2018/12/17

年の瀬の出来事~爆発事故に思う

 昨日、たまには小難しい記事でも書こうかとPCを立ち上げて、私は初めて札幌で起こった惨事に気が付いた。


 事件は昨夜8時半ごろである。場所は地下鉄南北線・平岸駅近く、国道453号線(通称:平岸街道)に面した居酒屋、不動産仲介店、整骨院が入る雑居ビルが突然爆発した。この時の音は、現場から遠く離れた東区や中央区でも、雷鳴のごとく聞いた人がいるという。
 私の自宅からはおよそ7~8kmほど離れているが、この一帯は、私が大学生時代、毎週2ないし3回アルバイトのために通ったあたりで、現在でもしばしば車で通るところである。


 発生直後からTwitterなどのSNSには、報道各社や近隣住民が撮影した写真が絶え間なくアップされていた。不動産仲介店は跡形もなく、まさに「吹き飛んだ」といった様相で、隣の居酒屋も天井が崩落して原形をとどめていない。かろうじて整骨院が姿を保っているが、一帯は瓦礫の山と化している。


 不動産仲介店と細い通りを1本挟んで立つロイヤルホストは、私が学生時代、時間潰しでしばしばお世話になったところだが、こちらの窓ガラスも粉々である。それどころか、片側2車線プラス中央分離帯のある広い平岸街道を挟んだマンションの窓ガラスも全滅である。今日たまたま私の会社に来た取引先の営業所もこの近くにあり、やはり道路に面したガラスはすべて割れたという。猛烈な威力である。これから寒さがひときわ厳しくなる時期、近隣の住宅なども含めて広い範囲で生活に影響が出ることになるだろう。


 一夜明けてニュースが伝えた現場の状況は凄惨をきわめた。怪我人は重傷者を含めて40人を超え、私の友人の友人も現場に居合わせて、火傷や足を折る怪我をされたそうである。だが、現場の映像を見る限り、負傷者の方には申し訳ない表現かもしれないが、この状況で命を落とす方が出なかったことが奇跡とも思えるほどである。


 事件から1日が経過し、爆発原因の特定が進んでいるようである。スプレー缶のガスの充満が引火原因との報道があり、当事者の証言もあることから断定される可能性が高いと思うが、その一方で現場となったビルの防火管理体制の不備も指摘されている。私自身、業務上、ビルの防火管理者に選任されていることもあり、このあたりは他人事ではない。面倒な仕事ではあるが、ひとたび何かが起こった時、その原因が何であれ、防火体制の不備は厳しく糾弾されることになる。


  そういえば札幌では、今年1月にも自立支援住宅で11人が死亡する火災があった。直前まで当たり前の生活を送り、当たり前に時間を楽しんでいた人々に、一瞬にして悲劇は訪れる。決して別世界の話ではない。なんともやるせない年の瀬になってしまったなあ、と思う。


 負傷された方々の一刻も早い快癒と、心の安定が戻ることを切に願う。


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2018/12/10

鉄道完乗こぼれ話【4】下世話な話ですが、お金。

 鉄道乗りつぶしの話に関してもうひとつよく聞かれる、というか、興味を持ってくれた人の大半が気になるらしいのが、「いくらかかりましたか?」という費用面の話である。実は私もその点については非常に気になっているのだが、実際のところいくらくらいかかったのか、ということを精査したことはない。


 そもそもこの話については、どこからどこまでを費用とみるか、など、難しい話が多い。前回の修学旅行の話がそうだったように、私がこれまでに乗車した鉄道の中には、私の意思と無関係に乗ったところや、出張の結果乗車済みになったところ、あるいは出張や家族旅行などの際に「ついでに」乗ったところも多い。当然そこへ行くまでには費用も発生しているわけだが、少なくとも飛行機代に関する限り私が身銭を切っているわけではない。


 その飛行機代にしても、ここ何年かの大半の遠征については、貯めたマイルで交換した「特典航空券」で飛ぶことが多い。もちろん、そのために私は、単身赴任時代の公共料金の支払から、コンビニでのこまごました買い物に至るまで、ありとあらゆる場面でカードを駆使し、しこしことマイルを貯めてきた。ボーナスマイルを貯めるために余計な年会費を払っていたりするので、これが交通費にカウントできないわけではないが、厳密な意味で交通費と言えるかどうかは疑わしい。


 では、例えば1回の遠征でどのくらいの費用が掛かっているか、となると、これも何処へ出かけて何に乗るか、による。
 JR線が中心の乗りつぶし旅で、「青春18きっぷ」や地域のフリーきっぷでおおむね賄える時期やエリアであれば、現地交通費は1万円から2万円程度である。遠方だったり別払いの切符代がかさむ地方の私鉄が多い時などは、これに加えて1~2万円程度は余計にかかる。


