2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【15】男山ケーブルと石清水八幡宮
これまでの旅の経過は⇒こちら。
宇治から引き返して中書島で京阪本線に乗り換え、八幡市駅で下車。次に目指すのは、京阪鋼索線、通称「男山ケーブル」である。
ケーブルカー乗り場は本線の駅と隣接しており、改札を出て右手に進むとすぐ。基本30分ごとの運転だが、乗客がいれば15分間隔で運転される。
10時30分発の上りケーブルカーは、私のほか、夏休みに入ったばかりと思われる中学生の集団6人を乗せて出発した。全長0.4km、高低差82mと、ケーブルカーとしては小規模かつ緩やかな路線であるが、途中にトンネルもあり、往年の京阪特急カラーに塗られた車両も立派である。
およそ3分であっさりと終点の男山山上駅に到着。山上には、9世紀半ばに宇佐八幡宮から勧請されて建立されたという石清水八幡宮がある。
男山山上駅から案内板に従って上り坂の続く参道を歩き、石段を登ると、朱塗りの立派な南総門の前に出る。駅から5分弱である。
南総門の先に広がる境内の奥には、国の重要文化財にも指定されている、同じく朱塗りの本殿が、鎮座している。奥行きもある大きな建物だが、正面から見ると羽を広げた鷹のように見える。厄除けの神様だということで、当年大厄の私は、差し当たり賽銭を投げてお参りをしておく。
再び南総門をくぐって、今度はケーブル駅へ戻らずに、三の鳥居をくぐる。ここから八幡市駅までは、参道を歩いて10分ほどだという。歩くにはちょうどよい。
森の中の参道を下ると、麓にある頓宮までは10分足らず。頓宮の奥が一の鳥居で、本来参道の入り口に当たる。
頓宮はもともと極楽寺という寺のあった辺りに建てられた比較的新しい建物である。また、その脇には、高良神社という小さな神社がある。
ここで中学校時代の古文の教科書を思い出す。鎌倉文学の名作、吉田兼好の「徒然草」第52段「仁和寺にある法師」である。
「仁和寺に、ある法師、年寄るまで石清水を拝まさりければ、心憂く覚えて、ある時思ひたちて、ただ一人徒歩より詣でけり…」
というアレである。この法師が参拝した往年の極楽寺・高良神社は、石清水八幡宮の本殿にも劣らぬ立派な建造物だったようだが、残念ながら1868年の鳥羽・伏見の戦いで消失している。極楽寺は現在はなく、高良神社もその後再建されたものである。
この法師は、結局麓の極楽寺・高良神社を石清水八幡宮の本殿と勘違いして、満足気に帰路につく、という阿呆らしさを見せている。兼好も、
「すこしのことにも先達はあらまほしきことなり。」
と結んでいるが、確かに予備知識なしに旅行に出掛けると、肝心なところを見落として帰ることが多い。
もっとも、私の場合は、この旅だけでも、東尋坊・永平寺・鞍馬寺・延暦寺など、重ね重ね肝心なところがあることを理解していながら意図的にすっ飛ばしている。見方によっては、こちらの方がよほど阿呆らしいとも言える。
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コメント
吉田兼好の徒然草が頭に浮かぶとはさすがですね
次回はいかさまさんが先達となって
家族を案内すればええことですやん
厄よけのお礼参りもしないといけないし(笑)
投稿: buzzっち | 2013/09/04 07:06
いかさまさんへ
なかなか構ってあげる時間がなくて
誠に申し訳ありません(笑)
つれづれなるままに、
というタイトルを使っているので
何かわたしもコメントしなきゃと思って…
よくお勉強されててエライ!ですね。
あと欲を言えば、
ウンチクを自分なりにヒネって
もう少し遊んで欲しい感じがする…かな。
毎回BLOGで遊びすぎな私からの勝手な要望で~す(笑)
投稿: poem | 2013/09/05 01:26
>buzzっちさん
いつもありがとうございます。お返事が遅れて申し訳ありません。
中学校で学んだ徒然草の中でも、この段はなぜか妙に印象に残っておりまして、すぐに思い浮かびました。
そうですね、次回は嫁さんも連れてこないといけませんね。
石清水さんが、たった百円で私の厄を除ける気になってくれたかどうかは微妙ですが(笑)
投稿: いかさま | 2013/09/07 00:53
>poemさん
いつもありがとうございます。
いえいえ、時々でも構っていただけるだけで、さびしがり屋のいかさまはうれし涙が出るのです。
ここのところ、列車のネタを詰め込むだけで、文章を吟味する時間も少なく、私なりにもちょっとこれではいかん、と思っておりました。poemさんには全部お見通しですね。
もっとひねりと遊びのある、吟味された文章を心がけたいですね。ただ私、人生も恋愛も文章もあまり遊びを効かせるのが得意でないものですから(笑)…
…私の先達たるpoemさんにおいていかれないよう、がんばります。
投稿: いかさま | 2013/09/07 00:59