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2018/09/30

「半分、青い。」の風景、時代

 家と勤務先が徒歩5分という環境にあった単身赴任時代以来、NHK朝の連続テレビ小説を観るのが習慣のようになっていたが、今回の「半分、青い。」は、いろんな要素があって私はかつてない親近感を持って観た。
 2月に札幌に戻って来て、自宅を7時台に出るようになったために、リアルタイムでは観られず、毎日録画で時間のある時にまとめて観ることになった。それも慣れない仕事のせいで帰宅も遅く、最大で1か月分以上滞留したのだが、この週末一気に片付けて、なんとか最終回をリアルタイムで観ることができた。


 親近感の最大の理由は、ドラマの舞台が私の出身地である岐阜県東濃地方だったことである。ロケの中心になった恵那市岩村町は、私の実家から車で30分ほどのところである。よって登場人物たちはみな、「東濃弁」を話す。だから言葉のやり取りが非常にすんなりと私の中に入ってくることになる。
 実際の東濃弁はもう少し独特の、というか、ある種汚いところがあり、多少の違和感もないわけではないが、私たちが実際に喋っていた言葉をそのままドラマに乗せれば、テロップ抜きでは放送できない可能性もある。


 そしてもうひとつ、主人公の年代が私とほぼ同じだということがある。主人公である律と鈴愛は1971年生まれとなっており、私の1歳年上である。よって主人公たちと私は、同じような場所で、同じような時代を生きてきたといっても言い過ぎではない。
 今は半分以上がシャッターを下ろし、すっかり静かになってしまった街の商店街も、40年前はたくさんの子供たちが行き交い、ドラマの「ふくろう商店街」のように賑やかだった。流れる音楽やドラマの話など、随所に挟まる小ネタは私たちの心をくすぐるに十分だった。


 ストーリーに関しては、主人公の目指すところや立ち位置が目まぐるしく変わり、若干取っ散らかった印象を受けた。ネット上では賛否両論あり、どちらかというと厳しい意見が目立ったようであるが、私は非常に面白い展開だと思った。1990年代から2000年代前半という、停滞していたようで大きく変化していった時代を思えば、こんなもんかもな、という気がする。
 時間の流れが速すぎる、飛びすぎる、という批判もあったらしい。半年のドラマで約40年を描くのは確かに駆け足にすぎる気もするが、かの名作「おしん」だって、1年間で80年近い時間を描いている。


 個人的には前半をもう少し駆け足で、後半、特に「そよ風の扇風機」のあたりをもう少し時間をかけてじっくり見せてほしかったと思う。前半に出て来たキーパーソンや、その人たちの発した深い言葉が、もっと後半に効いてくるように、伏線を回収していけばバランスが良かったのではという気がする。そうなると岐阜のシーンが相対的に減ってしまうことになるから少々切ないのだが、岐阜サンバランドのくだりなど、今考えても存在する理由がよくわからない。


 ストーリーはさておき、これだけ自分に近い環境をドラマ化されると、やはり自分の身に置き換えていろいろなことを考える。小学校時代からの同級生、それも異性が、40年以上、時に距離を置きながらも近くに居て見守り続けてくれるという人間関係や、数十年変わらない溜まり場と仲間。そんな青春時代の人間関係に、少し羨ましさを感じる。
 主人公の鈴愛が本質的にあまり成長していないのが気にかかるが、いろんなことにチャレンジしては失敗し、また立ち直るその力強い生き方も、性別は違うけれども私ができなかった生き方を体現していてこれまた羨ましいと思った。


 キャストの中では、秋風先生の豊川悦司はもちろんだが、律のお父さん役の谷原章介が非常に印象に残った。常に微笑みを絶やさず、淡々とあの低い声で優しく語る。感情を滅多に表に出さず、一人になっても深い悲しみを押し殺すように写真に向かっている。理想の大人、お父さん像である。そういえば谷原章介も私と同い年である。私にはこの落ち着きはとても出せない。出せないどころかほぼ対極にいる



Img_3193 Img_3194  
 ドラマの中で重要な位置を占めていたものといえば、「五平餅」である。うるち米をわらじ状に固め、味噌とクルミでしつらえたたれをつけて焼く。これは子供当時から私の大好物であった。これを、秋風先生をはじめいろんな登場人物がうまそうに食べるシーンを何度も見せられたおかげで、私はある種の五平餅禁断症状のようなものが出て困っている。一度実家から真空パックの五平餅を送ってきてくれたが、品薄で手に入りにくくなっている、と電話の向こうで母が言っていた。