 この他に宿泊代がかかるわけだが、そもそも鉄道に乗ることが目的なので高い投資はしない。この年になるとさすがにネットカフェとかサウナで夜明かしをすることは稀になったが、大半が5,000円以下のビジネスホテルである。中にはハズレもあったり、buzzっちさん(←懐かしいお名前)に「そこは多分『出る』部屋だ」などと脅されたりする訳あり物件だったりするのだが、ブログのネタになるようなひどい部屋に当たった経験は少ない。


 これらに食費などその他こまごまとした費用を含めると、1回3泊4日あたり3~6万円程度、と導き出される。それはけっこうな金額ですね、などと言われることもあるが、基本年1回の趣味に投資する金額としてこれがさほど高いとは私は思っていない。


 例えばゴルフの好きな友人などは、1年間(北海道の場合実質半年)で20ラウンド以上する。最近ではセルフプレイのコースが増えて、平日なら5,000円以下、休日でも1万円以下というところもある。だがそれでも回数が20回に及べば、1回単価5,000円としても10万円にはなる。私の旅行2回分である。5年ごとにクラブを買い替えるとして道具への投資は年2万円近い。私の重要なツールである時刻表は1冊1,100円程度。1年毎月買い続けてもお釣りが来る


 ただ、この趣味は30年超の歴史を持っており、1988年の初めてのひとり旅が4日間で約5万円だった。以来、1989年夏の北陸・紀伊半島4日間が約6万円、1990年春の九州一周2週間が約18万円だった。お年玉に加えて、当時高校の唯一の公認バイトだった年賀状配達で稼いだお金を握りしめて旅立ったのが懐かしい。
 大学卒業時の日本一周の際は、現地調達分も含めて1か月で約40万円の費用を要している。これも塾講師時代、冬期講習をフル回転したバイト代を全部突っ込んでいる。


 社会人になってから、「乗るための旅」に出たのは、2006年以降9回。これで約50万円。ここまでの積み上げでも120万円に達する。これに「ついで」の乗り歩きやこまごましたものを加えると、正確には出せないが、普通車1台分くらいの金額にはなっているのではないかと思う。いずれ落ち着いたときに、一度ちゃんとはじき出してみたい気はする。


 ただ、「全線完乗」の定義づけの迷走もあり、九州へ3回、四国へ2回など、同じ所へ何度も行き来しているので、費用は相当にかさんでいる。真剣に乗りつぶしだけを目的に効率的に乗り歩けば、おそらく費用はこの半分程度で済むのではないかと思うが、先日の五能線の例もあるように、季節や天候を違えれば全く違う風景に会うことも少なくない。これはこれで楽しめたと思っている。この投資額を果たしてどうとらえるか、は、これまた人それぞれではないか、と思う。


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2018/12/06

親子です。

 先日、下の坊主の小学校で学習発表会があった。
 下の坊主は6年生になるので、今年が最後の発表会である。上の坊主の時から通算9年足を運んだ小学校の発表会も最後である。


 どこの学校もそうなのかはわからないが、最近の小学校の発表会は、子供たちを公平に扱うためなのだろう、劇をやると、約30分の劇中、主役を交代で4~5人の子供が演じる。その他の役も同様で、わが校の場合は1学年およそ60人の子供たちに均等に出演機会とセリフを与えるようになっている。ひと握りの優秀(または強運)な子供が華やかな役を演じる一方で木の役だとか石ころの役などというしょぼい役回りを演じる子供たちもいた私たちの時代とはずいぶん違うものである。


 そういった中で、どういうわけかうちの坊主は、出番は短いが演じ切りの役を引き当てることが多い。あるいは本人がそれを狙っているのかもしれないが、そういうことになっている。ちなみに彼は過去2年、劇中の本筋とはあまり関係のないお笑い芸人の役を演じた。2年前の漫才は見ていて切なくなるほどウケなかったが、昨年のショートコントは、私個人の中では先日の霜降り明星の何倍も面白かった


 その彼が今年演じた役はペテン師。ストーリーの詳細は省くが、出番1回きりのピン役である。雑踏の中でサイコロ振りで町行く人々を騙してお金を巻き上げる、という、どうかと思うような役回りである。
 だが実際に演じた彼の姿はなかなかのもので、にこにこ笑いながら、お姉さんお姉さん、ちょっと勝負していかない?などと声をかけ、カップの中でサイコロを振る仕草なども実にさまになっている。


 結局劇中では、主人公にインチキを見破られ、町の人たちから非難を浴びて逃げ出すことになるのだが、それがばれた際、ペテン師の坊主が町の人々に取り囲まれて、
いかさまだ!こいつはいかさまだぞ!おい!いかさま
と罵声を浴びせられるシーンがあった。
 私はそのシーンで、おいおい、親子そろっていかさまかよ、と、ひとり勝手にツボに入って大爆笑することになった。


