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2018年11月

2018/11/26

鉄道完乗こぼれ話【3】 鉄道完乗に要した期間

 一般の方と話していてよく聞かれることは他にもあり、多いのは「何年くらいかかったんですか」というものである。これも人それぞれで一般化できる話ではないのだが、あくまで私の場合、ということでお話をさせていただく。


 いかに私が鉄道が好きであっても、年に何回も遠征を重ねてひたすら鉄道に乗れるほど、時間的にも経済的にも余裕があるわけではない。まして18歳以降、私は北海道に住んで、遠くの鉄道に乗りに行くための距離的ハンデを抱えている。
 おそらくすべてを投げうってひたすら乗り歩けば、半年もあれば日本の鉄道全線制覇できるのではないかと思うが、私の場合、乗車記録を取り始めて以降、完乗を達成するまでには31年と4か月半を費やしている。


 私が乗車記録として自分で認定しているのは、1987年4月1日以降、すなわち国鉄分割民営化以降の乗車である。このルールに従うと、最も古い私の乗車記録は、1987年6月6日、JR東海中央本線・土岐市→名古屋、43.2kmになる。私は中学3年生、この乗車は日光・東京への修学旅行でのものだった。この時はその先、東海道新幹線、東武伊勢崎・日光線と列車を乗り継いでいる。0系新幹線の回転しない3人掛け座席、まだジュークボックスが残っていた東武DRCなどをよく覚えている。


 もちろん、これより以前に乗った鉄道がないわけではない。中央本線の土岐市-名古屋間などは幼い頃から何度も乗っているし、家族旅行で乗った名鉄パノラマカーや近鉄特急、新幹線の0系食堂車などの印象は非常に鮮烈である。
 だが、これとてどこかで線引きをしないと、古い記憶を掘り出していくのは非常に難しい。たまたま私の場合は、ちょうど鉄道の乗り歩きを志した時期に国鉄分割民営化という、日本の鉄道にとっては一大トピックとなる出来事が起こっていたから、それを起点として記録を整理することにしたのである。


 したがって幼少期に乗った路線はすべてそれ以降に乗り直している。また、修学旅行で乗った路線も、その後何度か乗車している。一度乗った路線に別の旅の途上で再度乗車するなどということは珍しいことではなく、新幹線やJRの主要な幹線などはたいがい複数回乗車している。


 ではそういう視点から、私が最後に乗ったのが最も古い路線を拾ってみると、1988年2月11日、愛知環状鉄道・八草-新豊田になる。この区間は後にも先にもこの時乗ったっきりである。それ以前の路線はその後何らかの形で再度乗っている。したがって、私がよく質問される「全部乗るのに何年くらいかかりましたか?」という質問に対する最も正確な答えは、「30年半」ということになる。


 全線完乗達成が目前に迫ったころ、私はこの「偉業」を、せめて平成が終わるまでに達成しよう、と考えていた。幸い、この目標は達成されたのであるが、そこに至る過程の中で、ふと、乗車記録のスタート時点を1987年でなく、1989年1月8日、すなわち平成最初の日として、平成の30年間ですべての鉄道に乗ったという整理にできないか、と考えたことがある。


 その時、昭和時代に乗車済みで、平成以降乗った記録がない路線がどのくらいあるかを再度確認してみたが、思った以上に多く、360kmほどあった。先の愛知環状鉄道の他にも、JR東日本磐越西線(郡山-会津若松)、飯山線、JR東海飯田線、東武鉄道鬼怒川線、野岩鉄道など、けっこう各地に点在している。
 これらの路線に乗り直すためには、さらにあと1回、余計に旅をしなければならない。時間的な問題もあるが、今年は2度の遠征で懐が例年になく寂しい状況になっている。破産の危機に瀕してまでも急いで乗り直すほどの理由はない


 繰り返すが所詮は趣味であり、マイルールである。




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2018/11/22

初雪と冬の思い出

 日照不足に低温、台風に豪雨と、今年1年実にいいことのなかった北海道の天候であるが、今度は冬の訪れの遅さが話題になっている。


 札幌では11月20日、ようやくちらちらと雪が舞った。平年の初雪は10月28日であるから、実に23日遅い初雪である。「降った」というにはあまりにも少なく、よく目を凝らしていないとわからない程度だったのだが、その日の深夜にいくらか降ったらしく、昨21日の朝には5cmほどの湿った雪が道路を覆っていた。これも南区の我が家周辺の話で、中央区の職場近くまで行くと、道路は湿っている程度で、ところどころの植え込みの陰に残る白いものが、降雪の痕跡だけを示していた。
 昨年の今頃にはすでに積雪になっていたような記憶があり、ずいぶんとのんびりしているが、これから先、降って融けて、を繰り返しながら徐々に街の中が白とグレーのモノトーンの中に沈んでいくはずである。


