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2019/09/19

明日の見えない鉄路の旅【2】札沼線・新十津川へ(2)

Shintotsukawa
 前回の続き。


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 小休止ののち、8時40分に石狩月形を発車。座席はほぼ埋まり、運転席の後ろにはカメラを持ったその筋の方が数名陣取って、前方の線路を眺めている。民家や道路から離れ、雑木に囲まれた秘境ムードの豊ヶ岡駅付近が、札沼線の非電化区間で最も国道275号線と離れている場所になる。とは言ってもその距離は直線で600mほど。次の札比内の手前から再びほぼ並走になる。線形は向こうの方が良い。平坦区間で65km/h、勾配で45km/h程度のディーゼルカーでは、60km/h制限の道路をそれよりやや早い速度で流れる国道のクルマに歯が立たない


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 難読駅の晩生内(おそきない)を過ぎて、浦臼。ようやくはっきり地元住民とわかる人が数人、乗って来た。石狩月形-浦臼には1日6往復の列車が曲がりなりにも設定されているが、うち5往復は浦臼発着。ここから先の列車は1日1往復。つまり今私が乗っているこの列車と、終点の新十津川から折り返して石狩当別へ戻る列車だけである。3年前までのダイヤ改正で2往復が削減され、現在の形になった。浦臼より北の駅から、上り(石狩当別・札幌方面)の列車に乗った客は、列車では同日中に帰ってくることはできない


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 線路の西側遠くにそびえるピンネシリの麓から、石狩川を挟んで広がる、一面黄金色の水田に囲まれながら走る。終点のひとつ手前、これも難読駅の下徳富(しもとっぷ)からのラストスパートはほぼ一直線。列車がスピードを緩めるころ、右手遠目に石狩川の堤防が見える。川の向こうは滝川市である。石狩川の右岸を走る札沼線と、左岸を走る函館本線は、このあたりで最接近する。直線距離にして1kmに満たない。列車は住宅街の中に入り、緩やかに左にカーブしながら終点の新十津川に到着する。9時28分着。


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 コスモスに彩られた新十津川の小さな駅には、1日1回だけの列車の発着に合わせ、列車に乗る客、ただ眺めるだけの人と、多くの人が集まっていた。無人駅のはずの駅窓口では、「ご当地入場券」などが販売されており、やはり列が伸びた。「終着駅到達証明書」と銘打った絵葉書も配布されている。駅前には土産物屋も店開きし、地元の名産品や鉄道グッズなどを熱心に売っている。折り返しの列車は10時ちょうど発。これが出てしまうと、おそらくひっそりするのだろう。


Sasshou2  さて、「札沼線」という名前が示すとおり、この路線はかつて新十津川からさらに北、留萌本線の石狩沼田まで線路を伸ばしていた。浦臼-新十津川は、石狩沼田側から建設が進められた札沼北線として1934年に開業している。札沼南線・桑園-石狩当別の開業より1か月早い。石狩当別-浦臼が延長されて南北の路線が結ばれたのは翌1935年のことである。

   
 その後札沼線は数奇な運命をたどる。戦時中、不急不要路線として石狩月形-石狩沼田は営業休止とされ、戦後、1946年に石狩月形-浦臼で営業再開されたが、全線の営業再開は1956年と遅れた。復活からわずか16年後の1972年、当時の「赤字83線」のひとつとして新十津川-石狩沼田は廃止され、現在に至っている。
 新十津川駅のホームから、JAの集荷場や倉庫の間を、数百m北まで線路は伸びている。車止めのすぐ先はアパート。その先は国道を挟んで住宅街になっており、線路の跡を偲べるものは何も残されていない。


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 札沼線の線路が新十津川付近から石狩沼田方面でなく、石狩川を跨いで滝川方面へつながっていれば、あるいはまた異なった展開があったかもしれない。事実、地元ではそういう動きもあったようだが、経営悪化に苦しむ当時の国鉄は全く関心を示さなかった。
 廃止区間には、滝川駅から新十津川を経て石狩沼田駅まで国鉄バスが代替運行され、のち北海道中央バスに引き継がれたが、こちらも乗客の減少で減便と運転区間の短縮が繰り返され、現在は滝川と北竜町碧水の間に4往復が運転されるだけになっている。碧水から石狩沼田の間にバスは運転されていない。


