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2018/08/30

完乗へのアンカー~札幌市電「ポラリス」の小さな旅

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 16時40分過ぎ、資生館小学校前方面から、白と黒の引き締まった3両連接の電車が近付いてきた。2013年から導入が始まった札幌市電の新鋭電車、「ポラリス」の第2編成である。「貸切」の表示が、私のための電車であることを示している。私は大きく深呼吸をする。

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 ほどなく、別行動だった嫁と坊主2人がホームに現れた。それから、大学時代、私が塾講師のバイトをしていた頃の教え子であるKちゃんとMちゃんが来てくれた。2人ともSNSでつながっているからご無沙汰感がないが、東京在住で里帰り中に2人の子供を伴って来てくれたKちゃんとは約5年ぶり、札幌在住で旦那さんと来てくれたMちゃんとはおそらく20年以上ぶりの再会である。Mちゃんは、別の教え子で道東に住んでいるTちゃんと一緒にメッセージボードをつくって手渡してくれた。鼻の奥がツンとする。


 大学の同級生であるY君も来てくれた。こちらは予告なしでの登場だったから驚いた。彼も札幌在住だが、東京の學士会館での別の同級生の結婚式、あの半沢直樹の舞台での集団土下座 以来、こちらも約5年ぶりである。こうして集まってくれた仲間たち、私を含めて総勢11人が乗り込んで、17時ちょうど、貸切の「ポラリス」はすすきのを発車した。


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 すすきのから時計回りの線路は、以前にも何度か乗ったことがあるが、「ポラリス」で走るのは初めてである。他の電車とは異なり、ロングシートとクロスシートを組み合わせた車内からは、大きな窓越しに電車通りの景色が非常に近くに見える。
 その景色を眺めつつ、仲間たちとかわるがわる会話を交わす。ふわふわと落ち着かないが、楽しい時間が流れる。Kちゃんの下の男の子は、窓の外を眺めて大喜びである。それはかつての自分であり、私の子供たちの姿でもある。


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 さて、「ポラリス」は、中央図書館前を過ぎると、右折する本線と別れてまっすぐ正面へ進み、電車事業所へと入っていく。洗浄線から工場の奥へ進み、事業所を囲むようにクルリと回って事務所の前に来て停まった。車内宴会にも使われる貸切電車では、トイレ休憩と貸切料金の支払いを兼ねて事業所にいったん入る。貸切電車限定の貴重な体験である。


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 車庫の奥で休んでいた年代物の電車を撮影したいというNさんの要望に、事業所の方が応えてくれて、車庫奥へ案内してくれた。そんな電車に興味のあるのは私とNさんくらいかと思っていたが、意外なことに皆ぞろぞろとついてきた。好きか嫌いかはともかくとして、レアな体験だからだろう。1961年製のその電車、M101号車の前でみんなで記念撮影する。


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 20分ほど滞在して、再び発車。いったん中央図書館前まで進み、進行方向を変えて再び外回り線を進む。私たちの前には、営業運転中の同型「ポラリス」が走っている。2本の「ポラリス」は、時に接近したり離れたりしながら、着々と進んでいく。停留所に備え付けられた列車の位置表示モニターにもその様子が窺える。
 西4丁目の交差点付近では、内回りの「ポラリス」とすれ違った。3本しか存在しない「ポラリス」のそろい踏みである。あるいは明るく気さくな運転士さんが少し茶目っ気を出してくれたのかもしれない。

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 西4丁目からは私の最後の未乗区間。交差点を右折して内回り線と別れ、歩道寄りに進む。西4丁目-すすきのの都心線は、建設に当たり「サイドリザベーション方式」を採用した。道路中央でなく、上下線それぞれが歩道寄りを進む方式で、国内では唯一である。日常、頻繁に歩く通りで、景色は見慣れたというより見飽きた感もあるが、電車から見ると新鮮に感じるから不思議である。ふわふわした気分が、少し引き締まったようにも感じた。


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 宵の賑わいを見せ始めたすすきの交差点で、歩道寄りから右折して南4条通の中央へ入る。都合で電車に乗れなかった同じ会社の後輩が窓の外から見守ってくれるのが見えた。  すすきの停留所前を通る。細かいことを言えばここで完乗達成なのだが、細かいことはどうでもいい。停留所の前をゆっくり過ぎて、18時20分、電車は出発したのと同じ、すすきのの貸切電車専用乗り場に到着した。車内の仲間たちが一斉に拍手で祝ってくれた。

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 感極まって号泣するのではないかといろんな仲間から揶揄されていたが、むしろ私は落ち着いた気分でホームに降り立った。
 全線完乗を達成した、という嬉しさはもちろんあったけれども、今日この場に、家族や仲間が集まって祝ってくれたこと、さらにその仲間が思い思いに1時間20分のミニトリップを楽しんでくれたことが何よりうれしく感じたというのが偽らざる心境だった。


 2018年8月19日。いかさま・46歳の誕生日。これまで過ごしてきたあまたの誕生日の中で、おそらく最も印象に残る誕生日になるに違いない。




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コメント

遅ればせながら、完乗おめでとうございます!

