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2018/07/06

2009年世界の旅【96】フランス(8) なんとも慌ただしい旅立ち

 全国至るところで豪雨による被害が出ています。これ以上被害が広がらないことを祈ります。どうか皆さま、お気をつけて。


これまでの経過は 
⇒こちら。


 11月10日、火曜日。いよいよ最終日である。
 午前中、ホテルをチェックアウトして、メトロでパリ北駅へ行き、シャルル・ド・ゴール国際空港(CDG)へ電車で向かう。普段ならRER(急行地下鉄)に乗り入れて都心部まで直通する路線だが、ストライキの真っ最中で、直通運転を中止し、運転本数も普段の3分の1から4分の1に間引いているようである。


 空港のポーターサービスで荷物を一時預けて、空港近くの取引先で最後の視察。その後私は間引き運転の電車に乗って再びパリ市街へ引き返した。北駅からメトロでマドレーヌ(Madeleine)まで行き、嫁に頼まれた買い物を済ませると、すでに時刻は14時を回っている。成田行きJAL406便の出発は18時05分である。出国手続きや職場の仲間へのお土産の買い物、飛行機搭乗前に多少くつろぐ時間を考えると、15時半頃までには空港に戻っておきたい。


 相変わらず間引き中の各駅停車の電車は、私の急いた気持ちなど全く関知しない様子でゆっくりと走り、15時半過ぎ、CDG空港に到着した。預けておいた荷物を引き取って、日本航空の出発ターミナル2Eへ急ぐと、チェックインカウンターの前は50人は下らないであろう乗客が列をなしている。無人のチェックインカウンターの電気は消えており、行列をつくる乗客の間を地上係員があわただしく動き回っている。
 日本人の係員をつかまえて話を聞くと、機械トラブルが発生して、チェックインが一時的に中断されていると言う。幸い、ビジネスクラス客用のカウンターは別にあって、こちらは数名が並んでいる程度。その後ろについて、ひたすら復旧を待つ。


 16時過ぎ、ようやく復旧したカウンターで手続きを済ませ、荷物を預けて出国手続きに向かった。ところが今度は出国ゲートの手前で、制服姿の警備員が押し寄せる乗客を制止している。恰幅のいいのが多いから歯向かうわけにもいかず、素直にその場に立って様子見となる。封鎖されて人の姿の消えた通路を、時折制服が小走りに往来する。私に大きな背中を見せて立っている警備員に、何事かと尋ねると、
 “不審物。”
と一言。どうやら確認作業が終わるまで、出国手続きも中断のようである。


 ここでも20分以上足止めされたのち、ようやく出国手続きが再開された。幸いうまく列の前の方につくことができたが、搭乗フロアへ出た時には、16時半をとうに過ぎている。だが、間の悪いことは続くものである。
 ヨーロッパで買い物をしたお土産については、「タックス・リファンド(TAX Refund)」といって、商品購入時に上乗せされている付加価値税、いわゆる消費税が免税となる手続きを受けることができる。私はうっかりしていて、この手続きを出国手続きが終わってからするものだと勘違いをしていた。だが実際は手続きカウンターは出国ゲートの手前にあり、出国手続き前に手続きしなければならない。そのことに私が気付いたのは、出国手続きを抜けた直後のことであった。


 タイムリミットは刻々と近づいており、私は悩んだが、かなりの金額になる還付金の権利を放棄するのも口惜しい。私は搭乗フロアからひとつ下の到着フロアへ階段を駆け降りた。入国審査のゲートで事情を話し、フランスへ再入国してまた出国ゲートの方へ走り、タックス・リファンドのカウンターへ。10数人が列をつくる後ろについて、ひたすら順番待ち。手続きをすませて再び出国手続きの列に並び、ようやく搭乗フロアに舞い戻ると、時刻はもう17時をはるかに過ぎている。


 短時間で職場の仲間へのお土産を購入しなければならないが、あらためて搭乗フロアを見渡すと、土産物屋やショップはあるにはあるが、スキポール空港とは比較にならないほどフロアそのものが狭く、店の数も少ない。ひと回りしてみたが、ファッションやアクセサリー小物を扱っているような店はほとんどないようである。男性にはネクタイでも、女性にはハンカチかスカーフでも、と漫然と考えていた私の計画はもろくも崩れた。


 ファッション小物がだめなら、あとは食べ物か飲み物しかない。これならやはり市街地で買い物をしておけばよかった、と私は後悔したが、後の祭りである。とにかく一番大きなスーベニアショップへ入り、店のおばさんに、人気のお土産を尋ねてみると、オレンジピールのチョコレート紅茶の詰め合わせを薦めた。私は頭の中で必要になるお土産の数を手早くカウントしながら、手当たり次第にレジカウンターに積み上げた。


 レジで支払いをしていると、天井のスピーカーから、JAL406便成田行きの搭乗開始を告げるアナウンスが流れてきた。時計を見るとまだ17時30分で、搭乗開始には早いように思うが、何事もその国のルールがある。
 大きな紙袋ふたつに分けておさめられた大量のお土産を両手に提げ、私は出発ゲートへと急いだ。一般搭乗がすでに始まっていたためにビジネスクラスの優先搭乗は受けられず、私は長い行列の後ろに大人しく並んだ。


 2か月前、ニューヨークのJFK空港で確保した、窓側の9A席のゆったりしたシートに腰を下ろす。背中と太腿に、汗で湿ったシャツの嫌な感触が伝わって来て、私は不快な気分になった。ラウンジにはシャワーも設置されていたはずで、本当なら手早くシャワーを浴びてから搭乗したかったのだが、シャワーどころかお茶の一杯も飲めなかった


 担当のキャビン・アテンダントがやって来て、うやうやしく挨拶をした。ビジネスクラスの客としては鷹揚に挨拶を交わしてもよかったのだが、私は控え目に小さく頭を下げただけだった。座った瞬間に全身を襲った不快感と疲労感のせいもある。
 しかし最大の理由は、いささか個人的な見解になるが、そのキャビン・アテンダントが、この旅の最後にして最上級の美人アテンダントだったことにある。私は、自分の湿った体から発する体臭が彼女に伝わりはしないかと、そればかりを心配していた。



 次回、本編ラスト。
 


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