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2018/03/26

JR北海道「維持困難線区」は何処へ【1】

 3月23日、JR北海道と夕張市は、石勝線の通称「夕張支線」(新夕張-夕張、16.1km)について、2019年4月1日付で廃止することで合意した。


 夕張支線は、先にJR北海道が公表した「JR単独では維持困難な10路線13区間」のひとつである。夕張市はこれにいち早く反応し、地域の交通再編への協力などを求める見返りとして廃止に前向きな姿勢を示してきた。夕張支線の詳細については後日あらためてまとめようと思うが、維持困難区間のひとつである夕張支線の廃止が決定したことは今後の他の区間の協議への転機になる可能性がある。


 2月11日付北海道新聞によると、北海道は10日、道内鉄道網の在り方に関する検討をおこなってきた「鉄道ネットワークワーキングチーム・フォローアップ会議」の報告書を公表した。これまで個別の路線の存廃については判断しないというあいまいな姿勢を続けてきたことで批判を受けてきた道が、今後の路線の在り方についての判断をオープンにしたことで注目されている。

 ⇒報告書の内容はこちら。(北海道交通政策局)


 報告書は、個別各路線の実態をふまえ、かなり踏み込んだ内容になっている。問題の焦点は、それらの区間の処遇である。座長を務めた岸邦宏北大教授は、「鉄路の存廃を優先順位や勝ち負けでまとめるべきではない」という主旨のコメントを公表しているが、各区間ごとの「鉄道網の在り方」の結びの表現を見ると、夕張支線を除く12区間を、路線維持に向けた優先度を軸に、以下のとおり5段階に分類しているのがわかる。( )内の数字は2016年度の輸送密度である。


1.「維持に向けてさらに検討を進めるべき」区間
宗谷本線 名寄-稚内 183.2km(364人)
石北本線 新旭川-網走 234.0km(980人)

2.「地域における負担等も含めた検討・協議を進めながら路線の維持に最大限努めていく」区間

富良野線 富良野-旭川 54.8km(1,545人)
釧網本線 東釧路-網走 166.2km(463人)
根室本線 釧路-根室 135.4km(457人)

3.「地域における負担等も含めた検討・協議を進めながら路線の維持に努めていく」区間
根室本線 滝川-富良野 54.6km(432人)
日高本線 苫小牧-鵡川 30.5km(462人)
室蘭本線 沼ノ端-岩見沢 67.0km(477人)

4.「他の交通機関との代替も含め、地域における検討・協議を進めていく」区間
根室本線 富良野-新得 81.7km(154人)
留萌本線 深川-留萌 50.1km(188人)
日高本線 鵡川-様似 116.0km(186人 ※2014年度)

5.「バス転換も視野に、地域における検討・協議を進めていく」区間
札沼線  北海道医療大学-新十津川 47.6km(64人)


Photo_2  この分類の根拠については資料を仔細に見ないと判然としないが、単に輸送密度や営業損失に限らない視点から分類されている。つまり「色」がついているわけで、これに関しては賛否両論があろうかと思う。
 また、2.以下の10区間については「地域における負担等も含めた検討」をうたっているものの、財源の手当てや拠出元についての言及はない。報告書の言を裏返せば、「幹線交通として維持すべき区間ではないから道としては負担しない。必要ならば地域で負担するべきだ」と言っているようにも聞こえる。


 道は国と自治体とのパイプ役になって財政支援を要請する一方、自らもJRに対して、第三セクターを活用した車両・設備の更新などに一定の支援を行う考えを示している。財政の厳しい道としてはこれが精一杯だとのアピールのようにも受け取れるが、そもそも「維持」が困難だと言っている線区に対しての投資支援はナンセンスである。おそらく特急列車など都市間輸送への支援を念頭に置いての施策であって、維持困難線区への対応は相変わらず他人任せな雰囲気が透けて見える。


 2月27日にはJR北海道の島田社長以下幹部が道議会に招致された。議員からは経営責任の追及、地域との議論を深めろとの非難が十年一日のごとく繰り返され、果ては高規格道路の整備と経営悪化の因果関係であるとか、経営安定基金の取り崩しを求めたりであるとか、勉強も将来ビジョンも足りていないような質問が飛び出した。
 そこには当事者意識も何もない。ここで議論を交わしている道議のうち、地元まで鉄道で行き来している人がどれくらいいるのだろうか、と、新聞を読んでいてそんなことばかりが気になった。



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JR北海道経営問題」カテゴリの記事

コメント

とても難しい問題ですね…(;´▽`A``

良い解決策を願うばかりです(人><。)

長い冬の次は必ず春が来るので…(*^-^)

投稿: ゆきぱんだ | 2018/03/28 17:22

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。

 3月末でJR西日本の三江線も廃止になり、今回のダイヤ改正ではJR九州の大幅減便の話も大きくクローズアップされました。地方の在り方が変わって来たのに伴い、鉄道の役割も変化しつつあります。バスや飛行機と違い、運営会社が自前でインフラを整備していかなければいけない鉄道のあり方が問われる時代に来ていますね。

投稿: いかさま | 2018/03/30 00:36

JR北海道「維持困難線区」は何処へ【1~5】読みました.良く書けていると思います.地方鉄道,特に単線の県庁所在都市は,ママチャリ乗車の施策までは,衰退して行くと思います.ママチャリ乗車の通勤通学を実現すれば鉄道は復権すると思います.

投稿: 黒木正幸 | 2018/05/16 15:47

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