旅先における「食」についての考察
旅に出る楽しみのひとつとして、「旅先で現地の名物やおいしいものを食べる」ことを挙げる人は数多い。テレビの旅番組を見ていても、必ず食事の話が出てくるし、場合によっては「食べること」そのものを目的とした旅を特集する、なんてこともある。
ところが私はそういった感覚がきわめて希薄な人である。
ここ最近の旅は「鉄道に乗ること」という明白な目的のもとに出掛けることが多いから、よけいに「食べてる暇があれば乗っていたい」となる。昼食時には列車に揺られながらコンビニか駅の売店で買ったパンをかじり、夜は夜で安いビジネスホテルで粗食をつまみながらテレビかインターネットをせっせと眺めている。
こうした私の行動は、上司をして、
「いかさまの旅先での食事は、菓子パン・菓子パン・カップラーメン」
とまで言わしめる。
全くその方面に興味がないわけではない。現に先日も宇都宮で餃子を食しているし、熊本で馬刺し、福岡や喜多方でラーメン、シカゴでスペアリブ、などと、意図的に食べに行くことも稀にはある。けれども、旅行の頻度の割にそういうことが少ないのは事実として認めざるを得ない。
理由はいくつかある。
第一に、経済的な余裕が少ないこと。ビジネスホテルですらインターネットを駆使して激安・下の下のホテルを探すことが多いくらいだから、食事に金を掛けるのも馬鹿らしいと思ってしまうケチな性格のせいもある。極端だが「菓子パン・菓子パン・カップラーメン」なら、1日の食費が1,000円でお釣りが来ることもある。
第二に、体力的な問題。日中アクティブに動き回ることが多いので、1日の行程が終了した夜、ホテルのベッドに倒れ込んでしまうと、それ以上動く気がしなくなる。これは年をとるにつれて、その傾向は強まっている。
第三に、嗜好の問題。これは第二の理由とも絡むが、1日の疲れを癒すに当たってジョッキ1杯のビールが欠かせない、と言う人はたくさんいる。
ところが私は基本的に酒を飲まない。だから酒を飲みながら地元の名物をつまむ、という発想がない。別に酒を飲まなければならないというルールがあるわけではないが、夜の店は酒を飲まない人間にとっては敷居が高いことが多い。
第四に、雰囲気の問題。第三の理由と絡んでくるが、夜の居酒屋などを見回すと、ひとりで来ている客はほとんどいない。たいていがふたり以上である。そういう店にひとりで入り、サイダーやウーロン茶を飲みながら食事をとるほどわびしい気持ちにさせられるものはない。
「それなら奥さんも旅行に連れて行けば」と言われることもあるが、そもそも鉄道に何の興味も示さない嫁をそれだけのために連れて行くほど私は鬼でもない。
そして第五に、根本的な性格の問題。食に対するこだわりがそもそも希薄なのである。学生時代から質より量を追い求める傾向が強いようである。高級しゃぶしゃぶ店より焼き肉バイキング、フランス料理のフルコースより吉野家の特盛に満足する自分に、高級な餌を与えてもしょうがないのである。
そんなわけで、タイトルこそ大仰ではあるが、旅先における「食」などと上段に構えて語る資格は私にはない。旅先でのこの粗食傾向は、おそらく日本の鉄道をすべて乗り終えるまで続くものと思われる。
ただ、この年になって来ると、さすがに自分の健康のことも多少は気がかりになって来るので、1日に1回は米と野菜を必ず取るように心掛けている。よって最近の私の旅先での食事は「菓子パン・菓子パン・コンビニ弁当」くらいにはなっている。
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コメント
(^_^)/おはよーございます
最近は、ちょっとリッチになったのですね
私も、食べ物には拘らないのです
理由は、全く違うのですが、子供の頃から食事を味わうと云う事をしてこなかったからだろうと思っています
極端に言うと、食事は(これは例の店主さんが聞くと怒るのですが)私にとっては単なるエネルギー源だと今でも思っているところがあります
エネルギー源なので、ちゃんと栄養のバランスはとりますよ、そこは抜かりなくデス(笑)
だから、余計に食事を楽しみながら、美味しそうに食べている方々を見るのが好きなんです
小さくても大きくても、いつでも幸せを感じることのできるんですよね
因みに、例の店主さんのお店は、飲み屋さんですが、お酒がダメでもOKカウンター10席しかないので、お一人でも店主さんがお話振ってくれます㋵常連さんも良い方ばかりなので付かず離れず気遣って下さいます。と、何気に宣伝してみるトカ・・・ o(_ _)oペコッ
投稿: tutatyan | 2012/09/21 09:43
こんにちは。
面白い検証ですねw
食に関しては私は和食、菓子パン、和食ってことが多いかな。まぁ、自宅にいての話ですが。
旅先ではどうしても、食べ物は偏るかも。
せっかくだから、ご当地のものをって思うと、すごく高かったりして手が出ないとか。
そういえば、旅の時はご家族はお留守番ですか。
自由にさせてもらえるなんて、いい奥様なんですね~♡
投稿: 華凜 | 2012/09/21 14:48
分かる!!
