2013夏・関西の旅人

2013/09/25

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【18】例によって総括

大丈夫か、JR北海道、と、心の底から心配しているいかさまです。


2013夏、関西鉄道乗りつぶしの旅、例によって総括。
全行程の様子は⇒こちら


さて、今回の旅では、7月18日の松阪から22日の関西空港まで、総移動距離はおよそ1,220km、うち鉄道による移動は1,180.2kmとなった。

このうち、今回初めて乗車することができた区間は368.3kmである。

P130920_150315_2これまでの旅と比べても、移動距離と比較して初乗り区間の距離が短くなっている。これは、三重から福井、京都と、乗車済みの路線での長距離移動が多かったことによる。長距離移動が増えるということは、乗りつぶし自体が落穂拾い状態に突入したことを意味している。
ともあれ、現存する鉄道路線についての総乗車距離25,280.5km、残る未乗区間は2,128.7kmとなった。進捗率は少し上がって92.2%となっている。

県別でみると、以前の旅で、北海道・茨城・千葉・山梨・長野・奈良・和歌山・兵庫と、近畿・中国・四国の全府県、それに沖縄を除く九州各県が全線乗車済みとなっていた。これに今回の旅によって、新たに京都・滋賀・三重・岐阜・福井の5府県が加わり、計29道府県となった。乗車距離の進捗率に比べて進度が遅い。それだけ残り区間が各地に点在していることのあらわれである。また、自分の出身地である岐阜県にこれまで未乗路線が残っていたなど、紺屋の白袴状態であるが、えてして足元というのはそういうことになりがちである。

今週末は、東京で大学時代の友人の結婚式がある。このところの遠征続きで経済的にはかなりひもじい状況になっているが、用事があって東京へ行くのに、むざむざと何もしないで帰ってくる理由はどこにもない。1万円もあれば、もう1泊余計に泊まって、ちょこちょこと乗り歩くくらいはできる。おそらくこれが今年最後になるだろうが、どこまで進捗率を伸ばせるか、楽しみである。


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2013/09/19

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【17】嵐電で締めくくり

昨夜は久々に吐くまでお酒を飲んでしまったいかさまです。


これまでの旅の経過は⇒こちら

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嵐電嵐山
駅は、つい数か月前に改装工事が完了したばかりの新しい駅舎である。どこか劇場を思わせるような駅正面から中に入ると、間接照明を用いた広いコンコースには店が並んで賑やかである。ホームには足湯まで設けられており、駅と言うよりは観光名所のひとつと考えてもいいような施設である。

Dscn2600その嵐山からたった1両編成の小さな電車に乗って、民家の間をコトコトと走る。昨日乗車した叡山電鉄によく似た趣である。「嵐電」「叡電」と対になって称されるこの2社だが、元は同じ京福電気鉄道の路線であった。1985年に京福から分離して独立しているが、現在では京福とともに京阪電気鉄道の子会社となっている。ちなみに、3日前に乗車したえちぜん鉄道の2路線も、もとは京福の福井支社の経営する路線であった。

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ホーム上に立派な上屋の掛かった帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅で下車し、北野白梅町までの北野線を往復。沿線には8つの駅があるが、そのうち4駅がお寺の名を得たものであるなど、観光名所である寺社を数多く抱えている。うっかり法師の仁和寺もこの沿線にある。終点の北野白梅町駅は、ここもホームが立派なドームで覆われている。行き止まりホームの先の駅舎を出ると、すぐ目の前が西大路で、車が行き交っている。

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帷子ノ辻へ引き返し、四条大宮行きの電車に乗り換え。次の太秦広隆寺駅付近でいったん道路上に出て、すぐ専用軌道に戻るが、次の蚕ノ社駅で再び三条通上に出る。京都市営地下鉄との乗り換えの便宜を図って新設された路面上の嵐電天神川駅を出ると、ようやく専用軌道に戻る。京阪石山坂本線で見かけたような、パトカーカラーの電車が、ここにも走っているのが見える。

