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2017/12/21

2017年秋 北陸・東海乗り歩き【19】 大井川鐵道のその先へ(2)

これまでの経過は ⇒こちら


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 千頭からは、「南アルプスあぷとライン」の愛称を持つ井川線でさらに先を目指す。ここから先は初乗車区間である。
 井川線ホームは駅改札を抜けて右手にあり、大井川本線ホームより1段低くなっている。9時12分発の井川行き列車は、運転席のついた客車を先頭に、5両の客車と1両の機関車をつないで発車を待っていた。黒部峡谷鉄道のトロッコよりはひとまわり大きいように感じるが、それでも小さな列車である。


Ooigawa  先頭車の最前列に席を取る。30席ほどの車内に私を含めて4人の客を乗せて、9時12分、発車する。この列車が千頭発始発列車である。井川線全区間を走破する列車は1日4往復しかない。井川からの上り列車も11時28分発が始発で、地元の足としては全く使えない。
 もともと大井川上流にある水力発電所の専用鉄道として開通した井川線の沿線にはそもそも民家が少なく、観光需要以外は見込めない。黒部峡谷鉄道によく似ている。



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 千頭の市街地を抜けて4分で、最初の停車駅、川根両国。機関車が待機する駅のホームは路面電車のように小さく、狭い。乗降客はなく発車。集落はすぐに途切れ、大井川と山に挟まれた貧弱な線路を走る。沢間土本川根小山と、小さな集落の中の駅に停まるが、やはり乗り降りはない。わずかな民家と茶畑だけが狭い平地に開けている。


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 いくらかまとまった集落のある奥泉は、寸又峡温泉方面とのバス接続駅。団体客が数十人乗り込んできた。しばらく走ると、大井川の右岸から左岸へ渡り、アプトいちしろに到着。列車はここで4分ほど停車し、最後尾のディーゼル機関車の後ろに電気機関車を連結する。ホームには乗客が降りてきて、競うように機関車が連結される瞬間を写真に収めている。


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 アプトいちしろの手前から接岨峡温泉までの区間は、1990年、ダム工事のため水没する旧線に代わって新設された区間である。アプトいちしろ-長島ダム間は特に勾配がきつく、一般の粘着式鉄道では運転できないため、「アプト式」で建設された。歯型のレールを機関車に取り付けた歯車が噛みながら走ることで急こう配を安全に上下する「ラック式鉄道」の一種である。井川線ではここだけ電化されており、連結された機関車はアプト式区間の専用補助機関車である。駅名や路線愛称の由来でもあり、機関車の側面にも模式化されたイラストが描かれている。


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 客車に乗っていると歯車が噛んでいる感覚はわかりにくいが、2本のレールの間にはしっかりとラックレールが敷かれており、きつい上り坂をゆっくりと走っていく。短いトンネルを抜けて、急カーブする大井川を再び渡って右岸へ移り、再び短いトンネルを抜けると、右手に長島ダムの威容が見える。さらにトンネルを抜けて、ダムを囲むように右カーブしながら走り、長島ダム駅に到着。ここで電気機関車とはお別れとなる。


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 天気の悪い川を行く船の姿が見えるひらんだを過ぎてトンネルをくぐると、大井川に架かる鉄橋を渡る。この付近は接阻湖と呼ばれる長島ダムの貯水池になっており、そこに突き出した陸地の上に奥大井湖上駅がある。鉄橋に挟まれてホームが設置されており、前方の鉄橋には歩道が併設されている。これが駅への出入口になるらしい。ホームでカメラを構えていた2人組が乗り込んでくる。


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 周辺に温泉宿が点在する接岨峡温泉、見たところ周囲に何もなく、駅自体もここが駅かと疑うほどの尾盛を過ぎると、列車は関の沢橋梁を渡る。川底からの高さは70.8m、現在日本の鉄道で最も高い鉄橋である。ゆるゆるとサービス停車した列車の窓からのぞき込むと、木々に囲まれた大井川水系の関の沢川の細い流れがはるか下にあり、吸い込まれそうな気分になる。


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 団体客が下車した閑蔵を過ぎるとさらに線路のカーブはきつくなり、大きく蛇行する大井川の姿が見えたり遠ざかったりする。断崖のわずかな平地を縫うように線路が敷かれており、災害によりしばしば不通になるのもわかる気がする。
 右手に巨大な井川ダムの姿が見えてくると、終点の井川。十数人の乗客がホームに降り立った。25.5kmを1時間47分、平均速度14.3kmは黒部峡谷鉄道よりも低い。それがこの路線が敷設された区間の急峻さを物語っている。年間3億円ともいわれる井川線の赤字は、線路の所有者である中部電力が補てんしている。そのことだけでもこの路線の性格はよくわかる。



 続く。

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コメント

自分も早朝に車で千頭駅に行って始発で井川駅に行き、バスで畑薙ダム近くの温泉に立ち寄り、帰りはバスの待ち時間に井川湖まで歩き、バスで井川に戻って列車で千頭まで往復した記憶があります。ちなみに井川から静岡行きのバスも昔はありましたね。

投稿: かわうそくん | 2017/12/21 18:58

井川線乗車達成おめでとうございます(゚▽゚*)

というものの初めて知りました(^-^;
良い感じのところですね…次々にいかさまさんの鉄道の
誘惑にはまって追っかけみたいになりそうです(汗)

でも断崖…??そういうの苦手なのでひとりじゃ行けないかも…(;´▽`A``写真見ただけでビビってしまう(泣)

投稿: ゆきぱんだ | 2017/12/24 23:53

 かわうそくんさん、いつもありがとうございます。
 井川周辺は、ここが静岡市内だとは思えないほどひっそりしたところですね。自主運行バスだけで動きが制限されて、なかなか観光する時間が取りにくいですが、列車の旅そのものが十分に観光要素にはなりうると思います。
 静岡への直行バスがあれば、またバラエティのある行程を組めたのでしょうが、残念でした。

投稿: いかさま | 2017/12/25 01:32

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。
 今回もゆきぱんださんの旅心を刺激できて光栄です(笑)
 井川線といい黒部峡谷鉄道と言い、今回はこういう山間を走る鉄道との縁が深い旅でしたが、急峻な山間を行く線路、掘りっぱなしの小さなトンネル、剥き出しの小さな客車、確かにちょっと恐怖感があるかもしれませんね。でもその先にはきっと楽しい風景があるはずですよ。

投稿: いかさま | 2017/12/25 01:40

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