« 帰省百態【0】岐阜・札幌間の小さな旅 | トップページ | 帰省百態【1】名古屋・札幌 空の玄関の28年 »

2019/07/22

参議院選挙と高田渡「値上げ」

 参議院選挙の通常選挙がおこなわれ、現在着々と開票作業が進んでいる。
 今回もここしばらくの選挙の傾向を大きく踏み外すことなく、連立与党が改選過半数を余裕で獲得し、焦点は維新を含めたいわゆる「改憲勢力」が3分の2を確保するかどうかという点になっている。現状では各局ともやや微妙との見方となっており、そもそも公明党が「改憲勢力」に相当するかどうかも疑わしいと内心では私は思っているのだが、ともかく、選挙に前後していろいろな問題が浮上しながら、結果「いつもどおり」の状況になりそうである。
 

 選挙が行われるたびに、私が思い出す曲がある。それは高田渡の「値上げ」という曲である。


 ⇒高田渡「値上げ」

 高田渡は1960年代後半から70年代に活躍したフォークシンガーである。世相を鋭く切りつつ、それをどこか揶揄するような曲を多く残した。「値上げ」はその中の1曲である。値上げを明確に否定するスタンスが、次第に表現を変えて弱くなっていき、最後には値上げに踏み切ることになる。そのニュアンスの緩やかな変化が非常に面白い。政治家の答弁そのものである。


 前回の選挙の時に挙げた政権公約が実際に実現されたのか、そのような経過をたどったのか、それは選挙のたびに私が気になっているところである。今回、「池上無双」でおなじみの池上彰氏がそこに切り込んでいた。ターゲットとなっていた公約はTPPである。
 確かに6年前、今回改選となった議員が選ばれた参院選では、自民党もTPPに反対していた。しかし結果としてTPPはアメリカを除いた形で批准され、今回の参院選後にはそのアメリカとの貿易交渉も控えている。


 某議員が池上氏の質問に答え、「聖域なき関税撤廃を前提とした交渉には反対だと言っていた。アメリカが抜け、その前提がなくなったのだから問題ない。われわれは一度も全面反対だと言ったことはない。」と公言していたが、果たしてそうだったか。選挙公報にはそう書かれていたかもしれないが、少なくとも議員の口からそのような発言はなかったと記憶している。



 もちろん、TPP批准に至る経過には、最大限の国益を実現するためという目的があったはずである。私はどちらかというとTPP批准で大きく影響を受ける業界に近いところで働いているが、全体としてそれが最大の国益に通じるというのならば仕方がないとは思う。だがそれならばその過程を丁寧に説明すればよい。現実にはうやむやのうちに政策は転換され、「値上げ」の曲と同じ展開をたどった。それだけならばまだしも、「反対」をなかったかのように扱うその姿勢に、政治家としての誠実さは見られない。


 説明と言えば、闇営業をめぐる一件で、吉本興業所属の芸人2名が土曜日に記者会見をおこなった。真相が明らかになったかどうかは定かではなく、また会社側の説明も現時点でも受けていないので、それが正しいのかどうかは判断しがたい。けれども会見の中で、記者の質問に真摯に応えようという姿勢は少なくとも見られたし、2時間半という長い時間、質問が出尽くすまで記者たちと向き合った誠実なスタンスは評価されてよいと思う。


 そのことから考えると、今の政治家に信頼や期待を置く人が少なくなるのもやむを得ないのかなと感じる。今回の投票率は50%を割り込むとみられており、少なくとも半分の人が投票に足を運ばなかったということがそれを如実に表している。
 質問に対してそれを遮ったり、質問に沿わない自説だけを自慢げに語ったり、敵対する野党を揶揄するような発言を繰り返す党首に「真摯」という姿勢を感じることはできない。6年半前の謙虚さはどこへ行ってしまったのかと思う反面、政治空白に等しい3年あまりを生んだ挙句に四分五裂し、存在感を示すことのできない野党に期待することもできない。


 国民の権利である「選挙権」を行使しないことに対して批判することはそれはそれで正しいのだろうが、消去法で投票先を決めようとしたらみんな消去されてしまった、という有権者がおそらく相当数に上るに違いない。
 私は今の与党の政策を全否定するつもりは毛頭ないが、全有権者数のわずか4分の1程度の投票によって過半を超える議席を得ているという事実を肝に銘じ、より真摯に国民や政治と向き合ってほしい、と切に感じている。


ランキング参加中です。みなさまの「クリック」が明日への糧になります。よろしかったら、ポチッとな。

にほんブログ村 鉄道ブログへ にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ 鉄道コム

 

|

« 帰省百態【0】岐阜・札幌間の小さな旅 | トップページ | 帰省百態【1】名古屋・札幌 空の玄関の28年 »

日常の旅人」カテゴリの記事

音楽の旅人」カテゴリの記事

コメント

おはようございますいかさま。
天気悪いですねー。バッテン梅雨明けも今日明日では、と思ってます。週末は地域の夏祭り、大方準備は済んだ気がしますが、気休めです。
ところで参院選終わりましたね。
投票率の低さに、この国の生末が見えるような気がします。
投票に行くのは年寄りばかり?、年寄りも自分のこつしか考えとらんけん、体制の変化は望まんのでしょうね。
年よりは先が(ゴール)( *´艸`)見え取りますけんね。
ばってん!このままいくと、日本は大変なこつになりゃせんどかときぐしとります。
さっそく、ホルムズ海峡の護衛団にかたれとか、兵隊ば出せとか、お友達のトランプの要求ばことわりきれんで、戦争に巻き込まれんならよかばってんですね。
憲法でこの国は守らにゃんとおもとります。
すんまっせん、朝から愚痴ば聞かせまして。
暑くなります。お体の管理に気を付けてお過ごしくださいね。( ^^) _U~~

投稿: mitakeya | 2019/07/23 05:49

 mitakeyaさん、いつもありがとうございます。
 戦後70年経って国際情勢も大きく変わっていく中、憲法に関する議論をするなというつもりはありませんが、どうも安易に物事が流れすぎているような気がします。これから先まだ60年、70年とこの国で生きていく人々に大切な権利をしっかり行使してほしいと思うのですが、一票を投じる魅力のある政党のなさが原因だとしたら情けない話です。れいわ新選組やN国党の議席獲得が今後どのようなうねりを起こすのでしょうか。期待半分、諦め半分の気分です。

投稿: いかさま | 2019/07/29 01:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 帰省百態【0】岐阜・札幌間の小さな旅 | トップページ | 帰省百態【1】名古屋・札幌 空の玄関の28年 »