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山ノ内駅の手前からみたび三条通の上を走り、西大路三条駅手前からまた専用軌道へ。道路上に出たり、専用の線路を走ったりと、非常にめまぐるしい。
左手に電車が休む車庫を見ながら左へ大きくカーブして西院駅を通過し、東へまっすぐ進むと、終点の四条大宮駅に着く。市街地の中に位置する行き止まり式の駅だが、意外に立派なホームと駅舎を持っている。

Dscn2577これで関西鉄道乗りつぶしはほぼ終了である。あとは未乗である阪急京都線、桂-茨木市間の制覇を兼ねて大阪・梅田へ移動し、大阪空港へ向かうだけとなった。
四条大宮駅の近くにあった「CoCo壱番屋」で遅い昼食を取って、近接する大宮駅から阪急京都線の電車に乗り、桂で特急に乗り継いだ。

Dscn2576快適なクロスシートの電車に揺られていると、今回もまた旅が終わるなぁ、という感慨が押し寄せた。ということは、いきおい明日からの仕事を意識することになる。
私はここで、ここ1日以上思い出すことのなかった件の不始末を思い出した。とたんに胃袋の中のカレーが逆流するような感覚に襲われた。すんでのところでカレーの急襲を飲み込んだ私は、電車が梅田駅に到着すると、阪急百貨店へ直行し、財布の中身と睨めっこしながらお土産の物色に時間を費やした。



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2013/09/15

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【16】嵐山に憩う

これまでの旅の経過は⇒こちら

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八幡市
から丹波橋へ戻り、連絡通路でつながった近鉄丹波橋から竹田乗り換えで、京都市地下鉄烏丸線の終点国際会館へ。折り返して四条で下車し、地下連絡通路で阪急の烏丸駅へ入る。いったん阪急京都線の河原町まで行き、特急電車で桂下車。

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桂からの阪急嵐山線は、6300系電車によるワンマン運転。この電車はかつて、河原町-梅田間の特急に使用されていたもので、転用にあたり座席を減らして立席スペースを増やしているが、ささやかに並ぶ緑色の転換式クロスシートに、往年の面影を残している。

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住宅街の中を抜け、西側から松尾山、東側から桂川が徐々に迫ってくると、8分で終点の嵐山着。桂川の右岸に立派な駅舎が建っている。京福電気鉄道の嵐山本線、通称「嵐電」の嵐山駅や、JRの嵯峨嵐山駅は、桂川の対岸にある。

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風流な食堂や土産物屋が並ぶ嵐山公園の中之島地区をぶらぶらと歩き、渡月橋を渡って左岸へ出る。この辺りは小学校6年生の修学旅行以来で、実に29年ぶりの訪問である。平日だというのにおびただしい数の観光客である。外国人も多い。渡月橋の交差点を囲むように並ぶ土産物屋は、買い物客でどこも賑わっている。

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おおむね先の行程も見えてきて、気分に余裕が出てきたので、どこかで甘いもので一服したいと思い、嵐電嵐山駅へ向かう道路から少し小路に入ると、なんとも雰囲気のある甘味屋を見つけた。「嵐山のむら」というその店は、一見民家風の建物で、中もそれほど広くはないが、突き当たりの窓からは小さな中庭が見えて、風流である。

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一番人気は「ねぎ焼き」だそうだが、朝からの歩きで体が甘いものを欲しており、初志貫徹して「餡蜜」を注文。フルーツに彩られた餡蜜は、餡と蜜の甘さバランスがほどよく、美味しい。冷房の効いた店内で、中庭を見ながら餡蜜を舐め、持参の本に目を落とす。優雅な時間が流れる。

関西乗り歩きのエンディングまで、あとわずかである。


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2013/09/03

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【15】男山ケーブルと石清水八幡宮

これまでの旅の経過は⇒こちら

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宇治から引き返して中書島で京阪本線に乗り換え、八幡市駅で下車。次に目指すのは、京阪鋼索線、通称「男山ケーブル」である。
ケーブルカー乗り場は本線の駅と隣接しており、改札を出て右手に進むとすぐ。基本30分ごとの運転だが、乗客がいれば15分間隔で運転される。

