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2019/10/07

明日の見えない鉄路の旅【5】クリスタル・エクスプレスとの別れ

 これまでの経過はこちら⇒ その1 その2 その3 その4


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 深川から17時19分発の特急「ライラック36号」で、今日三度目の滝川下車。17時45分発の臨時特急「フラノラベンダーエクスプレス4号」に乗り継いだ。
 夏の最繁忙期には2往復が運転される札幌-富良野間の「フラノラベンダーエクスプレス」には、2種類の車両が使用されている。ひとつは「ノースレインボーエクスプレス」、そしてもうひとつがこの日使用されている「クリスタルエクスプレス」である。


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 北海道におけるリゾート用車両(当時は「ジョイフルトレイン」と呼んだ)の嚆矢は、1985年に余剰となっていた急行用ディーゼルカーの改造により登場した「アルファコンチネンタルエクスプレス」である。この列車の改造は、バブル草創期に、トマム・サホロのリゾートホテルとタイアップしておこなわれた。また、列車の座席をホテルが買い取って運行するスタイルも画期的だった。
 この列車の好評を受けて、翌年には富良野プリンスホテルとのタイアップにより、特急型ディーゼルカー改造による「フラノエクスプレス」が登場する。


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 JR北海道発足後には、1987年に食堂車も組み込んだ「トマムサホロエクスプレス」、1988年には初めての新製車両として「ニセコエクスプレス」が登場し、1989年登場の「クリスタルエクスプレス」、1992年登場の「ノースレインボーエクスプレス」と合わせて最盛期には6本のリゾート車両が道内を駆け巡った。その後、車両の老朽化や需要構造の変化によって廃車が進み、2本のみとなっている。


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 「クリスタルエクスプレス」は、小田急ロマンスカーのように運転席を2階に上げて1階前頭部を展望席としていたこと、中間に2階建て車両を連結し、1階を個室としていたことなど、他の車両にはない個性が人気の的だった。しかし、2010年に函館本線を時速130kmで疾走する特急「スーパーカムイ」とトラックとの踏切事故が発生したことを受けて、旅客の安全確保のため展望室は閉鎖され、座席も撤去された。また、個室も現在は一般販売されず、多目的室とされている。一連のJR北海道の事故続発により、一般の特急列車の代替車両として運用されることも増え、供食・売店設備やBGM・VTR装置などは使用されなくなり、本来の楽しさを失っていった。


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 私は日中に滝川から富良野まで乗車した下り3号では2号車、滝川から札幌までの上り4号では先頭4号車を利用した。ふんわりと体が沈むようなシートの快適さは変わらなかったが、見上げるとディーゼルのすすが屋根肩まで回り込んだ窓を黒く汚している。登場から30年を経たクリスタルエクスプレスは、それ自体が観光客をもてなす車両から、単に観光地へ客を運ぶための列車に変わってしまっていた。


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 30分間隔の電車特急の合間を縫うようにして快走した「フラノラベンダーエクスプレス4号」は、18時46分、日の暮れた札幌駅に到着した。あらためて全体を眺めてみると、遠くから見ると美しかった車体のところどころでは外板の塗装の割れも観られるなど、30年にわたる疲労は外からも隠し切れないようであった。



 この日からちょうど2週間後の9月29日の運転をもって、「クリスタルエクスプレス」は退役となった。JR北海道のリゾート列車6兄弟も、残すところ「ノースレインボーエクスプレス」1本だけとなった。
 クリスタルエクスプレスの後継となるのは、特別仕様で製作が進められているキハ261系となりそうである。この他にも、JR東日本や伊豆急行などからの借り入れ車両を使った観光列車の運行などもおこなわれることになっている。
 けれども、私たちファンは、旅心をそそられるリゾート車両とそのサービス、国内の先端を行く高速化技術を持った新型特急車両の登場に、JR北海道で働く人たちの熱い意気込みを感じ取っていた。今のJR北海道にそれを望むことはできない。そのことがあまりにも切ない。



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コメント

北のリゾート特急代名詞ですね!
寂しくなります><
しばらくは東急の車両ですかね^.^;;

投稿: キハ58 | 2019/10/09 22:12

 キハ58さん、ありがとうございます。
 6本のリゾート車両が富良野へ、トマムへ、ニセコへと走り回っていた時代は遠くなりました。6本の中では抜群の設備を有していたクリスタルエクスプレスは私の一番のお気に入りでもありました。
 東急やJR東日本の車両が入ってきていますが、いつかはまた自前で素敵な車両を開発してほしい、と思ってしまいます。

投稿: いかさま | 2019/10/14 22:27

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