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2016/10/24

ローカル線の行方【3】日高本線 部分廃止へ

 10月22日、北海道新聞は1面トップで、JR日高本線の一部区間について、地元自治体が廃止容認を打ち出したと報じた。


 苫小牧-様似(146.5km)を結ぶ日高本線は、2015年1月、高波により厚賀-大狩部間で路盤が流出、その後も2015年から16年に相次いで襲来した台風の影響により、複数個所で路盤流出や鉄橋流失に見舞われた。鵡川-様似間は、2015年1月以降、一時的に一部区間が復旧したものの、運休となって現在に至っている。


 JR北海道がまとめたこの区間の復旧にかかる費用は最低38億円。特に1月の高波被害区間では、護岸対策・斜面対策で26億円を要するとされるが、これは復旧区間で25km/hの速度制限をかける前提での最低限の措置であり、完全復旧には50億円以上が必要であるとされている。


 JR北海道が先に発表した2014年度の路線別収支状況によると、日高本線の輸送密度は328人/km/日、営業係数は1,022で、赤字額はおよそ13億円にのぼる。JR北海道の年間鉄道営業収入の5%強に相当する費用をかけて最低限の復旧をしても、年間にJR北海道が生じる赤字(共通管理費を含まない)の5%強に相当する赤字を生み出すことにしかならない。


 JR北海道は早い段階から日高本線の復旧費用を単独で負担することは困難であるとして、国や道、沿線自治体による補助の必要性を訴えてきた。
 加えて、日高本線は、先日打ち出した「持続可能な交通体系のあり方」で触れられた、「JR単独で維持することが困難な線区」の対象となることは、輸送密度の点からもほぼ確実とみられる。今後も鉄道を維持し続けるためには、第三セクター化もしくは上下分離方式による運営などの経営見直しや、発生する赤字の補てんが不可欠になる。いずれにせよ、これらの負担は沿線自治体に重くのしかかる。


 沿線自治体はこれまで廃止反対の姿勢を崩してこなかったが、先日開催された地元出身の道議会議員と沿線自治体町長の非公式会談で、今後想定される経済的負担を考えた場合、鉄道廃止もやむなしとの認識で一致したという。11月に開催が予定されるJR・道との協議会の場で公式に表明し、バス代行に向けた具体的な条件協議に入るとしている。


 災害からの復旧費用という高いハードルがあったこともさることながら、このタイミングで沿線自治体が廃止に舵を切った背景には、いち早く廃線受け入れを表明した石勝線(夕張支線)と夕張市の動きがあったのではないかと思う。
 JR北海道は10月から社員を夕張市に派遣、今後の市内交通体系再編の企画立案に当たらせている。夕張市の要請をほぼ「丸呑み」したJR北海道の対応を見て、日高本線の沿線自治体も、よりよい条件での代替輸送機関の整備のために現実的な選択に舵を切ったと考えられる。


 ただ、その一方で、廃止区間をどうするかという課題は残る。沿線自治体の中でも、日高町などは、鵡川-日高門別間の運転再開を求めているとされ、必ずしも一枚岩ではない雰囲気である。一方、現在列車の運転が継続されている苫小牧-鵡川間も、利用状況から考えれば、JRが単独で今後も維持するとは思えない。まだまだ紆余曲折はあるだろう。


1991057 少なくとも日高門別以東の廃止はこれでほぼ確定したと言える。私は社会人になった当時、会社の研修で2か月ほど浦河町に滞在したことがあり、日高本線にもそれなりの思い入れはある。丘陵と海岸にはさまれ、時に放牧されるサラブレッドの姿を眺めながらのんびりと走った風景は、戻らない。



 続く、予定。


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JR北海道経営問題」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。そちらは雪の便りも聞かれずいぶん寒くなぅたでしょうね。
今日の新聞にはJR九州の株式上場のニュースが流れてましたが、土地柄により経営は厳しいものがあるのでしょうね。
それにしても鉄道によりる国土の連携は最低限必要だと思います。国策としても守るべき路線は大事にしていか無ければいけないと思います。難しい問題だとしてもみんなで考えないとね。

投稿: mitakeya | 2016/10/25 19:50

残念ですが、致し方ない面もあるのですね。
1986年頃、札幌から急行えりもで様似駅まで行ったのが懐かしいです!
広尾線へ国鉄バスがつながっていました・・・襟裳岬も歌の通り・・・でもあの最果て感が素敵でした^.^/

投稿: キハ58 | 2016/10/25 22:50

もう、主要線以外は全部廃止でいい。国防上、稚内・網走・根室は残していいと思うが。

投稿: AK | 2016/10/26 18:01

 mitakeyaさん、いつもありがとうございます。
 JR九州とJR北海道は、路線規模はほぼ同じながら、その輸送量は倍の開きがあります。また冬期間の除雪や、酷寒地での車両の痛みの早さなど、多くのハンデを背負っているのは事実です。
 国による支援の枠組み、地方自治体による利用促進策など、鉄道の存続のためには複合的な要素が絡み合います。関係するすべての人々がそれぞれに知恵を出し合って、最適解を出していくよりほかに方法はありませんね。

投稿: いかさま | 2016/10/28 22:19

 キハ58さん、いつもありがとうございます。
 日高本線に限らず、今回廃止検討されている区間の多くは、過去に急行列車が直通していたところですね。それだけ時代が変わり、利用状況も悪化したということなのでしょうが、寂しい限りです。この30年余りで1,500kmもの鉄道が北海道から消えました。次の30年が過ぎた時、果たしてどれだけの路線が残っているのでしょうか。

投稿: いかさま | 2016/10/28 22:29

 AKさん、コメントありがとうございます。
 突き詰めて考えていくとそういうことになるのでしょうが、その前に少ないとはいえ高校生・通院客など一定の利用者は存在するわけですから、鉄道にこだわらず代替交通手段の確保はしっかり検討されなければならないと思います。
 また、国防上必要だということであれば、それを民間企業(建前上ですが)のJR北海道だけに任せるのもどうかと思います。上下分離方式の片方の当事者が国であるなどの考え方も出てくるでしょうが、そうなるとそもそもなぜ分割民営化だったのか、という振り出しの疑問に戻ってしまいます。

投稿: いかさま | 2016/10/28 22:33

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