 高校3年生までを岐阜県の田舎で過ごした私は、雪とは全く縁がないわけではなかったが、真冬でも湿った雪が朝いくらか積もっていて、それが日中にはきれいに融けてなくなってしまう、というような感じであった。ちょうど昨日の札幌のような状態である。
 そういう私が北海道に住むようになってもう28年目になるのだが、初めての年、街を一面に覆うふわふわとした雪には、少なからず感動した記憶が残っている。


 ある日の夜、ワンルームマンションの自室で漫然とテレビを見ていた私は、外で響く、ゴワゴワゴワ、という音に気付いた。中通りに面して建っている私のマンションは日中でも車通りが少なく、大型車などほとんど通らないから、珍しい低音の響きである。
 窓のカーテンを開けると、ガラスの向こうで黄色の光が短い間隔で強くなったり弱くなったりを繰り返していた。私は反射的にカメラを握って部屋から外へ出た。


 マンションの前の道路では、大きな羽根のようなスノープラウを付けた大型車が、黄色の回転灯を回しながら、道路に積もった雪を路肩に寄せる作業をしていた。私は、これがうわさに聞いていた除雪車か、と感動して、カメラのシャッターを切った。その写真は手元に残っておらず、実家方面の友人か誰かに「すごいだろう、これが除雪車だぞ」というようなテンションで送りつけたような記憶がある。雪に埋もれた冬を送ったことのない私にとっては、それほど衝撃的な光景だったのである。


 それから27年、旭川、岩見沢という積雪地帯での勤務を経て、札幌に居を構えた私にとっては、雪は私の休日の体力を著しく消耗させる敵以外の何者でもなくなった。そうでなくても体力の低下が目立つ昨今、深夜眠っているときに外で除雪車が働いている音が聞こえてくるだけで、ああ、また朝になったら肉体労働か、と憂鬱な気分になる。


 だが、一方で大量に降った雪が、決して水不足を招かない夏の札幌の生活を支えている。畑の上に降り積もった雪は冬の厳しい寒さから土を守り、翌年の農作物の生産の礎となる。生活するにはしんどいが、北海道にとってはなくてはならない季節、長い冬が、今年もまたやってくる。



 

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2018/11/18

貨物線を走る旅客列車~「ホリデー快速あたみ」

 前回の記事で触れたJR東日本武蔵野線は、鶴見-西船橋を結ぶ100.6kmの路線である。もともと都心を避けて東海道本線と東北本線などを結ぶ貨物線として計画され、首都圏の外縁を半円を描くように敷かれている。この他に直行する各路線との短絡線が5本ほどある。この辺りの話は以前にも書いた。

 ⇒乗りつぶしの話【2】乗ったのに実績ゼロ(2)
  ※その後、乗車記録の集計ルールは変えています。


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 通常旅客輸送は府中本町-西船橋間71.8kmでおこなわれており、鶴見-府中本町間28.8kmと短絡線の一部は、通常貨物列車しか走らない。一部の時期を除く土曜・休日に限り、「ホリデー快速鎌倉」(南越谷-鎌倉)などの臨時列車が運転される。時刻表にも「臨時列車のご案内」のページにしか登場せず、私のルールでは参考記録扱いとなるのだが、その中でも比較的乗りやすい区間である。


 たまたま前回のブログで触れたから、ということもあるのだが、11月上旬、東京へ出張する機会があり、その仕事明けの土曜日、青梅-熱海を武蔵野貨物線経由で11月10日・11日限定で走る臨時列車「ホリデー快速あたみ」に乗ってみた。全車指定席となっているが、金曜日の深夜に幸い先頭車窓側の指定席を確保できた。