 ちなみに、「勉強を頑張る!」と宣言した5分後にはベッドにうつぶせになって漫画を読み、「10分で部屋を片付ける!」と豪語して半日経っても部屋の足の踏み場がないなど、下の坊主は実生活においても正真正銘のペテン師である



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2018/12/02

新函館北斗駅の憂鬱

 所用で仙台まで出掛ける用事があり、特急「スーパー北斗」と東北・北海道新幹線「はやぶさ」を乗り継いで行ってみた。その際、新函館北斗での乗り継ぎに時間の余裕を持たせて、先日の鉄道完乗の日にじっくり観察できなかった新函館北斗駅に降りた。


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 函館の北、北斗市の大野地区に設けられた新函館北斗駅。この位置にはもともと、普通列車の一部だけが停車する無人駅、渡島大野駅があった。函館から先、札幌に向けて延伸工事がおこなわれる北海道新幹線において、地形的に袋小路となる函館市への駅設置は現実的でなく、この位置になったわけだが、このことが当初から仮称「新函館」として計画されていた新幹線駅名をめぐる、函館市と北斗市の激しい綱引きにつながった。

 ⇒「新函館よ、どこへ行く」


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 駅そのものは、在来線4線、新幹線2線の比較的コンパクトな構造である。在来線1・2番線と新幹線11番線の間は階段を上り下りすることなく乗換可能になっている。乗り換えに要する時間は、新幹線ホームから遠い3・4番線からでも5分程度だろう。ただし大量の乗換客で混雑した先日の体験もあり、時期によっては10分程度の余裕が必要になる。


 もともと在来線・新幹線ともに本数が少ないこともあり、列車ダイヤは接続を考慮して組まれているが、雪による列車遅延などが多い地域特性からか、札幌方面、函館方面ともに乗り換え時間は余裕を持って組まれている。
 ただ、駅構外へ出てのんびり土産物の物色や飲食をしているほどの余裕はない。


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 正面に相当する駅南口の周辺の開発はあまり進んでいない。駅前には郵便局と、主要レンタカー会社の営業所が並ぶ程度で、商業ビルなどの姿はなく、新青森に輪をかけて寂しい。隣接する北斗市観光交流センター内には、土産物屋や軽飲食店など10店ほどが入店しているが、土曜日の正午前後になっても客の姿はまばらである。新青森駅構内のショップ街が多くの客で賑わっていたのとは対照的である。


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 反対側の北口はこれをさらに上回り、小さなロータリーの目の前には田んぼや畑が広がり、民家さえ少ない。改札へ向かう長く、広い階段を通る人はなく、寂しさだけが募る。
 函館の市街地を大きく離れており、しかも札幌延伸までの仮の終着駅を宿命づけられているためだろう、企業や商業施設の誘致は進んでいないようである。終着駅、というよりは、新幹線と在来線の単なる乗換駅、といった風情で、ある種往年の千歳空港駅(現在の南千歳駅)に通ずるものがある。


 JR北海道が去る11月9日に公表した、2017年度の線区別輸送概況によると、北海道新幹線の輸送密度は、前年度の5,638人/km/日から約2割減の4,510人/km/日となった。この数値はJR北海道全体の平均輸送密度を下回る水準である。営業収入の減少に加え、保守費用などの増加もあり、共通管理費を含めた営業損失は前年度から45億円悪化し、99億円に達した。JR北海道全体の鉄道営業損失の2割近くを占め、線区別では最大である


Dscn1128  JR北海道は先頃、貨物列車とのすれ違いの安全確保のために最高速度を140kmに制限している青函トンネルについて、最高速度を160kmに引き上げ、東京-新函館北斗の最短所要時間を3時間台に短縮すると発表した。鉄道と飛行機のシェア逆転のボーダーラインの内側に入ってくることになるのだが、結局乗り継ぎで函館方面へは30分余計にかかるわけで、劇的に鉄道利用シェアが伸びるとは思えない。札幌延伸まで予定ではあと12年。北海道新幹線と新函館北斗駅の将来像は、まだ描けない。


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2018/11/26

鉄道完乗こぼれ話【3】 鉄道完乗に要した期間

 一般の方と話していてよく聞かれることは他にもあり、多いのは「何年くらいかかったんですか」というものである。これも人それぞれで一般化できる話ではないのだが、あくまで私の場合、ということでお話をさせていただく。


 いかに私が鉄道が好きであっても、年に何回も遠征を重ねてひたすら鉄道に乗れるほど、時間的にも経済的にも余裕があるわけではない。まして18歳以降、私は北海道に住んで、遠くの鉄道に乗りに行くための距離的ハンデを抱えている。
 おそらくすべてを投げうってひたすら乗り歩けば、半年もあれば日本の鉄道全線制覇できるのではないかと思うが、私の場合、乗車記録を取り始めて以降、完乗を達成するまでには31年と4か月半を費やしている。


