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2017/11/09

2017年秋 北陸・東海乗り歩き【6】 関電トンネルのトロリーバス

 これまでの経過は ⇒こちら


 さて、肝心のトロリーバスの話。


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 出発7分前、7時23分頃に改札が始まり、乗り場に上がると、バスにしては風貌のややいかつい3台のトロリーバスが天井のポールを上げて客を待っていた。先頭車両の最前部を確保して、運転席周辺を眺める。ハンドルがついてパッと見では普通のバスと大差はないが、インパネ部のメーター類がすっきりしており、その横に電車のような電圧計がついている。前方を眺めると、アスファルトの道路脇には鉄柱が立ち、上空にはものものしく架線が張られている。


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 7時30分、ほぼ座席が埋まる程度に客を乗せた2台のバスで発車。静かな走り出しである。架線の張られた上り坂の道路を右へカーブしていくと、ほどなく関電トンネルに入っていく。ここから終点の黒部ダムまでは、ずっとトンネルの中である。トンネルの幅は狭く、バス1台がやっと通れるほどしかない。レールの上を走る電車ならばともかく、架線付きとはいえ運転手のハンドル操作で走るトロリーバスでは、操作を誤ればバスの車体がいつトンネル壁に接触してもおかしくない。けれども運転士はこともなげに狭いトンネル内を、時速50kmほどで安定して走っていく。


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 関電トンネルは、黒部ダムの建設に伴う長野県側からの資材運搬経路として建設され、1958年に貫通した。私は地学に疎いので詳しいことはよくわからないが、地質的にきわめて厳しい工事となったそうで、中でも大破砕帯と呼ばれるところは、大量出水に見舞われる難工事区間であったという。白い蛍光灯にほんのりと照らされたトンネルの中で、一部分だけ青い光に照らされた区間が大破砕帯である。バスは何事もなかったかのように通過していくが、水たまりの残る舗装道路にその痕跡を残している。
 そこを越えると間もなく県境。長野県から富山県に入る。全長5.4kmのほぼ中間地点に設けられたバスの行き違い地点を、始発ゆえ行き違うバスもなく素通りする。


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 乗車時間およそ15分ほどで、終点、黒部ダム駅に到着する。ここもトンネルの中で、ダムや展望台へ行くためには220段の階段を上ることになる。階段の中間には湧き水の給水所があり、冷たい水でのどを潤すこともできるが、昨日の土合駅以来階段づいており、破裂するのではないかと思うほど足が張っている


 日本でのトロリーバス導入は、主として戦後の都市交通の場面で進んだ。路面電車と比較してレールがない分建設費用が安価に抑えられるためである。しかし自動車の普及が進むにつれて、架線下しか走行できないトロリーバスの存在は、路面電車同様に道路交通の障害となり、次々と姿を消していった。
 その一方で、ほぼ同じ時期に関電トンネルの観光客向け運行開始に当たってトロリーバスが採用されたのは、全線トンネルで国立公園内を走るため、排気ガス対策や環境への配慮が優先されたためである。専用道路のため、自家用車などへの配慮も必要ない。同様の理由で、もともと一般バスで運行されていた大観峰-室堂間の立山トンネルバスも、1996年の車両更新に際し、トロリーバス化されている。


 けれども関電トロリーバスは、2019年の車両更新に際し、トロリーバス方式をやめ、充電式電気バスへ切り替えることを選択した。背景には電気自動車の普及と技術向上が進んでおりバスへの導入に障害がなくなったこと、トロリーバスと比べ地上設備が大幅に簡略化でき運行経費も圧縮できることなどがある。


 以前にも書いたが、関電トンネルトロリーバスは鉄道事業法に基づく「無軌条電車」である。関西電力は8月28日、鉄道事業の廃止を北陸信越運輸局に届け出た。
 トロリーバスの運行は来年、平成30年がラストシーズンとなり、ラストイヤーキャンペーンと称して様々なイベントが行われるという。登山客中心の普段どおりのトロリーバスに接する最後のチャンスかもしれない、と思ったのが、今年ここまでわざわざ足を運んだ理由のひとつである。来年になるとその筋の人がわらわらと訪れてくるかもしれない、そう思うと気持ちが乗らなくなる。私が言うのもおかしな話であることは重々承知しているが


 ⇒≪参考≫関西電力によるプレスリリース


 続く。



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鉄道の旅人」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

いろいろお写真見ていると
子どもの頃 黒部に行った時の思い出が懐かしく甦ってきます。

そういえば少し前、某お散歩番組?で
黒部が取り上げられていてたまたま見ていたのですが、
テレビ見ながらいかさまさんを思い出しました(笑)

来年がラストイヤー…寂しいですね、なんだか。

投稿: アケ | 2017/11/10 00:15

すみません…いつも楽しく拝見させていただいたり
時には旅の参考にさせていただいてm(_ _)m
さらにはお言葉に甘えてコメントまでさせてもらっているのに(人><。)
いかさまさんのプレッシャーになるのは…
Σ(;・∀・)だめですね…(*_ _)人ゴメンナサイ

私のたわいないコメントは気にせずに
いつものいかさまさんワールドですすめて下さい。
それをとても楽しみにしてます
時々旅の参考にパクる??かもですが…(゚ー゚;

つづき楽しみにしてます(*^ー゚)b??これもプレッシャーですか????

投稿: ゆきぱんだ | 2017/11/10 10:25

以前乗った時は鉄道の単線同様、信号所みたいなところで行き違いをしていたのを思い出しました。シーズン中だと4、5台が連なって走るのでそれも面白いですね。

投稿: かわうそくん | 2017/11/10 19:39

先日、出張で訪れたジュネーブでは、普通のバスとともにトロリーバスも普通にあちらこちらに走っていました。やはり観光国として環境への配慮もあるのだと思います。
きちっと確認した訳ではないですが、込み入った交差点など、部分的にはパンタグラフを降ろして、自車の電池(?)で走行している区間もあるように思いました。

投稿: khaaw | 2017/11/11 08:56

 アケさん、いつもありがとうございます。
 某お散歩番組で取り上げられていたのは、私が出発する前週の土曜日でしたから、非常にタイムリーでした。普段だったら旅行前にあまり現地の予習はしないのですが、今回は珍しく、がっちり勉強してしまいました(笑)

 自分が訪れた場所を他の方のブログで目にしたり、体験を共有できると、なんだか楽しい気分になりますね。

投稿: いかさま | 2017/11/14 07:54

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。
 いえいえ、遠慮なさることはないのです。このプレッシャーが私をひと回りもふた回りも成長させていくのです(笑)。
 パクられるぐらいになったら私としても本望です。この程度の記事で参考にしていただけるものがあれば、どんどん活用してください。お返しに私もパクらせていただきますから(笑)

投稿: いかさま | 2017/11/14 07:57

 かわうそくんさん、いつもありがとうございます。
 中間地点では、始発・終発便以外だとトロリーバス同士の行き違いが体験できますね。単線の路面電車のようで楽しい光景だろうと想像しますが、始発便だと空いた時間に観光できるメリットがある反面、この楽しみは味わえませんでした。

投稿: いかさま | 2017/11/14 07:59

 Khaawさん、いつもありがとうございます。
 ヨーロッパの都市へ行くと、路面電車が市内交通として存分に活用されている姿をよく見ますが、トロリーバスも東欧圏を中心にかなり走っているようですね。環境対策にはかなり有効だと私も思うのですが、電気自動車の普及が進んでいったこの先、どうなっていくか、気にかかります。

投稿: いかさま | 2017/11/14 08:18

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