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 午前8時50分ごろ、青梅線拝島駅ホームには、「ホリデー快速あたみ」を待つ乗客がすでに数十人集まっていた。そのうちの半分ほどは、ひと目でそれとわかる「その筋の方」である。
 9時少し前、青梅方面から、「ホリデー快速あたみ」が入ってくる。185系特急型電車6両編成である。白いボディに緑の斜めストライプの帯が入ったカラーリングが斬新だった車両もすでに車齢36年となり、数年中の引退も噂されている。車内には国鉄型車両の香りが随所に残っている。


 9時01分発車。まずは青梅線を立川へ向かう。立川から南武線へ乗り入れる「ホリデー快速あたみ」は、通常は下り列車しか走行しない立川-西立川間の通称「青梅連絡線」を通り、中央本線を跨いで立川駅へ入る。この辺りも鉄道ファン的には非常にレアである。運転席すぐ後ろのデッキには、何人もの「その筋の方」が出入りする。そのたびに旧式の自動ドアが大きな音を立てて開閉し、落ち着かない。


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 立川からは南武線に入り、府中本町を出ると、列車は左に南武線を分けて武蔵野貨物線に入る。しばらくは南武線と並走するが、多摩川を渡り終えると南武線の線路が左へカーブしながら離れていき、こちらはトンネルに突っ込む。長短2本のトンネルで武蔵野台地の下を突っ切っていく。闇の中で2本の貨物列車とすれ違う。


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 ようやくトンネルを抜けて明るくなったかと思うと、梶ヶ谷貨物ターミナル駅を通過する。コンテナが無数に積み上げられたターミナルは、郊外とはいえ首都圏とは思えない広さである。その横を過ぎると、列車は再びトンネルに入る。台地の上の住宅地や他路線との交点もトンネルや高架で無視するように抜けており、そもそも旅客営業をまったく前提としていない線形である。


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 トンネルを出ると、横須賀線や湘南新宿ラインの列車が走る東海道本線支線、通称「品鶴線」がすぐ隣に接近してきて並走する。こちらももとは貨物線として開業した路線である。その「品鶴線」上にある新川崎駅の少し先が新鶴見信号場で、ここから先は品鶴線と武蔵野貨物線の並行区間となる。


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 品鶴線がこちらの上を跨いで右手へ移ると、ほどなく左から接近してくる東海道本線を跨ぐ。無数の線路が並走するようになって、鶴見駅。貨物線のこちら側にホームはないが、その少し先で列車はいったん停車。「運転士が変わるんだよ」と後ろの方で誰かの声が聞こえた。確かにホームも何もないところに運転士が1人待機しており、こちらの列車から降りてきた運転士と引き継ぎをして列車に乗り込んでくる。時間にして1分ほどの儀式だが、これもまたレアである。


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 鶴見からは東海道本線を走り、10時05分、横浜に到着。武蔵野貨物線を堪能した私はここで列車を降りた。貨物線を走る列車もレアだが、駅構内など細かいところでの走行経路、乗務員の引継ぎなど、楽しみの多い列車であった。参考記録にしておくのがもったいないような体験ではあるが、自分で決めたルールであり、公式記録上の乗車実績はゼロである。


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2018/11/04

鉄道完乗こぼれ話【2】続・「鉄道完乗」の対象とはそもそも何か

 前回の続き。深い話なので、興味のない方はスルーで。


 鉄道の乗りつぶしを志した当初、私は当時の大半の人がそうであったように、まずはJRだけの全線完乗を目指した。行程の都合で私鉄を使うことなどがないわけではなかったが、乗車記録も残しておらず、私鉄はJRを全部乗り終えた後で考えようかな、という程度の感覚だった。


 私がはっきりと、「私鉄も含めた日本の鉄道全て」を完乗対象として意識するようになったのは、乗りつぶし熱が再燃し始めた2006年のことである。この時から、旅程の途上にある私鉄にも意識的に乗り歩くようになっていくのだが、当時はまだ乗るべき対象となる路線のデータが整理されておらず、同時並行で進むことになった。よって天橋立付近へ3度も足を運ぶ羽目になったりするのだが、これは致し方ない。


 前回書いたような経緯で、私が乗るべき鉄道は「鉄道要覧」に記載された「鉄道」と「軌道ということで整理をしたのであるが、これについてももう少し整理する必要があった。なぜならば、この中には乗ろうと思っても乗ることのできない鉄道というものが少なからず存在しているためである。


