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2018/05/28

JR北海道「維持困難線区」は何処へ【7】石北本線(その3)

 ここまでの内容はこちら。⇒その1 その2


Dscn6202  札幌・旭川と北見という10万都市を結ぶ都市間輸送、旭川・北見近郊の都市圏輸送を担いながら、利用は低迷し、さらに貨物輸送という問題を抱える石北本線。地形に阻まれて線形が悪いうえに、中間の人口が希薄、冬期間の除雪に多くの費用を要するというハンデの部分も含め、現在のJR北海道の路線が置かれている状況を非常によく象徴している路線であると言える。


 先述した国土交通省の全国幹線旅客純流動調査(2010年)で、札幌-北見間とほぼ等距離にある札幌-函館間の流動を見てみると、鉄道37.3%、航空3.3%、バス2.4%、自動車57.0%となっている。鉄道のシェアは1995年と比べて倍以上に増えている。JR北海道が「スーパー北斗」の運転を開始し、高速化と増発による攻勢に出た時期で、同じ時期に虻田洞爺湖から八雲まで順次高速道路が延伸されたにもかかわらず自動車のシェアが減少傾向にあることは興味深い。
 現時点では高速道路がさらに大沼公園まで延伸される一方、鉄道は当時と比べてスピードダウンしており、若干シェアが変動していると考えられるが、増発と高速化がシェア回復の切り札となることは間違いない。


 とはいえ、札幌-北見・網走間の総流動は1日5,000人にも満たないと考えられ、函館とはそもそものパイ自体が比較にならない。中間の沿線人口を考えても、函館方面と同等の投資をしてもそれに見合う効果は得られない。
 2000年に完成した宗谷本線・旭川-名寄間の高速化工事では、76.2kmに32億円(この他に特急用車両12両で21億円)が投じられ、同区間の最高速度は95km/hから130km/hに引き上げられた。現在は120km/hに抑えられているものの、ハイパワーのキハ261系が最速56分で結んでいる。投資効果としてはこの辺りが参考になるだろう。


 JR北海道の維持困難線区に対する直接的な支援には消極的な北海道だが、特急車両の導入については、宗谷本線高速化と同じ第三セクターを活用したリース方式による支援を表明している。あとは線路の改良だが、峻険な区間が多い石北本線では全線改良には多額の費用が掛かり、自治体の協力も得られまい。そこで比較的平坦な新旭川-上川と西留辺蘂-北見を部分的に高速化できないものか。この辺りまでで札幌-北見で20分程度の短縮は見込めそうである。


Sekihoku  それからもうひとつ、遠軽駅の移転とスイッチバックの解消を検討してはどうか。
 もともと旭川から北見方面に向かう路線は、名寄・紋別を経由して遠軽に達する、今は亡き名寄本線がメインルートであった。後から建設された石北本線は、そこに突っ込む形で遠軽に達している。遠軽駅が平坦地で他に分岐線もないにもかかわらず、不自然なスイッチバックになっているのはこのためである。これが解消されれば、最低でも5分程度、駅の位置によってはもう少し時間短縮効果がある。貨物列車の運行形態も改善される。
 スイッチバックを解消するためには最低でも1kmほど駅を移転させなければならず、遠軽町からは相当な反対があることも予想されるが、石北本線を今後も有効に活用していくために不可欠だと判断されればそれもやむを得ないのではないかと思う。


 こうした施策を積み重ねたとしても、札幌-北見間で、他の交通機関と比較して優位に立てる所要4時間に達するのは少々厳しいかもしれない。だが現状を放置すればジリ貧になることは目に見えている。旭川や北見の通学需要も、少子化が急速に進む現在、見通しは暗い。


2015081501  2016年3月、JR北海道は上川-網走間で普通列車の運転本数を削減するとともに、乗降客が極端に少ない4駅を廃止した。さらに将来に向けて、5つの駅と41か所の踏切を廃止する方向で検討を進めていると地元紙は報じている。
 鉄道を維持するためには、鉄道が本来の役割を果たせる部分に投資を集中し、機能が喪失した部分を思い切って合理化することも必要である。JR北海道本体に限った話ではなく、線区単位でも「選択と集中」という考え方は存在してしかるべきではないかと思う。


 いずれにしても、採算の取れない北海道の地方路線を維持していくためにはお金がかかる。それを民間たるJR北海道単独に負担させるのは理屈に合わない。それでも鉄道を、と声を上げるのならば、相応の負担は覚悟しなければならない。自治体か国かはこの際関係ない。
 高速道路の延伸工事は粛々と進んでいる。道路に突っ込む金があるが鉄道に突っ込む金はない、そう言うのならば、石北本線もさっさと廃止すればよい。大きな期待だけ背負わされながら、近代化から取り残され、日々1,000万円以上の赤字を垂れ流しながら肩身の狭い思いで走り続ける石北本線が気の毒である。



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コメント

いつも楽しく拝見しております。
北海道新幹線の札幌駅問題、大変わかりやすく問題点理解できました!(札幌在住です。)
札幌から北見までの移動はJRで移動することが多いのですが、旭川を超え石北本線に入ると、ぐっとのんびりした気分となります。(たまに鹿にも激突しますし、)
まわりでも、高速バスを使用する人が多くなっており、廃線まったなしの状態であると感じております。
すでに遅しなのですが、池北線経由で北見まで特急を走らせていた場合、どのような結果になったと考えますか?

投稿: 鉄ちゃん | 2018/05/28 16:50

 鉄ちゃんさん、コメントありがとうございます。
 ブログには書ききれなかったのですが、一昨年の台風被害により石北本線が長期間寸断されたことで、バスへの旅客の流出がかなり進んだように感じます。鉄路を守るため、という視点で行くと、スピードアップもさることながら、上川-遠軽間を災害に強い線路にすることも必要かもしれません。

 池北線(ふるさと銀河線)の高速化が行われていた場合ですが、路線が存在した当時の札幌-池田が最速で2時間27分。ふるさと銀河線の最大勾配は20‰、曲線最小半径は300mと、条件はあまりよくありません。宗谷本線の改良区間並みと考えると、平均時速90kmでも1時間33分を要しますので、札幌-北見はギリギリ4時間といったところでしょうか。

 ふるさと銀河線の高速化議論が本格化しなかったのは、遠軽・白滝方面の存廃問題への影響を考慮したということもありますが、一連の事故前の状態ならば、石北特急にキハ261系を投入するだけで4時間少々まで短縮できる、という判断もあったのかもしれません。
 もっとも、JR北海道の今日的状況を考えると、仮に実現していたとしても、一連の事故の影響で結局4時間20分程度までスピードダウンしていたでしょうし、「維持困難区間」に石北本線の旭川-北見は確実に対象入りだったでしょうね。

投稿: いかさま | 2018/05/31 00:02

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