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2017/10/03

2009年世界の旅【81】ベルギー(2) がっかり名所のびっくりイベント

 これまでの経過は ⇒こちら。


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 退屈な小便小僧を眺めた私が踵を返しかけたところに、市の職員と思われる、作業着姿のおっさんが2人現れた。小僧を囲む柵を開けて中に入って行き、ひとりがしゃがみこんだ。直後に小僧の放っていた小便が止まったところをみると、ちょうどその辺りに水道の弁があるらしい。もうひとりの作業員は、小便小僧に向かって梯子を立てかけ、登っていった。何かをしている様子だが、背中に遮られて見えない。


Pb043991  作業員が梯子を降りると、姿を現した小便小僧は、何と赤い上着に紺色のズボンをまとい、ご丁寧に背中には水色のリュックサックまで背負っている。
 小便小僧といえば、常に全裸のイメージが非常に強いが、実はかなりの衣装持ちだそうである。衣装はグラン・プラスに面した「王の家(La Maison du Roi、市立博物館)」に保管されており、定期的にこうして着替えをさせてもらっているという。


Pb043979  見物客の姿が少しずつ増えている。作業員が小僧を旗のカーテンで隠す。近くにいた小柄な老紳士が、“もう少しここでお待ちなさい。この後、偉い人が来てセレモニーが行われますよ。”と教えてくれた。観客はさらに増え、テレビ局のクルーらしき一団も現れた。私はもうアントウェルペンはどうでもよくなった。


Pb043986  12時半になり、小僧の前の小さな交差点が人で埋め尽くされたころ、警察に囲まれて、町の偉い人と思われる一団が現れた。みな礼装に身を包んでいる。一団の中ほどにいる小太りの白髪の老紳士が中心人物らしい。彼が小僧を背に市民の前に立ち、演説を始めた。時々歓声とともに拍手が沸く。
 彼の演説が終わると、カウントダウンとともにカーテンが開かれ、先ほどの着飾った小便小僧が姿を現した。観客からひときわ高い歓声が上がる。除幕の祝いに、小便小僧が観衆へ向けて豪快に小便を放つと、観客は大喜びである。


Pb043976  誰からともなく合唱が始まった。何の歌かは全くわからない。しかし、町の偉い人らしき一団をはじめ、集まった観衆も声高らかに歌っているところを見ると、市や町の歌とか、「小便小僧の歌」といった、愛唱歌のようなものなのだろうと思う。ちょろちょろとしたたる小便が、歌のサビに合わせて何度も勢いよく飛んだ。


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 私はこの予期しなかったイベントを十分に堪能した後、チョコレートショップの店先で売っていたチョコバナナをかじりながら駅へ引き返し、13時40分発の列車でブリュッセル国際空港へと向かった。列車の側面をポップな落書きが無残に汚している。昨今日本でも同種の事件が報じられることが多いが、心無いことだ思う。


 ベネルクス三国としばしばひと括りにされるベルギーは、言語的にも地理的にもフランスとオランダの中間に位置しており、現在に至るまで文化の違いによる地域間対立が絶えないという話を取引先で聞いた。その一方で、欧州連合の主要機関がここを本部としているように、ブリュッセルという都市、あるいはベルギーという国そのものが、統合あるいは協調のシンボルであるとも言える。
 そうした緊張感の中にありながら、ベルギーと言う国は、グローテ・マルクトの夜、取引先との1日、そしてブリュッセルの喧騒と、私に不思議な安らぎを与えてくれた。私は、これまでほとんど印象のなかったベルギーと言う国がとてもいとおしくなった。


 空港の出発待合室ではテレビが放映されていた。そういえば今日の小便小僧にも、いくつかのテレビの取材クルーが来て、儀式の様子をカメラにおさめていた。私にはもはや見ることはできないが、この日のベルギーのTVニュースでは、儀式の模様とともに、カメラの前で口をポカンと開けて儀式を凝視する怪しげな東洋人の姿が映し出されたことであろう。




 延々と、続く。


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コメント

やはり??お見通しでしたか(;´▽`A``
何度となく以前から(コメントいただく前から)いかさまさんの旅行記にコメントしたいとチャレンジしたのですが…
私は海外には何度か行きましたが苦手でもう行ってません
日本の鉄道も全線鉄道制覇はおそらく??難しいと思うし(弱気)
そんな感じでなんてコメントして良いのやら…
でも小便小僧さん事なので意を決して(^-^;??ですごく緊張しています。しかも私の記事とてもお恥ずかしいレベルの内容ですがいかさまさんに見ていただけるなんて感激です(*´v゚*)ゞ
こちらこそ宜しくお願いします。長々御挨拶になりスミマセン。ベルギーの小便小僧さん最初あまりに可哀想でこんなにも待遇が違う??様子に一抹の寂しさがありましたが今回の記事拝見して安心しました!よかった~っ
いかさまさん記事上手すぎです本気で心配してしまいました(^-^;
でもそれすら知らずに過ごす私の方が寂しい人生でした
教えていただき本当にありがとうございましたm(_ _)m

投稿: ゆきぱんだ | 2017/10/04 01:56

おはようございますいかさま。
しょんべん小僧、何の変哲もないお地蔵さんみたいな感じでしたが、やはり地域の象徴みたいなものだったんですね。
洋服を着るとは知らんだった。 
しょんべんの勢いが・・・ぴひゃーーー
もこの年になると後引きするっごたっで、うらやましかー

投稿: mitakeya | 2017/10/04 07:09

名古屋のナナちゃん人形とおんなじだね。

投稿: かわうそくん | 2017/10/04 20:06

 ゆきぱんださん、コメントありがとうございます。
 そんなにまで思い続けていただいてなんだか赤面しちゃいますね(笑)。私のブログは少々マニアックで申し訳ないのですが、肩肘張らずに遊びに来ていただければ幸いです。
 小便小僧は「がっかり名所」などと言われていますが、こうして街の人々にとても愛されていることがよくわかりますね。そういうタイミングに居合わせられたことをとても幸運に思います。そうでなければ本当にがっかりして帰るところでした。名所には名所たる理由があるものなんですね。

投稿: いかさま | 2017/10/09 00:10

 mitakeyaさん、いつもありがとうございます。
 観光客としては、津々浦々の名所を一瞥しただけでその魅力を判断してしまうことが往々にしてありますが、こういう場面に居合わせないと分からないことは沢山あるものです。
 小僧の小便も、この場に居合わせなかったら常にチョロチョロと残尿のような状態だと思い続けていたはずです。まさか時にあんな勢いで飛ぶとは思いませんでした。
 弁をコントロールするだけで勢いを付けたり、ぴたりと止めたりできるなど、私もうらやましいです(笑)

投稿: いかさま | 2017/10/09 00:14

 かわうそくんさん、コメントありがとうございます。
 そういえばナナちゃん人形も、季節に合わせた装いを見せてくれていましたね。
 もっともあちらははるかに大きくて、若い頃、よく股の下で待ち合わせたものですが(笑)

投稿: いかさま | 2017/10/09 00:16

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