 その最たるものは貨物専用鉄道である。貨物の積み出し港付近に多い。また、JR貨物は大半の路線でJR旅客鉄道の路線を拝借して貨物列車を運転しているが、貨物ターミナルへの出入線など、一部区間では自ら線路を保有している。これらの路線には人間たる私は乗ることができない


 これとは別に、旅客鉄道会社が路線を保有していながら、通常は貨物列車しか運転されない路線もある。例えば武蔵野線は、旅客列車は府中本町-西船橋間の運転であるが、路線そのものの起点は東海道本線の鶴見である。鶴見-府中本町間は通常貨物列車しか運転されていない。
 ところがこの区間には、行楽シーズンなどごく一部の期間に限り、埼玉と横浜・鎌倉を結ぶ「ホリデー快速鎌倉号」などの臨時列車が運転されている。


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 また、以前は寝台特急「カシオペア」「北斗星」をはじめ本州と北海道を結ぶ旅客列車が運転されていたJR北海道・海峡線は、北海道新幹線と線路を共用する現在、定期列車は貨物列車のみである。だがここにも、臨時運転でクルーズトレインである「トランスイート四季島」などが運転される。こちらは団体運転でツアーを利用しなければ乗ることはできない。8月の旅で立ち寄った秋田港と秋田を結ぶ路線なども、クルーズ客限定で旅客営業をすることがある。


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 その一方で、純然たる旅客用路線でありながら、季節営業となるところもある。代表例は上越線・越後湯沢-ガーラ湯沢間が挙げられる。上越新幹線から分岐するこの路線は、スキー場の営業期間である冬季は毎日列車が運転されるが、夏は運休となる。


 こうした路線の扱いも非常に悩むところである。実際に貨物列車しか走らないような鉄道・路線を対象から外すことは全く問題がない。あとはひと思いに「定期旅客列車が毎日走る路線」だけに限定してしまってもよさそうなものだが、季節限定、曜日限定とはいえ列車が走ることが初めからわかっている路線を乗らずに済ませるのは、チリホコリを残したまま掃除を済ませるような後味の悪さが残る。かといって、特定の日にしか列車が走らなかったり、特定旅客しか利用できない路線にまで乗れと言われても困る。


 そこで私は、「旅客列車が定期的に運転される路線」を乗車記録の対象とし、特定日・特定旅客に対してのみ運転される路線や貨物専用線は、「通常旅客列車が運転されない路線」として、参考記録にとどめることにした。
 したがって、季節限定であっても毎日列車が走るガーラ湯沢線は乗車対象とする。逆に武蔵野線・鶴見-府中本町間や海峡線などのような路線は乗車対象とはしない。ちなみに、武蔵野線は現段階で未乗、海峡線は新幹線開業前に何度も乗車しているが、こちらは「参考記録」として整理している。 こうした路線は貨物専用鉄道も合わせると400km余りある。


 この辺りの線引きは非常に主観的なもので、人によっては異論のあるところだと思うが、何度も繰り返す通り、そもそも鉄道完乗など明確なルールが示されているわけでもなく、あくまで当人の自己満足の世界であるから、他人から目くじらを立てたり揚げ足を取られるような性質のものではない。細かいところまで突き詰めればきりがなく、例えば複線区間では上りと下り両方に乗らなければ完乗にならない、とか、札幌駅は1番線から10番線まで全部を通らないとダメだ、とか言われると、これは趣味の世界を通り越えて一種病的な世界に突入することになる。


 もとより、参考記録区間であっても、機会があれば乗ってみたいと思うのは趣味人としては普通の感覚であるから、今後折に触れてチャレンジしてみようとは思う。こうした話も、鉄道に興味のない人からすれば、拭き掃除とワックスがけの後に再度掃除機をかけるようなもので、変人認定の種にしかならない。だが、繰り返すが趣味とはそんなものである。


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2018/11/01

鉄道完乗こぼれ話【1】 「鉄道完乗」の対象とはそもそも何か

 「日本の鉄道に全部乗りました」という話をすると、ふだんあまり鉄道に関心のない周囲の人も、少なからず興味をもって話を聞いてくれる。闇雲に鉄道を乗り歩いているだけの間は、「ただの変わった人」という扱いを受けることの方が圧倒的に多かったのだが、何事によらず「成し遂げる」ということは、行動や言葉にある種の説得力を持たせることを可能にするらしい。