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10時30分発の上りケーブルカーは、私のほか、夏休みに入ったばかりと思われる中学生の集団6人を乗せて出発した。全長0.4km、高低差82mと、ケーブルカーとしては小規模かつ緩やかな路線であるが、途中にトンネルもあり、往年の京阪特急カラーに塗られた車両も立派である。

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およそ3分であっさりと終点の男山山上駅に到着。山上には、9世紀半ばに宇佐八幡宮から勧請されて建立されたという石清水八幡宮がある。
男山山上駅から案内板に従って上り坂の続く参道を歩き、石段を登ると、朱塗りの立派な南総門の前に出る。駅から5分弱である。

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南総門の先に広がる境内の奥には、国の重要文化財にも指定されている、同じく朱塗りの本殿が、鎮座している。奥行きもある大きな建物だが、正面から見ると羽を広げた鷹のように見える。厄除けの神様だということで、当年大厄の私は、差し当たり賽銭を投げてお参りをしておく。
再び南総門をくぐって、今度はケーブル駅へ戻らずに、三の鳥居をくぐる。ここから八幡市駅までは、参道を歩いて10分ほどだという。歩くにはちょうどよい。

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森の中の参道を下ると、麓にある頓宮までは10分足らず。頓宮の奥が一の鳥居で、本来参道の入り口に当たる。
頓宮はもともと極楽寺という寺のあった辺りに建てられた比較的新しい建物である。また、その脇には、高良神社という小さな神社がある。

ここで中学校時代の古文の教科書を思い出す。鎌倉文学の名作、吉田兼好の「徒然草第52段「仁和寺にある法師」である。
「仁和寺に、ある法師、年寄るまで石清水を拝まさりければ、心憂く覚えて、ある時思ひたちて、ただ一人徒歩より詣でけり…」
というアレである。この法師が参拝した往年の極楽寺・高良神社は、石清水八幡宮の本殿にも劣らぬ立派な建造物だったようだが、残念ながら1868年の鳥羽・伏見の戦いで消失している。極楽寺は現在はなく、高良神社もその後再建されたものである。

Dscn2571_2この法師は、結局麓の極楽寺・高良神社を石清水八幡宮の本殿と勘違いして、満足気に帰路につく、という阿呆らしさを見せている。兼好も、
「すこしのことにも先達はあらまほしきことなり。」
と結んでいるが、確かに予備知識なしに旅行に出掛けると、肝心なところを見落として帰ることが多い。
もっとも、私の場合は、この旅だけでも、東尋坊・永平寺・鞍馬寺・延暦寺など、重ね重ね肝心なところがあることを理解していながら意図的にすっ飛ばしている。見方によっては、こちらの方がよほど阿呆らしいとも言える。


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2013/09/01

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【14】京都市地下鉄東西線と京阪宇治線

これまでの旅の経過は⇒こちら

Dscn2540さて、buzzっちさんと濃厚な一夜を過ごした翌朝は、京都市役所前駅8時35分発の地下鉄東西線で、まずは西側の終点、太秦天神川へ。各駅には立派なホームドアがつくなど近代的な路線だが、残念なことに乗客は少ない。折り返しに乗った六地蔵行きの電車も、午前9時前とは思えない空き具合である。

地下線を御陵まで東へ進み、昨日乗った京阪京津線を右に分けた後、こちらはいったん左へ緩やかなカーブを描いた後、大きく右に曲がって南へ向かい山科。このあたりでJR東海道線や、先ほど分岐した京津線とほぼ垂直に交わっているはずだが、地下線ゆえ何も見えない。つい居眠りが出る。鉄道の乗りつぶしは楽しいが、唯一地下鉄に乗っているときだけは、虚しい気分に襲われることが多い。