 札沼線・北海道医療大学-新十津川47.6kmは、来年5月7日の廃止が決定している。JR北海道が示す一連の「維持困難線区」としては石勝線夕張支線(新夕張-夕張)に次ぐ2線目の廃止線区となる。
 9月4日にJR北海道がプレスリリースした2018年度の利用状況によると、この区間の輸送密度は62人/km/日と、前年比+5人となったものの相変わらずぶっちぎりのワースト1。営業収入は1,600万円しかなく、費用を差し引くと2億8,000万円の赤字である。廃止後の代替バスもブツ切りで、代替バスが運行しない区間もあるということが、地域の流動とこの路線の存在の乖離を示している。


Dscn1545_20190919224201 新十津川駅に近い、新十津川役場前バス停から乗った滝川駅行き路線バスの車内は、札沼線の列車から乗り継いだ客が大半を占め、4、5人の地元客はその筋の方に囲まれるように小さくなっていた。
 わずか10分ほどで運ばれた滝川の駅前は、私が岩見沢勤務していた10年前と比べてもさらにシャッター街化が進み、閑散としていた。駅待合室の売店もなくなっている。これでは仮に札沼線がここまで伸ばされていても、結果は同じだったような気もする


 続く。



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コメント

う、新十津川から滝川までの路線バスがあったのですね…orz。知っていたのなら教えてくれないと…って、冗談ですが(笑)。去年の8月上旬はとても暑くて札幌が34度くらいだったのですが、炎天下の中フラフラになりながらも、バスで10分という距離を1時間余り掛けて歩きました。。
一応、Googleマップでルートを調べたんですが、バスのことは出てこなかったのでGoogleマップが悪い(笑)。宿泊先のホテルスエヒロ近くの飲食店で、新十津川まで徒歩は可能かと尋ねたら不思議そうな反応でしたが、バスのことまでは知らなかったのかも。

私以外に歩いている人は誰もいませんでしたが、でもいいんです、橋の上からあの石狩川を眺めることが出来たので。模型か本物かは知りませんが、滝川駅前にグライダーが飾られている意味が分かりました。
確かに滝川駅周辺はシャッター街のように閑散としてましたね。でも飲食店はそれなりにあって、繁盛しているお蕎麦屋さんに入ったのですが、とても安くて驚きました。ただ、塩辛くて私は駄目だったのですが、寒い地域は塩辛い物を好むと聞いていたのを思い出しました。

新十津川である飲食店に入って、奈良弁を話しているんだろうかと聞き耳を立てていましたが、それらしきアクセントは聞こえませんでしたね(笑)
私は本当は、我らが祖先が開拓した北見の常呂町に行きたかったのですが距離的に無理でした。常呂町は佐呂間湖のすぐ近くで、佐呂間町や北見市辺りが北海道一暑い地域ということを考えると、それは日本一暑い県の常連である岐阜の血のせいに違いない、最高気温がニュースで伝えられる度にそう思っています(笑)

投稿: みのり | 2019/09/22 13:59

 みのりさん、ありがとうございます。
 新十津川駅と滝川駅の間は4kmほどですから歩けない距離ではないですね。バスは1時間に1~2本程度が運転されています。特急列車の利便性を考えると、浦臼~新十津川間からは滝川へ出て函館本線利用が間違いなく便利ですね。ただそのバスも地元の乗客は少なく、拍子抜けでした。

 滝川の市街地外れには、たきかわスカイパークというグライダーの離発着場があります。国道451号の石狩川橋からはゴルフ場に阻まれてよく見えませんが、1本下流の滝信バイパスの滝新橋からは滑走路がよく見えますね。もう5年ほど前ですが、子供を連れて遊びに行き、グライダー体験をさせたことがあります。

投稿: いかさま | 2019/09/23 23:18

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