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 そうした中で、必ず聞かれる質問がいくつかある。そのうちのひとつが、
「鉄道全部、って、全部ですか?地下鉄も、路面電車も?
というものである。これに対して私は、
「もちろんですよ。私鉄も、地下鉄も、路面電車も。モノレールやケーブルカーも、です」
と答える。前段だけでも「ほおっ」という反応が聞かれるが、ケーブルカーのくだりまでたどり着くと、「ぎょえっ」という悲鳴交じりの感嘆詞に変わる。このあたりからやはり、随所に「やっぱり変人じゃん」というニュアンスが見え隠れするようになる。


 ただ、以前にも書いたことがあるが、「鉄道全線完乗」の定義、すなわち乗るべき路線、鉄道はどれか、ということに関しては、人それそれにルールがある。そもそも「鉄道」という言葉の定義自体が狭義から広義まで幅広いからである。
 どういうことか、そのあたりを私自身の復習も込めて、一度まとめておく。


 この先深みに入るので、興味のない方はしばしスルーで。


 私が乗車対象とした鉄道については、毎年1度発行されている「鉄道要覧」という、日本国内の鉄道をまとめた資料に基づいている。ここに記載された交通機関が、いちばん広い意味での「鉄道」であるが、この中身は大きく3つに区分できる。


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 ひとつは、鉄道要覧の中で定義されている、最も狭義での「鉄道」。専用軌道に敷かれた鉄のレールの上を車輪で走る、一般の人が抱くイメージの「電車」が基本方式である。当然、地上を走るか地下を走るかは関係なく、地下鉄も立派な鉄道である。
 この区分の中には、ケーブルカー(鋼索鉄道)やモノレール(懸垂式鉄道、跨座式鉄道)、新交通システム(案内軌条式鉄道)、さらにはレールはないがトロリーバス(無軌条電車)といった変わり種も含まれている。


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 ふたつ目は「軌道」である。もともとは道路などの上を利用して敷かれたレールを走るもので、鉄道とは準拠する法律も異なる。
 一番わかりやすいのは路面電車である。モノレールや新交通システムの中にもこちらに相当する路線、区間がある。また、大阪メトロ(旧大阪市営地下鉄)の大半の路線など、どう見ても鉄道と思われるものも、高速道路と一体で整備されたために、区分上は軌道になっていたりして、境界線は多少あいまいである。


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 みっつ目は「索道」である。これはレールではなく、鋼製のケーブルに搬送機がぶら下がっているものである。ロープウェイゴンドラのような「普通索道」と、リフトのような「特殊索道」に分かれている。


 で、この中からどれを乗りつぶしの対象にするか、ということにある。
 狭義の「鉄道」がその対象であることは言うまでもない。問題は残るふたつである。


 「軌道」は、鉄道事業法の範疇に含まれないが、どこを走るかだけの差であって、鉄道の一種だとみて問題ないと思う。一般的にも大半の軌道線は「電車」のイメージで語られる。「ゆりかもめ」のように、鉄道と軌道の区間が入り乱れて1本の線を構成している路線もある。


 問題は「索道」である。こちらは鉄道事業法に基づく乗り物であり、法的には軌道よりも鉄道に近い。だが、スキー場や観光地のリフトの類、特殊索道が鉄道の仲間、と言われても、子ザルを見せられて「あなたの子供よ」と言われたくらいの違和感がある。一般索道にしても、箱根や立山のロープウェイはともかく、スキー場のゴンドラリフトも同じ仲間だ、と言われれば、鉄道の匂いは遠のく。


 いずれにしてもどこかで線引きをしないと、「鉄道乗りつぶし」と称しながら、冬ごとに日本全国のスキー場を渡り歩かなければならないようなことになるので、「索道」はすべてを除外し、乗りつぶし対象は狭義の「鉄道」および「軌道」とした。このあたりがおそらく鉄道ファンの中でもマジョリティになるのではないかと思う。


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 それでも普通の人たちから見れば、ロープウェイと懸垂式モノレールの区別などつかないであろうし、「トロリーバス」が鉄道であるなど、全く理解できないに違いない。
 だが逆に私にしてみれば、嵐に熱狂する嫁の気持ちも、ラブライブの登場人物がすべて見分けられる坊主の眼力も全く理解できない。趣味とはそんなものである。


 深めの話、続く。


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