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終点の六地蔵駅は、すぐ目の前に高架のJR奈良線六地蔵駅が見えるロケーションである。私が乗るべき京阪宇治線の六地蔵駅は離れた所にあり、案内の看板に従って山科川の川べりを歩き、橋を渡ると5分ほどで、盛り土の上に設けられたホームが見えた。JR・地下鉄の駅から比べると、かなり貧相に見える。

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データイム10分間隔で運転される宇治線の電車は、昨年投入されたばかりの新鋭電車。4両編成でワンマン運転を行っている。車内は明るい緑色の座席に黒系の背もたれと仕切りがついている。吊革の色も緑色で、宇治茶というよりは抹茶を思わせるカラーリングである。

Dscn2552黄檗でJR奈良線が左にぴたりと寄り添い、そのまま1kmほど並走する。いったん右へカーブして分かれるが、再び接近して終点の宇治駅に到着。駅前へ出て確認すると、行き止まり式の京阪宇治線ホームとコンクリート造りの駅舎の間の通路上を、JR奈良線が高架で跨いでいるという、なんとも不思議な構造である。
にもかかわらず、JR側に駅はなく、JR宇治駅は宇治川を越えて1kmほど南西にある。10円玉でおなじみの平等院鳳凰堂はどちらからもほぼ同じ距離にある。市街地はJR駅の方が近いようである。

そもそも別の鉄道会社であり、京都-宇治間では競合関係にあるのだから仕方がないといえばそれまでだが、これだけ近接して走っている路線が、接続駅も設けず、お互い独立しているというのは非常にもったいない気がする。宇治はもちろん、200mほどの近さにある黄檗も、接続駅としては認知されていない。大阪を中心に、京都・奈良・神戸・和歌山など各方面で、JRと私鉄が激しく競合している関西圏の鉄道の縮図を、ここに見た気がした。


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2013/08/30

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【13】比叡山から琵琶湖、そして京都へ。

これまでの旅の経過は⇒こちら

Dscn2508比叡山頂バス停から京阪バスに揺られることおよそ5分、東塔バス停で下車。森に囲まれた歩道を歩く。途中に延暦寺の門があり、参道の遥か奥に、本堂に相当する根本中堂の姿がちらりと見えるが、ゆっくり立ち寄るだけの時間はない。宗派も違うことだし、次の機会にまわすことにする。

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かすかに太陽の光が差し込む木々の間を、曲がりくねりながら8分ほど下ると、古びた黄色の建物が見えてきた。比叡山鉄道・坂本ケーブルケーブル延暦寺駅である。2階建ての古風な建物は、1927年の開業以来86年の歴史を有し、国の登録有形文化財になっている。駅舎の2階はホールと展望台になっていて、琵琶湖を囲んで広がる大津の市街地を望むことができる。

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全長2,025mの坂本ケーブルは、全国のケーブルカーの中でも最長。中間に駅があるのも珍しい。延暦寺と坂本、それぞれの駅から300mのところに駅が設けられているが、乗降客がいない場合は通過となる。途中の随所で、徐々に近づいてくる湖岸の街並みを望むことができる。
2両の電車はそれぞれ、「」「」とおめでたい名前が付けられていて、どちらも緑と赤で塗り分けられているが、配色パターンが2両で逆になっている。ちなみにこの坂本ケーブルは、2dayチケットで利用することができる。

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11分とケーブルカーにしては長い時間の乗車で、ケーブル坂本駅に到着。こちらもケーブル延暦寺駅同様、開業当初からの駅舎で登録有形文化財になっている。参道の趣のある静かな県道を歩き、徐々に門前町らしい町並みが開けてくると、京阪石山坂本線坂本駅にたどり着く。ケーブル駅からおよそ10分である。

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坂本からの電車は、坂本ケーブルの車両と色をそろえている。そうかと思うとすれ違う電車はパトカーカラーに塗られていたりする。どちらも同じ型式の電車だから、塗装ひとつでずいぶん印象も変わる。
住宅の隙間を縫って走るローカル私鉄然としたイメージを漠然と持っていたのだが、実際には立派な複線で直線区間が多く、カーブも緩やかである。どうかすると並行するJR湖西線より堂々としているように見える。