 私が乗車記録として自分で認定しているのは、1987年4月1日以降、すなわち国鉄分割民営化以降の乗車である。このルールに従うと、最も古い私の乗車記録は、1987年6月6日、JR東海中央本線・土岐市→名古屋、43.2kmになる。私は中学3年生、この乗車は日光・東京への修学旅行でのものだった。この時はその先、東海道新幹線、東武伊勢崎・日光線と列車を乗り継いでいる。0系新幹線の回転しない3人掛け座席、まだジュークボックスが残っていた東武DRCなどをよく覚えている。


 もちろん、これより以前に乗った鉄道がないわけではない。中央本線の土岐市-名古屋間などは幼い頃から何度も乗っているし、家族旅行で乗った名鉄パノラマカーや近鉄特急、新幹線の0系食堂車などの印象は非常に鮮烈である。
 だが、これとてどこかで線引きをしないと、古い記憶を掘り出していくのは非常に難しい。たまたま私の場合は、ちょうど鉄道の乗り歩きを志した時期に国鉄分割民営化という、日本の鉄道にとっては一大トピックとなる出来事が起こっていたから、それを起点として記録を整理することにしたのである。


 したがって幼少期に乗った路線はすべてそれ以降に乗り直している。また、修学旅行で乗った路線も、その後何度か乗車している。一度乗った路線に別の旅の途上で再度乗車するなどということは珍しいことではなく、新幹線やJRの主要な幹線などはたいがい複数回乗車している。


 ではそういう視点から、私が最後に乗ったのが最も古い路線を拾ってみると、1988年2月11日、愛知環状鉄道・八草-新豊田になる。この区間は後にも先にもこの時乗ったっきりである。それ以前の路線はその後何らかの形で再度乗っている。したがって、私がよく質問される「全部乗るのに何年くらいかかりましたか?」という質問に対する最も正確な答えは、「30年半」ということになる。


 全線完乗達成が目前に迫ったころ、私はこの「偉業」を、せめて平成が終わるまでに達成しよう、と考えていた。幸い、この目標は達成されたのであるが、そこに至る過程の中で、ふと、乗車記録のスタート時点を1987年でなく、1989年1月8日、すなわち平成最初の日として、平成の30年間ですべての鉄道に乗ったという整理にできないか、と考えたことがある。


 その時、昭和時代に乗車済みで、平成以降乗った記録がない路線がどのくらいあるかを再度確認してみたが、思った以上に多く、360kmほどあった。先の愛知環状鉄道の他にも、JR東日本磐越西線(郡山-会津若松)、飯山線、JR東海飯田線、東武鉄道鬼怒川線、野岩鉄道など、けっこう各地に点在している。
 これらの路線に乗り直すためには、さらにあと1回、余計に旅をしなければならない。時間的な問題もあるが、今年は2度の遠征で懐が例年になく寂しい状況になっている。破産の危機に瀕してまでも急いで乗り直すほどの理由はない


 繰り返すが所詮は趣味であり、マイルールである。




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2018/11/22

初雪と冬の思い出

 日照不足に低温、台風に豪雨と、今年1年実にいいことのなかった北海道の天候であるが、今度は冬の訪れの遅さが話題になっている。


 札幌では11月20日、ようやくちらちらと雪が舞った。平年の初雪は10月28日であるから、実に23日遅い初雪である。「降った」というにはあまりにも少なく、よく目を凝らしていないとわからない程度だったのだが、その日の深夜にいくらか降ったらしく、昨21日の朝には5cmほどの湿った雪が道路を覆っていた。これも南区の我が家周辺の話で、中央区の職場近くまで行くと、道路は湿っている程度で、ところどころの植え込みの陰に残る白いものが、降雪の痕跡だけを示していた。
 昨年の今頃にはすでに積雪になっていたような記憶があり、ずいぶんとのんびりしているが、これから先、降って融けて、を繰り返しながら徐々に街の中が白とグレーのモノトーンの中に沈んでいくはずである。


 高校3年生までを岐阜県の田舎で過ごした私は、雪とは全く縁がないわけではなかったが、真冬でも湿った雪が朝いくらか積もっていて、それが日中にはきれいに融けてなくなってしまう、というような感じであった。ちょうど昨日の札幌のような状態である。
 そういう私が北海道に住むようになってもう28年目になるのだが、初めての年、街を一面に覆うふわふわとした雪には、少なからず感動した記憶が残っている。


 ある日の夜、ワンルームマンションの自室で漫然とテレビを見ていた私は、外で響く、ゴワゴワゴワ、という音に気付いた。中通りに面して建っている私のマンションは日中でも車通りが少なく、大型車などほとんど通らないから、珍しい低音の響きである。
 窓のカーテンを開けると、ガラスの向こうで黄色の光が短い間隔で強くなったり弱くなったりを繰り返していた。私は反射的にカメラを握って部屋から外へ出た。


