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2018/07/09

2009年世界の旅【97】旅の終わり

 これまでの経過は ⇒こちら。


 パリ・CDG国際空港発成田行き、日本航空406便は、定刻の18時05分から少し遅れて離陸した。窓の外はすでに真っ暗になっている。飛行機が旋回するたびに窓に映る下界の夜景だけが、きらきらと誘うような輝きを放ちながら、次第に遠ざかって行った。


 闇に沈んだパリの街を眺めていても、私の胸には、これですべてが終わった、という感傷は、不思議と湧き上がってこなかった。時間に追われ、じっくりと噛みしめる暇もなかったせいもあるのだろうが、1か月前、ボストン・ローガン国際空港の出発ゲートをくぐった時のような感慨はない。強いて言えば、20日ほど前にシカゴからストックホルムへと大西洋を渡った時の、あっさりした感覚に似ている。ひょっとすると、私はこのとき、このフライトの先にまた別の旅が続くような、やや麻痺した感覚を持っていたのかもしれない。


 飛行機が水平飛行に移ると、ほどなく食事が始まった。座席モニターに流れる映画を見ながら漫然と食べ終える。ややあって機内は減光され、眠りにつく客も増えるのだろう、静寂な時間が訪れた。
 シェードを上げて窓の外を見るとほのかに明るい。白い雪を伴って広がるロシアのタイガが、ぼんやりと明るく空気を照らしている。1年前は雪のない針葉樹林だった。1か月にも満たない季節の違いだが、風景とは変わるものだと感心する。


 時間と逆回りに飛ぶ東行きのフライトは、夜を一気に駆け抜ける。離陸してからおよそ8時間、夜がうっすらと明け始める頃、3本目の映画の途中で私はようやく眠りについたようである。次に目が覚めた時、飛行機はすでに日本海上空にいた。飲み物を1杯口にすると、シートベルト着用のサインが点灯し、飛行機は着陸態勢に入った。2か月間に及ぶ長い旅は、本編をとうに終え、エピローグも終盤に入っていた。


 11月11日14時20分頃、定時より若干遅れて成田空港に到着。入国審査と税関を滞りなく通過し、「成田エクスプレス」で羽田空港へ移動。私が留守にしている間にデビューした新型車両で、ガラガラの車内にはまだ新車特有の香りが十分に漂っている。
 品川で京急電車に乗り換え、羽田空港に到着。搭乗予定の便には多少時間があり、私は、前年もそうしたように、空港のレストラン街でラーメンを食べた。贅沢なことに、あまり美味くない気がする。まったく同じ物をアメリカやイタリアで食べていたら相当感動したはずである。デュッセルドルフで食べた「匠」のラーメンの味が懐かしかった


 18時30分発の便で羽田空港から新千歳空港へ。20時34分発の快速列車に乗って、21時10分、札幌着。さすがに地下鉄とバスを乗り継ぐ気にはならず、駅前からタクシーの世話になる。2か月ぶりの札幌は、肌寒くなった空気を除けば何も変わらず、私は何事もなかったかのようにタクシーの白いシートに身を沈めて、スーパーやコンビニが立ち並ぶ街の姿を眺めた。
 家の玄関を開けると、すでに子供たちは眠っているらしく、居間のテレビの音だけが小さく響いてきた。ややあって、化粧っ気のないパジャマ姿の嫁が、
「お帰り。お疲れ様。」
と、物憂げに玄関ホールへ現れた。


 日常が戻ってきた瞬間だった。



 以上、本編終了。お付き合いありがとうございました。
 時間のある時にこぼれ話、番外編をやろうと思います。

 


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コメント

おはようございます。
面白おかしく読ませていただきました。
(*^m^)

投稿: mitakeya | 2018/07/09 05:59

 mitakeyaさん、いつもありがとうございます。
 なんとか日本までたどり着きました。お付き合いいただきましてありがとうございます。
 これで忙しい時に繰り出すネタがなくなりました(笑)

投稿: いかさま | 2018/07/13 22:56

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