« 2018年8月 鉄道全線完乗への旅【3】23年ぶりの五能線 | トップページ | 「半分、青い。」の風景、時代 »

2018/09/28

2018年8月 鉄道全線完乗への旅【4】「リゾートしらかみ」に憩う

 前回の続き


Dscn0746 Dscn0716  
 東能代から五能線に入った「リゾートしらかみ」は、進行方向が逆になり、私の乗っている1号車が先頭車になった。展望スペースが設けられた先頭部と、両サイドの大きな窓から風景が運転席の窓から飛び込んでくる。両サイドの窓も大きく開かれており、よく晴れた青い空に緑の畑や水田が映えている。


Dscn0721 Dscn0724  
 八森の手前でほんの少し見えた日本海が、あきた白神付近から本格的に近くなり、岩舘を過ぎて何本かのトンネルを抜けると正面に飛び込んできた。このあたり、線路が海岸や道路より一段高いところを走っているため、線路の向こうがストンと海になっているような錯覚を受ける。海岸に突き出す岩の奇妙にしてごつい形が、日本海の波の荒さを物語っているようにも見えるが、今日の日本海は非常に穏やかで、さざなみに不規則に反射する光が、空の青や海の青に輝いている


Dscn0733 Dscn0737  
 この車両の名の由来になった「青池」への最寄り駅である十二湖、駅の前にSLが鎮座し、周辺にリゾート施設が広がるウェスパ椿山、深浦町の中心である深浦と、停車駅ごとに一定数の乗客の乗り降りがある。短区間利用客の観光客が思いのほか多い
 この辺り、普通列車は5往復しか走っておらず、殊に日中は3往復の「リゾートしらかみ」が主要な足となる。あえて優等列車とせず、全車指定席の快速とした理由が透けて見えた気がした。利用客の立場に立てば、1乗車520円の追加投資ならば比較的抵抗感が薄いし、鉄道会社側からすれば520円の積み重ねは、平均通過人員(輸送密度)が500人程度のこの区間では貴重な収入である。



Dscn0732 Dscn0745  
 列車名の由来にもなっている世界遺産の白神山地は、ちょうどこの区間、秋田と青森の県境を中心に広がっている。比較的山が近いため、県境付近では見にくいが、ウェスパ椿山の手前あたりで後方を振り返ると、湾の向こうに連なる山々が見える。
 深浦を過ぎると線路は次第に海岸の高さ付近まで下りていく。線路の間近まで波が寄せてくる景色と、右手に見える山の緑のコントラストは鮮やかである。前回乗車した時は真冬で、灰色の重苦しくも厳し気な景色が広がっていた。季節が変わると車窓の印象は驚くほど変わるものである。


Dscn0756 Dscn0752  
 ごつごつとした岩が突き出した海岸に近い千畳敷で15分の停車。ホーム1本だけのシンプルな駅だが、海岸までは目と鼻の先であり、列車を降りて散策を楽しむことができる。
 線路と海岸の間を通る道路に面して売店や民宿が並んでおり、イカを焼く香ばしい匂いがいたるところから漂ってくる。
 足元にはごつごつとした岩畳が広がり、ところどころに小さな岩山がそそり立っている。なんとも心躍る風景である。日本には自分の知らない景色がまだまだたくさんある。鉄道に乗ることだけに執心してきた自分にとって、それは少なからず衝撃的だった。


Dscn0762 Dscn0760  
 鯵ヶ沢の先で五能線は日本海と別れて内陸へ進む。周辺にはリンゴ畑もちらほらと見え始めた。風景はやや単調になり、少し眠気が襲ってくる。だが車内では、絶景と引き換えに鯵ヶ沢~五所川原間で津軽三味線の生演奏、陸奥鶴田~川部間で「語りべ」のおばさんによる物語と、立て続けに3号車のイベントスペースで催され、各車両のモニターでも観ることができる。風景が単調になっても乗客を退屈させない工夫が凝らされている。残念ながら五能線の景色に興奮しすぎた私は、語りべの世界を聴きながら、ついうつらうつらとし始めた。

Gonou
 追分から4時間32分、15時36分に「リゾートしらかみ3号」は、奥羽本線との分岐駅、川部に到着した。列車はこの先弘前まで行くが、青森方面へ向かう私はここで下車する。他の乗客も3分の1ほどが川部のホームに降り立った。
 世界遺産、日本海の絶景という宝を持ちながら、沿線の人口の希薄さで苦しい状況が続いている五能線だが、リゾート列車の投入で乗客の減少傾向には一定の歯止めがかかっているようである。このあたり、多数の不採算路線を抱えるJR北海道にも見習ってほしいところではあるが、かたや2,000億円を超える純利益を叩き出し余力のあるJR東日本に対し、JR北海道はリゾート列車どころか一般気動車の置き換えもままならない状況下にある。非常に難しい。


続く。



ランキング参加中です。みなさまの「クリック」が明日への糧になります。よろしかったら、ポチッとな。

にほんブログ村 鉄道ブログへ にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ 鉄道コム

|

« 2018年8月 鉄道全線完乗への旅【3】23年ぶりの五能線 | トップページ | 「半分、青い。」の風景、時代 »

鉄道の旅人」カテゴリの記事

コメント

師匠の五能線紹介で懐かしく記憶が蘇りましたtrain
五能線リゾートしらかみ乗車の時、
素敵な鉄のお姉さんと素敵なご夫婦と知り合い
旅の違うよろこびを知ったリゾートしらかみでしたheart
津軽三味線を初めてきいたのもリゾートしらかみで
今度は夕日の日本海をリゾートしらかみ車窓から見てみたいです;:゙;`(゚∀゚)`;:゙

投稿: ゆきぱんだ | 2018/09/28 04:07

後部からの展望見ていたので前面展望うれしいです!
普通列車の乗り継ぎと、リゾートしらかみの両方で全線3回ほど乗車した五能線・・・晴れていたら普通車!天気分からない時はリゾートしらかみ!・・・ということで車窓や快適性考えると、リゾートしらかみの存在感は大きいと思う五能線です^.^/

投稿: キハ58 | 2018/09/29 09:34

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。
 鉄道旅行の楽しみは、車両の素敵さ、風景の素敵さに加えて触れ合う人々の素敵さもそのひとつですよね。
 普通の観光客が多い列車の中で、「鉄」の私は今回、借りてきた猫のようにおとなしくしていたのですが、乗客の皆さんが押しなべて楽しそうな表情を浮かべていたのが印象的でした。

 夕陽の五能線、私も見てみたいです。

投稿: いかさま | 2018/09/30 23:14

 キハ58さん、いつもありがとうございます。
 今回の「リゾートしらかみ」の旅がなければ、五能線の印象は私の中で陰鬱な灰色の風景しか残らないところでした。
 今回のような好天の中であれば、普通列車の窓を全開にして揺られるのも楽しかったかもしれませんね。次回訪問する機会があれば、どんな風景を見せてくれるのか。これまた楽しみな路線が増えました。

投稿: いかさま | 2018/09/30 23:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/584701/67211523

この記事へのトラックバック一覧です: 2018年8月 鉄道全線完乗への旅【4】「リゾートしらかみ」に憩う:

« 2018年8月 鉄道全線完乗への旅【3】23年ぶりの五能線 | トップページ | 「半分、青い。」の風景、時代 »