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2018/12/02

新函館北斗駅の憂鬱

 所用で仙台まで出掛ける用事があり、特急「スーパー北斗」と東北・北海道新幹線「はやぶさ」を乗り継いで行ってみた。その際、新函館北斗での乗り継ぎに時間の余裕を持たせて、先日の鉄道完乗の日にじっくり観察できなかった新函館北斗駅に降りた。


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 函館の北、北斗市の大野地区に設けられた新函館北斗駅。この位置にはもともと、普通列車の一部だけが停車する無人駅、渡島大野駅があった。函館から先、札幌に向けて延伸工事がおこなわれる北海道新幹線において、地形的に袋小路となる函館市への駅設置は現実的でなく、この位置になったわけだが、このことが当初から仮称「新函館」として計画されていた新幹線駅名をめぐる、函館市と北斗市の激しい綱引きにつながった。

 ⇒「新函館よ、どこへ行く」


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 駅そのものは、在来線4線、新幹線2線の比較的コンパクトな構造である。在来線1・2番線と新幹線11番線の間は階段を上り下りすることなく乗換可能になっている。乗り換えに要する時間は、新幹線ホームから遠い3・4番線からでも5分程度だろう。ただし大量の乗換客で混雑した先日の体験もあり、時期によっては10分程度の余裕が必要になる。


 もともと在来線・新幹線ともに本数が少ないこともあり、列車ダイヤは接続を考慮して組まれているが、雪による列車遅延などが多い地域特性からか、札幌方面、函館方面ともに乗り換え時間は余裕を持って組まれている。
 ただ、駅構外へ出てのんびり土産物の物色や飲食をしているほどの余裕はない。


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 正面に相当する駅南口の周辺の開発はあまり進んでいない。駅前には郵便局と、主要レンタカー会社の営業所が並ぶ程度で、商業ビルなどの姿はなく、新青森に輪をかけて寂しい。隣接する北斗市観光交流センター内には、土産物屋や軽飲食店など10店ほどが入店しているが、土曜日の正午前後になっても客の姿はまばらである。新青森駅構内のショップ街が多くの客で賑わっていたのとは対照的である。


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 反対側の北口はこれをさらに上回り、小さなロータリーの目の前には田んぼや畑が広がり、民家さえ少ない。改札へ向かう長く、広い階段を通る人はなく、寂しさだけが募る。
 函館の市街地を大きく離れており、しかも札幌延伸までの仮の終着駅を宿命づけられているためだろう、企業や商業施設の誘致は進んでいないようである。終着駅、というよりは、新幹線と在来線の単なる乗換駅、といった風情で、ある種往年の千歳空港駅(現在の南千歳駅)に通ずるものがある。


 JR北海道が去る11月9日に公表した、2017年度の線区別輸送概況によると、北海道新幹線の輸送密度は、前年度の5,638人/km/日から約2割減の4,510人/km/日となった。この数値はJR北海道全体の平均輸送密度を下回る水準である。営業収入の減少に加え、保守費用などの増加もあり、共通管理費を含めた営業損失は前年度から45億円悪化し、99億円に達した。JR北海道全体の鉄道営業損失の2割近くを占め、線区別では最大である


Dscn1128  JR北海道は先頃、貨物列車とのすれ違いの安全確保のために最高速度を140kmに制限している青函トンネルについて、最高速度を160kmに引き上げ、東京-新函館北斗の最短所要時間を3時間台に短縮すると発表した。鉄道と飛行機のシェア逆転のボーダーラインの内側に入ってくることになるのだが、結局乗り継ぎで函館方面へは30分余計にかかるわけで、劇的に鉄道利用シェアが伸びるとは思えない。札幌延伸まで予定ではあと12年。北海道新幹線と新函館北斗駅の将来像は、まだ描けない。


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鉄道の旅人」カテゴリの記事

コメント

あくまでも函館へ行くための乗り換え駅であり、この駅で降りる用事がある人は少ないので、当然といえば当然と言えます。南千歳駅でも、乗降客は新千歳空港から道東や室蘭方面へ乗り換える客がほとんどです。立地を考えると、新函館北斗駅は駅前にホテルを誘致して、レンタカーで大沼や鹿部、函館に観光へ行きたい人のスタート地点とする方がいいかもしれません。

さて、新幹線が来てからの函館の様子を伺ってみると、いろいろと興味深い話が聞けました。羽田発函館行きの飛行機は最終便が17:30発と早いので、東京発新函館北斗行きの最終はやぶさ(東京19:20発)は重宝するようです。

また、七飯や木古内に新しい道の駅ができたり、函館を中心にホテルへの投資が増えたりと、新幹線効果を感じさせる話もチラホラと見受けられます。ホテルに関しては、函館駅前・新函館北斗駅前・木古内駅前・五稜郭・湯の川温泉で新築やリニューアルの話がいくつか出ているようです。今年、GLAYのライブが函館で開催された際には、ライブ前日に八戸のホテルに宿泊して翌日の新幹線で函館入りするという客もいました。

また、間接的にではありますが、はこだてライナーが新設されたことで函館近郊の普通列車に新車が導入されました。ロングシートになりましたが、キハ40形よりも段差が少なく乗りやすい点は好評のようです。本当はH100形の導入を早く進めてほしいところですが。

他にも、函館バスや路面電車でICカードが導入されているのに対し、JRや道南いさりび鉄道ではICカードが導入されていないため、これを改善するよう求める声があります。函館バスでは観光客の増加に対応すべく、外国人にも分かりやすいように路線バスの系統番号が見直されました。

良い面悪い面はありますが、今までにはなかった動きが函館周辺で起こっているようでした。

投稿: 龍 | 2018/12/04 17:50

 龍さん、いつもありがとうございます。
 実際のところ、8月の日曜日の下りと先日の上り、2度利用しましたが、いずれも想像以上に乗客がいる印象でした。年間平均の輸送人員と比べてみると、曜日や季節、時間帯で相当差があるのだろうなと推察します。
 最終下りの重宝さや、ライブ目当ての客の広域な移動など、新たなニーズが生まれてきていることには明るさも感じますが、いかんせんビジネス客が見込めないのがきついですね。
 貴重な情報をありがとうございました。

投稿: いかさま | 2018/12/06 23:51

2019年に入ってから、北海道新幹線に関して追い風となる話題が立て続けに入って来ています。
まず、3月のダイヤ改正で青函トンネル(奥津軽いまべつ〜木古内間)の最高速度が140km/hから160km/hに引き上げられることは既に発表済みですが、昨年9月に行われた走行試験の結果「新幹線が180km/hで貨物列車とすれ違ったが、安全上の問題はなかった」とのことでした。
また、JR東日本では、最高速度が一律260km/hとされてきた整備新幹線のうち、東北新幹線の盛岡〜新青森間を最高速度320km/hに引き上げる方針を固めました。
東京〜新青森〜新函館北斗間しか完成していない現状が厳しいことには変わりありませんが、こうした小さな積み重ねが新函館北斗〜札幌間の延伸時に結実することを祈ります。

投稿: 龍 | 2019/01/14 21:54

 龍さん、ありがとうございます。
 いろいろな動きが出てきましたね。よく巷で語られている「東京-札幌4時間」は厳しいとしても、東京-福岡とほぼ同条件の5時間弱で結ぶためには、東北新幹線区間と青函トンネルにおけるスピードアップは不可欠ですね。
 新函館北斗までの営業では、収支改善にはかなりの厳しさが伴うと思いますが、札幌開業に向けたはずみになってくれればと、私も思います。

投稿: いかさま | 2019/01/15 00:55

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