できます。特急が走らない時間帯は、なるべく送り込み運用の普通列車でカバーすればいいです。

特に現状では、旭川〜稚内間を直通する、もしくは名寄で乗り換えて旭川〜稚内間を連絡する列車の本数が少なすぎるので、そういった長距離を走る列車の本数を増やして、広域輸送に特化した方がいいと思います。これと関連して、宗谷本線・石北本線の特急用車両は今後、山陰本線のキハ187系のように、全て運転台付きの先頭車の形式を導入し、最少2〜3両編成、繁忙期は増結で対応するのが適しているかと。1列車あたりの編成を短くする代わりに本数を増やして、利便性を向上させることができます。これらの路線では、グリーン車の需要も小さいので、最悪モノクラスでもいいと思います。

投稿: 龍 | 2016/10/03 13:07

災害や悪天候に強いのは今や高架や地下鉄道くらいでしょうか。昔は保線要員もしっかり確保されていて、予算配分もされていたんでしょうけど、今は道路整備が進んで「鉄道じゃなくても・・・」クルマの時代になってしまったということですね。

投稿: かわうそくん | 2016/10/03 20:56

 龍さん、コメントありがとうございます。
 宗谷本線に限らず、札幌と一部の都市近郊を除くと道内の鉄道輸送は特急による都市間輸送需要にかなり依存していますね。函館本線や千歳線などの幹線にも1日の平均乗客は1人以下という駅が存在しています。おっしゃるように、幹である鉄道とその枝となる路線バスなどの代替交通機関を組み合わせて効率的な輸送体系を構築することは検討されてよいと思います。
 輸送密度の観点からすると、宗谷線の名寄以北などは今後の運営形態見直しの対象になる可能性が高いと考えられます。かろうじて輸送密度が1,000人を超える石北本線の上川-網走などもそうですが、駅廃止とのバーターで特急列車へのローカル客混乗、あるいは究極的には特急列車の料金体系そのものを見直すのも一案ではと思います。以前に述べたように、旭川以遠の特急列車は2両単位として、札幌―旭川間では2方向併結、または電車特急との併結・協調運転も検討されてもいいのではないかと考えています。

投稿: いかさま | 2016/10/05 22:36

 かわうそくんさん、コメントありがとうございます。
 昔は災害などに遭遇しても鉄道の復旧は驚くほど速かった印象がありますが、最近は圧倒的に道路の方が早いですね。先般の台風災害でも、富良野・トマム~芽室間の運休が続いている一方で、道東道や国道38号線はいち早く復旧・開通しました。石勝線側はともかく、根室本線の東鹿越-新得は運営形態見直しの対象になる可能性が高いため、このまま復旧に手を付けないのではないか、とうがった見方をしてしまいます。

投稿: いかさま | 2016/10/05 22:43

事実だけ並べてて草。
以前の「北海道の都市間輸送はどうなるのか?」っていう記事みたいに自分の意見バンバン盛り込んだほうが良いと思いますよ。

記事を書かれた方は、本当は鉄道が残ったらいいんだけど背景を考えると他交通機関との協議で最良の方法を模索するべきだ、という考えをお持ちですよね?(間違っていたら申し訳ない)
私は逆で、鉄道は廃線でも構わないけど背景を考えると~ というスタンスです。

上下分離方式では沿線自治体への負担が多く現実的ではありません。また道も「地方公共交通検討会議」にて出す金はないと明言しておりあてにできない。廃線ありきではないと言いつつも実際はバス転換が現実味を帯びています。バス運転手は不足していますが、そのバス協会も「廃線するならはよ協議会立ち上げれ」と発言している。

私は2020年までに輸送密度2000以下が廃線協議にかけられ何かしらの結論が出ると考えております。この2020という数字は第三回地方公共交通検討会議議事録が根拠となっており、これまでの議論まとめとして輸送密度2000以下という数字資料が出ています。よく小手先の方法で残そうとする方々いらっしゃいますが、JR北が発表する路線は、将来にわたって収益の改善が見込めない路線なのだと理解し認める必要があります。

投稿: | 2016/10/09 00:09

 匿名さん、コメントありがとうございます。
 私は鉄道ファンですので、鉄道が残ってくれるに越したことはありませんが、一方で地域の交通機関をより有効な形で残すためには鉄道にこだわる必要はないのではないか、と考えています。この問題についてはどうかすると責任の押し付け合いになる雰囲気がありますが、夕張市が素早く決断したことは、広い視点から今後の交通体系を検討する時間的猶予や、より良心的なJRからの支援の可能性を得た点において評価すべきものと思います。

 ひとつだけ申し上げておきます。
 今回のブログが事実だけを並べた中身であることは認めますが、その批判に「草」というようなネット用語を用いて否定されたことについては、大変不愉快に感じています。
 コメントの内容を見る限り、非常に勉強されていらっしゃるようですし、同意できる部分もあります。ブログに自分の意見を盛り込んだ方が、というご意見も傾聴には値しますが、それにしても冒頭の1行はあまりにも稚拙に感じます。ネット上のことではありますが、伝え方は他にもあるはずで、残念です。

投稿: いかさま | 2016/10/10 19:51

匿名で投稿したものです。

不快な思いをさせたこと、お詫び申し上げます。

交通インフラのような難しい問題は意見が食い違うことも多々あります。しかしその対話には最低限のマナーもあるという気持ちが欠けておりました。

投稿: | 2016/10/12 19:13

 匿名さん、わざわざお返事をありがとうございます。
 趣味の対象でありながら、一方で社会資本としての役割を果たさねばならない鉄道のあり方については、多様な意見があって当然だと思います。私自身もいろんな意見を伺ったりするのは楽しいと思っています。よろしければまたご意見を聞かせてください。できれば何らかのニックネームを付けて(笑)

投稿: いかさま | 2016/10/16 20:33

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