むっちも一人旅(海外)に出るとかなりハードに動き回るので、夜は宿泊先のお部屋でゆっくりしたくなるの。
なので、その土地のスーパー、八百屋さんなどで食材を買い込みホテルでのんびり食べるよ。現地の果物もいっぱい買うよ。
でも栄養バランスは気になるから、ツナの缶詰とトマトを合わせたり、火を使わなくてもできる簡単な料理はするよー!
ちなみに前回の謎のNさんは、披露宴関係のお願いへ向けて顔合わせ(?)した可愛いNさんだよ♪
投稿: むっち | 2012/09/21 16:17
な、なんだ、この論文調のお題はぁ~
と、びくびくしながら読んでみたら、
なんだぁ。と~ま家の野郎どもとおんなじじゃん~
質より量
男の食事はこれに尽きるように思うのはと~まだけ?
最近のコンビニ弁当は贅沢っしょ。十分ですぅ
投稿: と~まの夢 | 2012/09/21 23:47
>tutatyanさん
いつもありがとうございます。
リッチになったと言うか何と言うか(笑)。多少これではまずいと思った、というのが正しいところでしょうね。
若い頃は何をどれだけ食べても太らない、女性が見たらうらやむような(笑)体質だったのですが、30歳を超えたころから、少しずつ体重に反映し始め、年齢なりに健康診断の数値もいろいろと出始めたものですから、多少食べるものが変わりつつあります。
とはいえ、やはり満腹にならねば身体も頭も動きませんから、悩ましいところではあります。
例のお店はお話を伺う限り、僕のような旅の者にも温かくしていただけそうですね。これはやはり早く京都近郊を攻めに行かねばならないようです(笑)
投稿: いかさま | 2012/09/22 23:01
>華凛さん
いつもありがとうございます。
よく見たら検証と言うほど立派な文章ではありませんね(汗)。
昼食を外食で、ということが多いので、常日頃から偏りがちなのです。意図的に野菜を増やすようにはしていますが、それでも昼食と夕食が見事にバッティングしたりと(笑)なかなかうまくいきません。
作ってもらってるぶんだけ有難いことなんですけどね。
家族で旅をすることも稀にはありますが、こと話が鉄道になると、家族はお留守番です。
自分の小遣いの範囲内でやっているので経済的には迷惑をかけてませんし、意外と旦那が日頃溜め込んでいるストレスに対して理解があるものですから、あまり文句を言われることはありません。食事の話も合わせ、よくよく考えたらいい奥さんなんですね(笑)(笑)
投稿: いかさま | 2012/09/22 23:08
>むっち
あなたの旅行は行き先からして相当ハードだからね(笑)そりゃ夜くらいのんびりもしたくなるでしょう。酒も飲まないしね。
むっちの行くところは、野菜とか果物以前に、変なところでご飯を食べたら腹くだしそうなところが多いから、気をつけるようにね。
ところでNさんについては、思い出しました。
今度デートしようって伝えといてください(笑)
投稿: いかさま | 2012/09/23 00:09
>と~まの夢さん
いつもありがとうございます。
見かけ倒しでくだらない屁理屈をこねるのが私の持ち味なのです(笑)
そうですか、と~まさんちの男性陣も同じですか。何となく自分だけじゃないとわかるとほっとしますね。
コンビニ弁当は、僕が学生だった時代から考えると破格の進歩を遂げていますから、確かに味・質ともに満足できるレベルになっています。こうやって人間は自分で食事を作らない、あるいはおいしいものを求めて歩くことをしない、という感じで堕落していくのかもしれません(笑)
投稿: いかさま | 2012/09/23 00:29