 マンションの前の道路では、大きな羽根のようなスノープラウを付けた大型車が、黄色の回転灯を回しながら、道路に積もった雪を路肩に寄せる作業をしていた。私は、これがうわさに聞いていた除雪車か、と感動して、カメラのシャッターを切った。その写真は手元に残っておらず、実家方面の友人か誰かに「すごいだろう、これが除雪車だぞ」というようなテンションで送りつけたような記憶がある。雪に埋もれた冬を送ったことのない私にとっては、それほど衝撃的な光景だったのである。


 それから27年、旭川、岩見沢という積雪地帯での勤務を経て、札幌に居を構えた私にとっては、雪は私の休日の体力を著しく消耗させる敵以外の何者でもなくなった。そうでなくても体力の低下が目立つ昨今、深夜眠っているときに外で除雪車が働いている音が聞こえてくるだけで、ああ、また朝になったら肉体労働か、と憂鬱な気分になる。


 だが、一方で大量に降った雪が、決して水不足を招かない夏の札幌の生活を支えている。畑の上に降り積もった雪は冬の厳しい寒さから土を守り、翌年の農作物の生産の礎となる。生活するにはしんどいが、北海道にとってはなくてはならない季節、長い冬が、今年もまたやってくる。



 

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2018/11/18

貨物線を走る旅客列車~「ホリデー快速あたみ」

 前回の記事で触れたJR東日本武蔵野線は、鶴見-西船橋を結ぶ100.6kmの路線である。もともと都心を避けて東海道本線と東北本線などを結ぶ貨物線として計画され、首都圏の外縁を半円を描くように敷かれている。この他に直行する各路線との短絡線が5本ほどある。この辺りの話は以前にも書いた。

 ⇒乗りつぶしの話【2】乗ったのに実績ゼロ(2)
  ※その後、乗車記録の集計ルールは変えています。


Musashino
 通常旅客輸送は府中本町-西船橋間71.8kmでおこなわれており、鶴見-府中本町間28.8kmと短絡線の一部は、通常貨物列車しか走らない。一部の時期を除く土曜・休日に限り、「ホリデー快速鎌倉」(南越谷-鎌倉)などの臨時列車が運転される。時刻表にも「臨時列車のご案内」のページにしか登場せず、私のルールでは参考記録扱いとなるのだが、その中でも比較的乗りやすい区間である。


 たまたま前回のブログで触れたから、ということもあるのだが、11月上旬、東京へ出張する機会があり、その仕事明けの土曜日、青梅-熱海を武蔵野貨物線経由で11月10日・11日限定で走る臨時列車「ホリデー快速あたみ」に乗ってみた。全車指定席となっているが、金曜日の深夜に幸い先頭車窓側の指定席を確保できた。


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 午前8時50分ごろ、青梅線拝島駅ホームには、「ホリデー快速あたみ」を待つ乗客がすでに数十人集まっていた。そのうちの半分ほどは、ひと目でそれとわかる「その筋の方」である。
 9時少し前、青梅方面から、「ホリデー快速あたみ」が入ってくる。185系特急型電車6両編成である。白いボディに緑の斜めストライプの帯が入ったカラーリングが斬新だった車両もすでに車齢36年となり、数年中の引退も噂されている。車内には国鉄型車両の香りが随所に残っている。


 9時01分発車。まずは青梅線を立川へ向かう。立川から南武線へ乗り入れる「ホリデー快速あたみ」は、通常は下り列車しか走行しない立川-西立川間の通称「青梅連絡線」を通り、中央本線を跨いで立川駅へ入る。この辺りも鉄道ファン的には非常にレアである。運転席すぐ後ろのデッキには、何人もの「その筋の方」が出入りする。そのたびに旧式の自動ドアが大きな音を立てて開閉し、落ち着かない。


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 立川からは南武線に入り、府中本町を出ると、列車は左に南武線を分けて武蔵野貨物線に入る。しばらくは南武線と並走するが、多摩川を渡り終えると南武線の線路が左へカーブしながら離れていき、こちらはトンネルに突っ込む。長短2本のトンネルで武蔵野台地の下を突っ切っていく。闇の中で2本の貨物列車とすれ違う。


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 ようやくトンネルを抜けて明るくなったかと思うと、梶ヶ谷貨物ターミナル駅を通過する。コンテナが無数に積み上げられたターミナルは、郊外とはいえ首都圏とは思えない広さである。その横を過ぎると、列車は再びトンネルに入る。台地の上の住宅地や他路線との交点もトンネルや高架で無視するように抜けており、そもそも旅客営業をまったく前提としていない線形である。


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 トンネルを出ると、横須賀線や湘南新宿ラインの列車が走る東海道本線支線、通称「品鶴線」がすぐ隣に接近してきて並走する。こちらももとは貨物線として開業した路線である。その「品鶴線」上にある新川崎駅の少し先が新鶴見信号場で、ここから先は品鶴線と武蔵野貨物線の並行区間となる。


