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2018/03/22

2009年世界の旅【83】イギリス(2) ロンドン最大の市場へ

これまでの経過は ⇒こちら。


 私がロンドンを訪問した最大の目的は、イギリス最大の青果卸売市場である「ニュー・コヴェント・ガーデン(New Covent Garden)」を訪れることであった。青果市場の朝は早く、未明に各地から荷物が入って来て、夜明けには小売店へ向けて出発していく。一般市民も買い物のために入場できるようだが、物流拠点としての機能を観察するには早朝どころか未明から活動を開始しなければならない。


Pb054007  ロンドンへ到着したその深夜、午前2時頃ベッドを抜け出した。オックスフォード・ストリートへ出ると、深夜の通りはさすがに車の往来も少なくなっていたが、待つこと数分で通りかかったロンドンタクシーを捕まえて乗車した。後部のキャビンに向かい合わせで5人座ることができるから、私ひとりで乗る分にはすこぶる贅沢な空間になる。
 午前3時前の街の中を行き交う車は少なく、タクシーは闇の中を快調に飛ばした。走ること10分ほど、テムズ川にかかる大きな橋を渡り、右に折れたところでタクシーは止まった。分岐する側道の奥に大きく「NEW COVENT GARDEN MARKET」と書かれた行灯型の看板が光っている。


Pb054006  20ポンドほどの運賃を支払ってタクシーを降り、看板が光るゲート方向を目指す。ゲートは搬出入用のトラックの出入口らしいが、周囲に人間用の入口は見当たらない。私は、トラックの列が途切れるのを待って、ゲートに近づき、ボックスの中にいた係のおっさんに声を掛けた。日本から物流と包装の視察のために来た、と話すと、おっさんは
 “車の通りが多いから気をつけなよ。”
と中へ入れてくれた。一般市民は有料だとウェブサイトに書かれていたはずが、料金は取られなかった。私は中に入ってから揉めやしないかと一瞬気になったが、聞くのも面倒なのでそのまま謝意を表して中に入った。


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 線路と道路に囲まれた市場の敷地は広い。青果エリアと花きエリアに分かれており、まずは青果エリアから見学。市場内で働く人に話を聞きながら、敷地内をじっくりと視察して回った。前年訪れたフランスのランジス市場もそうだったが、日本の市場と異なりいわゆる「セリ」のシステムはなく、日本でいう仲卸業者との相対(あいたい)取引が基本である。私はそういった業者に怪しい英語で声を掛けて話を聞きながら、許しを得て写真を撮っていった。


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 青果棟を抜けて線路をくぐった先に花き棟があった。花き棟は今年4月に新築移転しているが、当時の花き棟は、イベント広場のような広いフロアにたくさんの仲卸業者が店開きをしていた。市場というよりもフリーマーケットのような雰囲気で、青果棟に比べると活気もない。花きが生活の一部に溶け込んでいるオランダの市場とはずいぶん違う。


 4時間ほどかけて場内を1周し、まだ日が昇りきらない朝7時過ぎに市場を出た。花き棟の裏手に「セインズベリー(Sainsbury)」というイギリス大手のスーパーが建っており、そちらの方へ向かって歩いていくと、自転車通路のようなところを通って、知らないうちに市場の外へ出た。どうやら歩行者の市場への出入りはフリーらしく、何やら拍子抜けである。市場内で誰かに咎められるようなことも全くなかったし、どうも仕組みがよくわからない。


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 ところで、ニュー・コヴェント・ガーデンは、もともと市内中心部にあったコヴェント・ガーデン市場が手狭になったために、1974年に移転開設された市場である。それまであった旧市場は、施設を大改装したうえで商業施設に生まれ変わった。
 翌日、旧市場を訪れてみると、ファッションから食品まで多様な店が並ぶ楽しいショッピングモールになっていた。平日午前だが賑わっており、大道芸人の姿も見える。建物の中央を貫く広い通路と高いアーチ屋根、間口の狭い店舗が並ぶ風情に、市場だった往時の空気をほんの少し感じられたような気がした。



 延々と、続く。


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コメント

すごい(゚▽゚*)師匠の本職だけあり
プロ目線の記事だけあり…こちらの路線も尊敬(゚ー゚)してしまいます。素人意見ですが市場って食の根源だから
私も多少携わる身からか??単なる食いしん坊なのか??活気のせいなのか??外国も日本もどこに行ってもワクワクしますねでも虫系は…長野出身ですが目を逸らしますが…(;´▽`A``

投稿: ゆきぱんだ | 2018/03/24 23:58

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。
 あまり正体は明かさないようにしているのですが、こういったところに少々かかわりのある仕事をしておりました。
 人が生きていくための根幹である「食」の集積地は、活気があって賑やかなところが多いですね。これが日本国内だと、早朝からの「セリ」でなおいっそう賑やかな雰囲気でした。最近は相対取引が増え、セリもシステム化が進んでいるようで往時の賑やかさがないのが多少寂しくもありますが。

投稿: いかさま | 2018/03/26 01:12

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