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2018/04/03

JR北海道「維持困難線区」は何処へ【2】石勝線[夕張支線]

Dscn1193  JR北海道が公表した維持困難線区10路線13区間の中で、いち早く廃線に舵を切ったのが石勝線の通称「夕張支線」、新夕張-夕張である。北海道の鉄道の中では比較的長い歴史を持つ部類に入るこの路線は、来年3月末限りで127年の歴史に幕を下ろすことが、先日地元自治体とJRの間で合意された。


Yuubari  夕張支線は、1892年に採炭を開始した夕張炭鉱の石炭を室蘭・小樽などの港を介して本州へ輸送するため、炭鉱の開発元である北海道炭礦鉄道(「北炭」。現在の北海道炭礦汽船)によって同年に開業された。
 夕張周辺ではその後も北炭及び三菱鉱業(のちの三菱石炭鉱業)により炭鉱の開発が進んだが、高度成長期以降のエネルギー政策転換や良質な海外炭の輸入増加、さらには頻発したガス爆発事故により、夕張炭は競争力を失っていく。1960年代からは炭鉱の閉山が相次ぎ、1990年の三菱南大夕張炭鉱を最後にすべての炭鉱が閉山し、小規模な採掘が細々とおこなわれるだけになっている。


 石炭産業が斜陽化する中、夕張市は採炭施設を買い取って観光施設化するなど、観光都市への脱皮を目指したがことごとく失敗。2006年に夕張市は財政再建団体となり事実上破綻した。人口の流出にも歯止めがかからず、1960年に116,908人に達した夕張市の人口は、2018年2月の段階では8,300人余りまで減少している。
 夕張支線は1990年の南大夕張炭鉱閉山で貨物輸送を廃止して旅客専用となり、炭鉱近くにあった夕張駅も二度の移転で市街地の手前、リゾートホテルに面する立地となった。だが沿線人口減少による旅客減は止まらず、2016年度の輸送密度はわずか80人/km/日となり、1日5往復の普通列車が走るだけとなっている。


 こうした状況を背景に、JRが維持困難線区を打ち出した際の夕張市の対応は素早かった。夕張支線の廃止は不可避と判断した夕張市は、具体的な線区の公表に先駆けて2016年8月から鉄道廃止を前提とした代替交通網の構築についてJRから派遣された社員を含めて協議を進めてきた。最終的には南清水沢地区に整備中の拠点複合施設の用地確保と7億5,000万円の拠出金を勝ち取って、夕張支線の廃線問題は決着を見ることになった。


 廃止区間にはこれまで並行する路線バスはなかったが、鉄道廃止後は夕張鉄道バスにより「南北軸路線バス」として、現在の鉄道の倍、10往復が運転される。沿線から外れた集落へは、デマンド交通やタクシー利用への補助などを活用したフィーダーサービスをおこない、最大限の利便性を確保する予定になっている。
 JRからの拠出金は、南北軸路線バスの初期整備と運行補助に充てられ、およそ20年間の運行を維持できるとしている。この条件は先に廃止になった江差線末端区間よりも好条件で、厚遇過ぎるとの批判もないわけではないが、JRにしても赤字解消の見込みのない路線についていち早く廃止に同意した所に対し、最大限の条件を提示するのは当たり前のことだと思う。夕張支線の赤字額は年間約1億6,000万円。廃止の時期が遅れればそれだけJRの台所事情も厳しさを増していく。


 夕張支線は、赤字解消が喫緊の課題であったJR北海道と、財政再建の途上にあって街自体をコンパクトにまとめていく必要性があった夕張市との利害が一致し、全区間が夕張市内に存在するため近隣自治体との調整や協議が必要なかったこともあって、迅速にこの問題に対応することができた。
 この勇気ある決断が夕張市の将来にとってどうだったのかは今後の展開を見ないと判断できないが、現時点を見る限り、少なくとも利便性向上の見通しもない鉄道にすがってズルズルと問題を引き延ばすよりはよほど良い決断なのではないか、と思える。


【参考】夕張市長による記者会見内容(30年2月20日・夕張市HP)



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コメント

JR北海道には知人のご子息がお勤めだし
その話題に知人となると…私も大好き北海道のことで…
難問すぎてつらいですね(;´д`)トホホ…

有望な青年が夢や希望に満ちた職場や将来が見出せる
世の中になることが一番なのでしょうけど…

投稿: ゆきぱんだ | 2018/04/04 11:27

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。
 広大な面積と厳しい気象条件のもとにある北海道は、産業や人口の構造を考えても将来、さらに厳しい状況になると思います。札幌への人口一極集中が進む中、旭川や帯広などの大都市も人口は減少傾向です。柱となる産業を失った町は厳しいですね。
 移住してメロンづくりなどどうですか?(笑)

投稿: いかさま | 2018/04/06 00:30

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