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 品鶴線がこちらの上を跨いで右手へ移ると、ほどなく左から接近してくる東海道本線を跨ぐ。無数の線路が並走するようになって、鶴見駅。貨物線のこちら側にホームはないが、その少し先で列車はいったん停車。「運転士が変わるんだよ」と後ろの方で誰かの声が聞こえた。確かにホームも何もないところに運転士が1人待機しており、こちらの列車から降りてきた運転士と引き継ぎをして列車に乗り込んでくる。時間にして1分ほどの儀式だが、これもまたレアである。


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 鶴見からは東海道本線を走り、10時05分、横浜に到着。武蔵野貨物線を堪能した私はここで列車を降りた。貨物線を走る列車もレアだが、駅構内など細かいところでの走行経路、乗務員の引継ぎなど、楽しみの多い列車であった。参考記録にしておくのがもったいないような体験ではあるが、自分で決めたルールであり、公式記録上の乗車実績はゼロである。


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2018/11/04

鉄道完乗こぼれ話【2】続・「鉄道完乗」の対象とはそもそも何か

 前回の続き。深い話なので、興味のない方はスルーで。


 鉄道の乗りつぶしを志した当初、私は当時の大半の人がそうであったように、まずはJRだけの全線完乗を目指した。行程の都合で私鉄を使うことなどがないわけではなかったが、乗車記録も残しておらず、私鉄はJRを全部乗り終えた後で考えようかな、という程度の感覚だった。


 私がはっきりと、「私鉄も含めた日本の鉄道全て」を完乗対象として意識するようになったのは、乗りつぶし熱が再燃し始めた2006年のことである。この時から、旅程の途上にある私鉄にも意識的に乗り歩くようになっていくのだが、当時はまだ乗るべき対象となる路線のデータが整理されておらず、同時並行で進むことになった。よって天橋立付近へ3度も足を運ぶ羽目になったりするのだが、これは致し方ない。


 前回書いたような経緯で、私が乗るべき鉄道は「鉄道要覧」に記載された「鉄道」と「軌道ということで整理をしたのであるが、これについてももう少し整理する必要があった。なぜならば、この中には乗ろうと思っても乗ることのできない鉄道というものが少なからず存在しているためである。


 その最たるものは貨物専用鉄道である。貨物の積み出し港付近に多い。また、JR貨物は大半の路線でJR旅客鉄道の路線を拝借して貨物列車を運転しているが、貨物ターミナルへの出入線など、一部区間では自ら線路を保有している。これらの路線には人間たる私は乗ることができない


 これとは別に、旅客鉄道会社が路線を保有していながら、通常は貨物列車しか運転されない路線もある。例えば武蔵野線は、旅客列車は府中本町-西船橋間の運転であるが、路線そのものの起点は東海道本線の鶴見である。鶴見-府中本町間は通常貨物列車しか運転されていない。
 ところがこの区間には、行楽シーズンなどごく一部の期間に限り、埼玉と横浜・鎌倉を結ぶ「ホリデー快速鎌倉号」などの臨時列車が運転されている。


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 また、以前は寝台特急「カシオペア」「北斗星」をはじめ本州と北海道を結ぶ旅客列車が運転されていたJR北海道・海峡線は、北海道新幹線と線路を共用する現在、定期列車は貨物列車のみである。だがここにも、臨時運転でクルーズトレインである「トランスイート四季島」などが運転される。こちらは団体運転でツアーを利用しなければ乗ることはできない。8月の旅で立ち寄った秋田港と秋田を結ぶ路線なども、クルーズ客限定で旅客営業をすることがある。


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 その一方で、純然たる旅客用路線でありながら、季節営業となるところもある。代表例は上越線・越後湯沢-ガーラ湯沢間が挙げられる。上越新幹線から分岐するこの路線は、スキー場の営業期間である冬季は毎日列車が運転されるが、夏は運休となる。


 こうした路線の扱いも非常に悩むところである。実際に貨物列車しか走らないような鉄道・路線を対象から外すことは全く問題がない。あとはひと思いに「定期旅客列車が毎日走る路線」だけに限定してしまってもよさそうなものだが、季節限定、曜日限定とはいえ列車が走ることが初めからわかっている路線を乗らずに済ませるのは、チリホコリを残したまま掃除を済ませるような後味の悪さが残る。かといって、特定の日にしか列車が走らなかったり、特定旅客しか利用できない路線にまで乗れと言われても困る。


 そこで私は、「旅客列車が定期的に運転される路線」を乗車記録の対象とし、特定日・特定旅客に対してのみ運転される路線や貨物専用線は、「通常旅客列車が運転されない路線」として、参考記録にとどめることにした。
 したがって、季節限定であっても毎日列車が走るガーラ湯沢線は乗車対象とする。逆に武蔵野線・鶴見-府中本町間や海峡線などのような路線は乗車対象とはしない。ちなみに、武蔵野線は現段階で未乗、海峡線は新幹線開業前に何度も乗車しているが、こちらは「参考記録」として整理している。 こうした路線は貨物専用鉄道も合わせると400km余りある。


