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2019/10/14

台風19号と鉄道

 まず、今回の台風19号で亡くなられた方のご冥福をお祈りしますとともに、負傷された方、ご自宅や家財などが被災された方へ、謹んでお見舞いを申し上げます。引き続き避難指示が出ている地域もあり、河川の決壊や土砂災害のリスクが高まっている地域もあります。どうぞ引き続き注意してお過ごしください。


 今日、10月14日は、「鉄道の日」である。1872年の太陽暦10月14日、新橋-横浜間の官設鉄道が正式に開業してから147年目にあたるのだが、とりわけ関東・甲信越、東北地方の鉄道については厳しい鉄道の日となった。


 このところ、台風による河川氾濫や土砂崩れなどの被害は常態化しており、しかも年々重大化しているように感じられる。台風被害とは縁遠いはずの北海道でも、3年前には河川の決壊で、南富良野町などの市街地が水に呑まれた。水と泥に浸かった建物やインフラの復旧が大変なことは、復旧作業にいくらか携わった者としては身をもってわかる。その災害で大きな被害を被った根室本線の東鹿越-新得間は、JR北海道の経営問題も絡めて復旧が手つかずのまま、存廃の岐路に立たされている。


 鉄道ファンの私としては、やはりこれだけの被害の中で、鉄道がどれだけ被災したかは気にかかるところである。早い段階からの計画的な運休により、乗客を乗せた列車が災害に巻き込まれたり、旅客の足止めで大騒ぎになるような事態はまぬかれたが、各地で洪水や土砂により線路が寸断されていると報じられた。


 北陸新幹線の長野新幹線車両センターは千曲川の氾濫により冠水し、北陸新幹線用のE7系・W7系全30編成のうち10編成(120両)が浸水被害を受けた。青い屋根に彩られた流麗な新幹線車両が整列したまま、車体の半分ほどまで水に浸かった映像は、私たちに何とも言えない衝撃と切なさを与えた。
 鉄道車両の機器は精密部品が多く、加えて重心を下げるためにほとんどの機器を床下に装備している新幹線車両の場合、修復は困難をきわめると思われる。洗浄と部品交換で済めば不幸中の幸いだが、堆積、付着した泥のしつこさは想像を超える。場合によってはすべて廃車とも言われ、新製となれば費用は300億円を超えるという。ネット上では浸水の可能性がある場所に車両基地を設けたことへの批判、高架上にある本線へ列車を避難させなかったことへの疑問も見られる。内容には納得できる部分もないわけではないが、所詮は結果論にすぎない。


 北陸新幹線の本線の一部も冠水したとの報道もあり、長野-上越妙高間の運転再開のめどはたっていない。また、使用車両の3分の1が被災したこと、長野新幹線車両センター自体も使用できないことから、仮に復旧しても当分の間は列車本数の減便や減速など、ダイヤへの深刻な影響は続くものと思われる。開業から4年半、安定した輸送状況で順調に旅客数を伸ばしてきた北陸新幹線にとっては初めての大きな試練である。


 これ以外にも各地で冠水、土砂流入、鉄橋流失など鉄道施設への被害が報じられている。
 JR東日本では中央本線・両毛線・水郡線が大きな被害を受け、東武鉄道日光線・佐野線、京王電鉄動物園線、上田電鉄別所線、箱根登山鉄道、阿武隈急行なども長期間の運休を余儀なくされそうである。今春に東日本大震災以来7年ぶりに復旧し、JR東日本から三陸鉄道に移管されて運転再開したばかりの釜石-宮古間も、路盤流失などにより復旧のめどは立っていない。


 新幹線をはじめ、東京と長野県南部を結ぶ幹線の中央本線、首都圏の通勤路線などは、今後急ピッチで復旧工事が進められることになると思うが、地方のローカル路線の場合、先述の根室本線のように収支と復旧費用の兼ね合いからも路線の存廃論議に行き着く可能性がある。私の実家がある土岐市をかつて走っていた東濃鉄道駄知線も、1972年7月の集中豪雨による鉄橋流失を契機に、復旧されないまま1974年に廃止となった。今回の被災区間は、旅客輸送量の点から見ればJR北海道の例とは比べようもないが、経営的に厳しい区間もあり、今後の動向が気にかかる。


 地震、水害と、あらゆる災害に対して強靭なまちづくりを進めることは、地理的問題や経済的な角度から見ても困難をきわめるが、「想定外」の事態が発生した今回の経験をふまえ、復旧に当たっては、今後同種の被害を最小限に食い止めることができる制度設計や都市計画を進めてほしい。鉄道もそうした中で新たなまちづくりの一翼を担っていくことができれば、それにこしたことはない。


 最後に、重ねて被災された皆様へのお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧をお祈りします。



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コメント

惨状に驚き、声が出ません。
復旧、くれぐれもご安全にです。

投稿: キハ58 | 2019/10/15 21:12

 キハ58さん、ありがとうございます。
 報道では復旧に向けた動きが活発化してきているようですが、鉄道被害は想像以上に至るところで発生しているようで、東北本線の不通で貨物列車にも大きな影響が出ていると聞きます。安全第一ではありますが、早い復旧をお祈りするばかりです。

投稿: いかさま | 2019/10/21 00:30

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