 そう言えば、あの地域のもうひとつの名産、栗きんとんも、おいしい季節になっている。食べたかったら帰って来い、そう言われているような気持ちになるが、こちらも忙しい時期であり、そう簡単にはいかない。お預けを食わされた犬のような気分である。



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コメント

私、アナログな人間でテレビをほとんど見ないので
ドラマとか歌とか知らないのですが
大人気のようですから録画しておけば良かった

今回の台風は大丈夫でしたか??これ以上被害拡大しないことを願います。
五平餅長野でも有名です
私はお餅系が苦手なのですが
いかさまさんの写真みたら食べたくなりクルミ味噌はあるので
自己流で作ってみようかなheart
中津川の栗きんとん美味しいですよねheart
また師匠に食べものネタにすぐ食いつくって言われそうですね(笑)ちょっとお高いけど旬の味ですよね!!栗大好きheartいまは都内デパートや催事などで購入できるので
嬉しいです!!お仕事、プライベート、北海道の未来のためにご活躍されることを願っていますo(*^▽^*)o

投稿: ゆきぱんだ | 2018/10/01 07:46

私も、仕事をしているときは時間的に無理だったので
みてませんでしたが、退職してからは充分に見ることが出来ます。「半分、青い」良かったですねpunch

私としては、「ひよっこ」の時代背景が似ていたので、思い出深いです。
時代背景が似ていると、その当時の事が思い出されて、懐かしいものですものねthink

投稿: 姉さん | 2018/10/01 13:28

こんばんは
私も毎日見ていましたよ「半分、青い。」
この辺りからなら東濃は近いので
やはり親しみをもって楽しく見ました。
以前岩村城を訪ねたときに、
ドラマの舞台となった商店街も歩きましたしね。
秋風先生はじめ皆がおいしそうに食べるので
私も五平餅が無性に食べたくなりました(笑)

投稿: かちがわまなこ | 2018/10/01 20:58

こんばんは。
「半分、青い」終わってしまいましたね。
私はロスになっていますよ。再放送があったらまた見ます(笑)
作品には言いたいことがありすぎて困るくらいです。
でも、やはり地元が舞台というのは魅力ですよね。
名古屋の私でさえ凄く親近感がありますもの。
五平餅は岐阜や長野に行ったら必ず食べる一品です。
そうそう、栗きんとんの季節ですね。
来週デパートに行くので買ってきます(笑)

投稿: ミミ | 2018/10/03 22:47

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。
 ドラマは大人気というか、これまでの朝ドラとは一風変わった展開や設定に賛否両論多く、人気とは別のところで盛り上がった感じです。
 写真の五平餅は、今年の正月、中津川市と下呂市の境に近い舞台峠のドライブインでのものです。私などこの写真を見ているだけで禁断症状が襲ってきます。
 栗きんとんは、会社の知人を通じて、今季1度だけ私の口に入りました。北海道ではなかなか打ってくれる機会がありませんね。こういう時、東京がうらやましいなあ、とほんの少し思ったりします。

投稿: いかさま | 2018/10/07 23:46

 姉さんさん、いつもありがとうございます。
 「ひよっこ」もよかったですね。こちらは私も旭川の単身赴任先で、毎日リアルタイムで観ていました。物語としてのインパクトはそれほど強くなかった気がしましたが、私たちにとって身近な時代を織り込んだストーリーは、やはり親近感がわきますね。
 ちなみに、マグマ大使は完全に私の時代の外です。

投稿: いかさま | 2018/10/07 23:49

 かちがわまなこさん、いつもありがとうございます。
 私は何年か前の帰省の際に、岩村場を家族で訪れたのですが、商店街をじっくり歩くことなく帰ってきてしまったことが悔やまれます。ドラマの前と後とでは、また少し雰囲気が違ったものになっているのではないか、という気もします。
 このドラマの中で秋風先生のキャラはひときわ立っていましたね。あの方が五平餅を連呼・連食したおかげで、五平餅がメジャーになったのだとすれば喜ばしいことです。

投稿: いかさま | 2018/10/07 23:52

 ミミさん、いつもありがとうございます。
 ハードディスクから消し忘れていた「半分、青い。」の最後の3話ほどを、この連休にあらためて観てしまいました。やはりせっかちすぎる展開の印象はぬぐえませんでしたが、私もやはり頭からもう一度観たいなあ、と思ってしまいます。
 栗きんとん、先日たまたま会社の同僚を介しておすそ分けが回ってきましたが、1個では禁断症状が止まりません。お土産が届くのを期待しています(笑)

投稿: いかさま | 2018/10/07 23:55

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