 この辺りの線引きは非常に主観的なもので、人によっては異論のあるところだと思うが、何度も繰り返す通り、そもそも鉄道完乗など明確なルールが示されているわけでもなく、あくまで当人の自己満足の世界であるから、他人から目くじらを立てたり揚げ足を取られるような性質のものではない。細かいところまで突き詰めればきりがなく、例えば複線区間では上りと下り両方に乗らなければ完乗にならない、とか、札幌駅は1番線から10番線まで全部を通らないとダメだ、とか言われると、これは趣味の世界を通り越えて一種病的な世界に突入することになる。


 もとより、参考記録区間であっても、機会があれば乗ってみたいと思うのは趣味人としては普通の感覚であるから、今後折に触れてチャレンジしてみようとは思う。こうした話も、鉄道に興味のない人からすれば、拭き掃除とワックスがけの後に再度掃除機をかけるようなもので、変人認定の種にしかならない。だが、繰り返すが趣味とはそんなものである。


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2018/11/01

鉄道完乗こぼれ話【1】 「鉄道完乗」の対象とはそもそも何か

 「日本の鉄道に全部乗りました」という話をすると、ふだんあまり鉄道に関心のない周囲の人も、少なからず興味をもって話を聞いてくれる。闇雲に鉄道を乗り歩いているだけの間は、「ただの変わった人」という扱いを受けることの方が圧倒的に多かったのだが、何事によらず「成し遂げる」ということは、行動や言葉にある種の説得力を持たせることを可能にするらしい。


2012041515 P7106025 
 そうした中で、必ず聞かれる質問がいくつかある。そのうちのひとつが、
「鉄道全部、って、全部ですか?地下鉄も、路面電車も?
というものである。これに対して私は、
「もちろんですよ。私鉄も、地下鉄も、路面電車も。モノレールやケーブルカーも、です」
と答える。前段だけでも「ほおっ」という反応が聞かれるが、ケーブルカーのくだりまでたどり着くと、「ぎょえっ」という悲鳴交じりの感嘆詞に変わる。このあたりからやはり、随所に「やっぱり変人じゃん」というニュアンスが見え隠れするようになる。


 ただ、以前にも書いたことがあるが、「鉄道全線完乗」の定義、すなわち乗るべき路線、鉄道はどれか、ということに関しては、人それそれにルールがある。そもそも「鉄道」という言葉の定義自体が狭義から広義まで幅広いからである。
 どういうことか、そのあたりを私自身の復習も込めて、一度まとめておく。


 この先深みに入るので、興味のない方はしばしスルーで。


 私が乗車対象とした鉄道については、毎年1度発行されている「鉄道要覧」という、日本国内の鉄道をまとめた資料に基づいている。ここに記載された交通機関が、いちばん広い意味での「鉄道」であるが、この中身は大きく3つに区分できる。


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 ひとつは、鉄道要覧の中で定義されている、最も狭義での「鉄道」。専用軌道に敷かれた鉄のレールの上を車輪で走る、一般の人が抱くイメージの「電車」が基本方式である。当然、地上を走るか地下を走るかは関係なく、地下鉄も立派な鉄道である。
 この区分の中には、ケーブルカー(鋼索鉄道)やモノレール(懸垂式鉄道、跨座式鉄道)、新交通システム(案内軌条式鉄道)、さらにはレールはないがトロリーバス(無軌条電車)といった変わり種も含まれている。


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 ふたつ目は「軌道」である。もともとは道路などの上を利用して敷かれたレールを走るもので、鉄道とは準拠する法律も異なる。
 一番わかりやすいのは路面電車である。モノレールや新交通システムの中にもこちらに相当する路線、区間がある。また、大阪メトロ(旧大阪市営地下鉄)の大半の路線など、どう見ても鉄道と思われるものも、高速道路と一体で整備されたために、区分上は軌道になっていたりして、境界線は多少あいまいである。


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 みっつ目は「索道」である。これはレールではなく、鋼製のケーブルに搬送機がぶら下がっているものである。ロープウェイゴンドラのような「普通索道」と、リフトのような「特殊索道」に分かれている。


 で、この中からどれを乗りつぶしの対象にするか、ということにある。
 狭義の「鉄道」がその対象であることは言うまでもない。問題は残るふたつである。


 「軌道」は、鉄道事業法の範疇に含まれないが、どこを走るかだけの差であって、鉄道の一種だとみて問題ないと思う。一般的にも大半の軌道線は「電車」のイメージで語られる。「ゆりかもめ」のように、鉄道と軌道の区間が入り乱れて1本の線を構成している路線もある。