完乗直前のラストスパートあたりからは、自分の経験を思い出しながら読んでました。
ラストは考えましたね。さすがといった感じです。

来年はあちこちに新線もできるようなので、また新たな旅の始まりですね。

投稿: miyap | 2018/08/30 23:52

改めまして、おめでとうございます。
そして、ありがとうございます。
ステキなお話を聞かせてくださって。

最後のお写真、良いですね。自然な感じで。
ようやく完乗し、帰ってきた「ただいま」の一歩なのですが
なんだか新しい世界へ踏み出したいかさまさんの
最初の一歩のような印象も受けました。

これからも、いかさまさんのお話、楽しみにしています。
ありがとうございます☆

投稿: アケ | 2018/08/31 01:14

弟子が出遅れてしまいましたが

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+
師匠!!日本完乗 おめでとうございます゚
.+:。(・ω・)b゚.+:。
:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

大雨フラシの弟子が駆けつけたら
きっとひんしゅくをかっていたでしょうね…

でもまた背中を追わせていただきますので
日本??海外??この地球に鉄道があるかぎり
どこかでお逢いできることを楽しみに
私も遠くよりお祝いさせていただきました

これは情報不足でしたがお誕生日もおめでとうございました

投稿: ゆきぱんだ | 2018/08/31 18:13

いやーほんと素晴らしい演出!
そうですそうです、自分の人生では自分が主人公♪

投稿: キハ58 | 2018/09/01 08:57

おめでとうございます。
私は26年も前なのですがその瞬間の気持ちは忘れていません
実は、私はJRも民鉄も完乗駅にはその鉄道を使って行っていません
今回あなたの完乗に立ち会って、自分の完乗の地へ今度は嫁さんと行こうかと思います
一度けじめがついたのでこれからは自分の旅を楽しんでくださいね

投稿: とも | 2018/09/02 11:19

 miyapさん、ありがとうございます。
 先輩方からはずいぶんと後れを取りましたが、ようやく達成しました。ここに至るまでの経過は、先輩方も少なからず経験されたような行動や心象変化を経ているのではないかと思います。
 周囲の方々のおかげで、ラストが実に華やかになったことを本当にありがたいことだと思っています。

 差し当たっては来年の各地、日にちを気にせず機会を見つけてのんびりと訪れてみたいと思っています。

投稿: いかさま | 2018/09/02 21:56

 アケさん、ありがとうございます。
 どうでしょう、私としてはいつになく気持ちのこもった記事だと感じられたのではないでしょうか(笑)

 全線完乗達成が自宅から10km足らずの場所だったというのも意外とレアケースなのではないかと思いますが、そう言われてみると「ただいま」然とした安堵感が写真から漂って来ているかもしれません。

 完乗はしましたが、旅の記録はたくさん残っています。
 古いものも含めて、アケさんにはもうしばらくお付き合い願わねばなりません(笑)よろしくお願いいたします。

投稿: いかさま | 2018/09/02 22:00

 ゆきぱんださん、ありがとうございます。
 ブログの記事を見ていると私よりゆきぱんださんの方がはるかに師匠の風格が漂っておりますが(笑)
 実はこの日、午前中にサッと雨が降ったのです。予報にはない雨でした。ひょっとしてゆきぱんださんが?と一瞬思わないでもありませんでしたが(笑)、最後のシーンを雨なしで迎えられたのには、ゆきぱんださんのお力添えがあったものと思います。

 いずれゆっくりとどこかで鉄道談義でもいたしましょう。

投稿: いかさま | 2018/09/02 22:06

 キハ58さん、ありがとうございます。
 確かにあの日の主人公は私でしたが、集まってくれた人たちがそれなりに楽しんでくれたのだとしたら、まさしく、「だれもがみな主人公」なのですね。

 ところでキハ58さんは、私がさだまさし好きだと何故お気づきだったのでしょうか?(笑)

投稿: いかさま | 2018/09/02 22:10

 ともさん、ありがとうございます。
 あの日以来市電に乗る機会はないのですが、通勤の途中にすすきの停留所の脇をバスで通ることが多いので、そのたびに瞬間の感動を思い出してはひとりニヤついています。30年の旅は実に多くの方々との出会いの歴史でもありました。
 その歴史をたどってこれからの旅を楽しむのも悪くないのかな、と思っています。

投稿: いかさま | 2018/09/02 22:14

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