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2017/11/03

2017年秋 北陸・東海乗り歩き【5】 扇沢駅の名物ヒラ社員

これまでの経過は ⇒こちら


 明けて10月13日、金曜日。ちょうど6時に「竹乃家」を出る。残念なことに雨がしとしとと降っており、外は薄暗い。信濃大町駅前にあるバス営業所はちょうどシャッターを開けるところで、扇沢までの乗車券を購入する。他に客の姿はなかったが、発車時刻が近づくとぽつぽつと数人が集まってきた。


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 貸切バスタイプの扇沢行バスは、8人ほどの客を乗せて、6時15分、発車。先ほど散歩した駅前の商店街を通り、市街地を抜けて途中大町温泉郷に停まるが、この早朝に乗ってくる客はいない。大町温泉郷を過ぎるとにわかに山間へ入っていき、しずしずと進んでいく。所定40分のところ、5分ほど早い6時50分、関電トロリーバス扇沢駅に到着した。


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 今日これから辿るのは、立山黒部アルペンルートである。この扇沢から富山県側の富山地方鉄道立山駅まで、2本のトロリーバス、2本のケーブルカー、1本のロープウェイ、1本のバスで結んでいく。乗り鉄としての最大の目的はトロリーバスとケーブルカーであるが、途中にある有数の観光地も無視してスルーでは罰が当たる。この区間、いっさいの寄り道をしないで駆け抜けてしまえば最速3時間ほどであるが、私としては珍しく、中間で3時間ほどのバッファーを設けている。


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 扇沢駅にはすでに10人以上の客が、チケット売り場のオープンを待っていた。ここまで車で来たらしく、駐車場にはすでに車が止まっている。貸切バスの姿も何台か見える。皆登山風のいでたちで、いかにもその筋の人、という感じの客は私の他にはいない。7時にオープンした券売所で立山までの片道乗車券を求め、2階の改札へ上がる。ラッチ前にリュックを置いて順番取りをさせ、売店で求めたコーヒーを飲みながらしばしターミナル内を散歩する。


Dscn6571  7時20分頃になると改札前の列が伸び始めた。数十人が並んだ頃、駅員が弁当のワゴンを持って現れた。改札開始時刻の案内を兼ねつつ、改札までの数分間で弁当売りに精を出すこの人は、テレビなどでも紹介されて有名になった中里さん、ただのヒラ社員である。抑揚の少ないまくしたてるような軽い関西訛りの口調に、絶妙の間を挟みつつ、最後にはぼやきともとれるようなオチを決め、改札に並ぶ手持無沙汰な乗客たちの笑いを誘う。
 曰く、
「駅長さんとか呼ばれますけどね、ただのヒラ社員です。気楽でいいですよ。これ以上の降格はないですから。」
「トロリーバス、左右どっちが景色がいいか、よう聞かれます。どっちでもいいんです。ずっとトンネルですんで。


 朝から良質な漫談を聞いているような気分になるが、文字ではうまく伝わらないので、気になる方は現地を訪れるか、Youtubeで探していただければかなりの数アップされている。ちなみにこの日は5つほど売れたらしく、「昨日の始発は150人ほどいたんですけどねえ、ゼロだったんですよ」とまたぼやく。始発から発車のたびに繰り返すのだろうが、ご苦労なことだと思う。
 彼をキャラクターにしたストラップなどのグッズも発売されており、売上増やトロリーバスのアピールに少なからず貢献する優秀な社員だと思うが、ヒラ社員でなくなったら売りがなくなってしまうに違いない。本人は痛しかゆしというところだろうが、会社側はしめしめ、と思っているのではないか、と思う。



 続く。



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コメント

すっかり??いかさまさんの手の上でころがされている私ですが…今回は食いつかないぞ~って身構えて拝見させていただきましたが(゚ー゚;・・・結果これです。
駅長さんになれない??(;´▽`A``ヒラ駅員さん~??
知らなかった((・(ェ)・;))??
それもそのはず私が出没したのはとお~い昔で…
写真すら残っていないので
ヒラ駅員さんが間違って??駅長さんになる前に私もリベンジしなくては…ってまたこぼれ餌に食いついた飢えた魚(ぱんだ)です(^-^;続き楽しみですヽ(´▽`)/

投稿: ゆきぱんだ | 2017/11/03 07:05

私・・・この方の話、聞いています。
絶妙な笑いを作ってくれますよね。
職業を変えた方が良いのでは?。なんて、
思いましたよ。

投稿: マーチャン | 2017/11/03 07:40

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。
 この方、すでに3~4年前には居たそうですが、出勤日には毎日毎日これを繰り返しているのだと思うと、実に頭が下がる思いです。
 来年で姿を消す関電トンネルトロリーバスも併せて、扇沢駅を再訪するよい口実にはなるのではないでしょうか。

 いつまでゆきぱんださんが食い付く餌を投下し続けられるか、私にとっても大きなプレッシャーになってきました(汗)。

投稿: いかさま | 2017/11/10 00:07

 マーチャンさん、いつもありがとうございます。
 改札のために並んでいるという非常に退屈な時間を楽しい時間に変えてくれる、非常にありがたい方です(笑)。
 ここまでくると、ある種「話芸」の世界ですね。何度も繰り返すうちにどんどん練り上げられてきた、そんな気すらします。

投稿: いかさま | 2017/11/10 00:08

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