 問題は「索道」である。こちらは鉄道事業法に基づく乗り物であり、法的には軌道よりも鉄道に近い。だが、スキー場や観光地のリフトの類、特殊索道が鉄道の仲間、と言われても、子ザルを見せられて「あなたの子供よ」と言われたくらいの違和感がある。一般索道にしても、箱根や立山のロープウェイはともかく、スキー場のゴンドラリフトも同じ仲間だ、と言われれば、鉄道の匂いは遠のく。


 いずれにしてもどこかで線引きをしないと、「鉄道乗りつぶし」と称しながら、冬ごとに日本全国のスキー場を渡り歩かなければならないようなことになるので、「索道」はすべてを除外し、乗りつぶし対象は狭義の「鉄道」および「軌道」とした。このあたりがおそらく鉄道ファンの中でもマジョリティになるのではないかと思う。


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 それでも普通の人たちから見れば、ロープウェイと懸垂式モノレールの区別などつかないであろうし、「トロリーバス」が鉄道であるなど、全く理解できないに違いない。
 だが逆に私にしてみれば、嵐に熱狂する嫁の気持ちも、ラブライブの登場人物がすべて見分けられる坊主の眼力も全く理解できない。趣味とはそんなものである。


 深めの話、続く。


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2018/10/21

JR北海道「維持困難線区」は何処へ【8】札沼線末端区間、廃止へ

 10月13日付北海道新聞は、JR北海道が提案していた札沼線・北海道医療大学-新十津川(47.6km)の廃止・バス転換について、沿線4町長が受け入れることで合意したと報じた。正式な調印は年内におこなわれ、早ければ2019年内、遅くとも2020年3月までには廃止となる公算が高くなった。


 同区間の近況については、以前の記事にまとめてあるのでそちらを参照願いたい。

 ⇒「JR北海道『維持困難線区』は何処へ【3】札沼線末端区間

Sassho 記事によると、同区間を廃止する見返りとしてJR北海道から提示された条件は、代替バスの運行に係る自治体負担額の20年間交付、鉄道用地の無償譲渡、北海道医療大学駅バスターミナルの整備、これに加えて存続区間である札幌-北海道医療大学の直通列車の運転本数大幅増などとなっている。代替バス運行支援の内容は、先に廃止が決定した石勝線夕張支線とほぼ同等である。


 この区間の廃止は、JR北海道の維持困難線区としては、複数の市町村にまたがる路線では初のケースとなる。当別・月形・浦臼・新十津川の4町は、それぞれの町が抱える事情や旅客流動に差があり、全線通しての代替バスは設けられず、区間流動に函館本線の主要駅へのアクセスを組み合わせた体系になる見通しで、これまたレアケースである。


 また、当別町の場合は町域内での足を確保する必要がある一方で、存続区間である札幌方面への利便性を向上させたいという思惑もあったのだろう。4町の中で最後までJRとの協議がずれ込んでおり、結果として存続区間の運転本数の大幅増を勝ち取った。おそらくこうした状況の違いから、廃止の是非や見返り条件について4町の間で相応の温度差があったことは想像に難くない。


 今回の札沼線末端区間の廃止決定は、2月のフォローアップ会議で「他の交通機関との代替も含め」とされた留萌本線、日高本線(鵡川-様似)、根室本線(富良野-新得)の今後の動きにも影響を及ぼすのは間違いない。日高本線、根室本線については、11月をめどに方向性や路線の在り方を検討、協議するとなっており、留萌本線でも今後沿線自治体とJRが個別の意見交換をおこなう見通しである。


 深川市長、様似町長のコメントも載っており、いずれも「事情は違うし影響はない」とのコメントである。確かに「バス転換も視野に」とフォローアップ会議の報告段階から白旗モードの札沼線とは事情は違うが、一方で日高本線と根室本線は災害のため現時点で列車が走っていないという別の異なる事情も抱えている。いずれも輸送密度が200人に満たない線区であり、沿線自治体の方々には怒られるかもしれないが、札沼線の状況を横目で睨みながら、どこで条件交渉に持ち込んでいくかを伺っているように思える。


 JR北海道は、台風21号および北海道胆振東部地震による運休による減収を、9月中だけで14億円に上ると発表している。2017年度の決算は経常損失106億円と発足以来最悪の赤字となった。これに対し国は2か年総額400億円の支援措置を講じる。JR自身も来年10月に運賃値上げを実施し、約40億円の増収を見込む。


 それでもJR北海道は黒字化しない。5年後の収支予測では連結ベースでも43億円の当期純損失となるらしい。北海道新幹線の札幌延伸後には収支均衡を目指すとしているが、現段階ではその北海道新幹線が年間103億円の赤字を生み、経営の足かせとなっている。自治体はともかくとしてほぼ他人事のような道の温度感、先の見えない国の支援措置、値上げ検討の一方で割引拡大による目先の旅客獲得に走るJR。すべての動きが一体感を出せずにちぐはぐな感じを受けるのは私だけだろうか。

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