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皇子山で高校野球の応援帰りの高校生を大量に乗せた電車は、三井寺の先で道路上に上がって併用軌道となる。国道161号線を横切ったところで京都方面からの京津線が合流して浜大津に到着。立派なターミナルだが、乗客の入れ替わりはことのほか少ない。その先、京阪膳所・膳所本町あたりでかなり乗客が減って、終点の石山寺まで乗り通す客は少なかった。

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折り返しの電車で琵琶湖の湖岸、大津港に近い浜大津へ戻り、京都方面への電車を待つ間、ペデストリアンデッキから、発車する電車を眺めた。立派なターミナルから出てきた電車が併用軌道の上に出てきて、路面電車のように道路上を坂本へ、あるいは京都方面へと走っていく。坂本方面の電車は2両編成だからまだいいが、御陵から京都市営地下鉄東西線に乗り入れる京津線の電車は4両編成の堂々とした体躯だから、非常に違和感がある。

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実際に太秦天神川行きの電車に乗って見ると、道路上を申し訳なさそうに自動車に埋もれながら進む大柄な電車は、控えめなジャイアンのような印象である。併用軌道は数百mで終わり、その先は複線の専用軌道になるが、その先もしばらく国道1号線に並行して走る。蝉丸や清少納言も歌に詠んだ「逢坂の関」のあったこのあたりは、起伏に富んだ地形である。

かつて京阪三条まで伸びていた京津線は、1997年の京都市営地下鉄東西線開業により御陵-京津三条(元の京阪三条)が廃止され、御陵から先は地下鉄に乗り入れる形となった。併用軌道-専用軌道-地下鉄という乗り入れ形態は日本には他に例がなく、ボストン地下鉄グリーンラインを思い出させた。

本日の宿泊ホテルに近い京都市役所前駅で下車すると、時刻はおおむね17時半。buzzっちさんとの待ち合わせの19時までに、なんとかシャワーで汗を流すくらいはできそうである。ここから話は、「buzzっちさんとの一夜」へつながることになる。



まだ続く。

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2013/08/25

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【12】京都側から比叡山へ

これまでの旅の経過は⇒こちら

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鞍馬から再び「きらら号」で引き返し、宝ヶ池でたった1両の八瀬比叡山口行きの小さな電車に乗り換え。ここから2本のケーブルカーを乗り継ぎ、比叡山を越えて滋賀県へ向かう。

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1925年(大正14年)の開業以来という風格漂う八瀬比叡山口駅を出て、水浴びの客で賑やかな高野川を渡り、およそ3分でケーブル八瀬駅へ。まずは京福電気鉄道鋼索線、通称「叡山ケーブル」である。

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叡山ケーブルは全長1.3kmと、路線長としてはミドルクラスであるが、高低差は561mあり、国内最大である。先ほど乗車した鞍馬ケーブルと比べると、路線規模・車両の大きさとも遥かに大きい。京福電気鉄道に属する鋼索線であるが、「2dayチケット」は使用できず、運賃530円、さらにその先のロープウェイ運賃310円を別途支払う。

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10名ほどの乗客とともに頂上へ向けて登り、ケーブル比叡駅へ。所要時間は9分である。ケーブル駅から正面に100mほど歩くと叡山ロープウェイロープ比叡駅がある。このロープウェイに乗り継いで、比叡山頂へと向かう。

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ケーブルカーやロープウェイなどに乗るたび思うのだが、よくぞこれほどまでに急峻な山中に建設したものと感心する。ここも例外ではない。昭和初期に、勾配の厳しい深い森の中に鉄塔を建て、ロープを這わせる工事の厳しさを思うと、乗っていても神妙な気持ちになる。比叡山頂駅までは所要3分である。

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滋賀県側のアクセスルートである比叡山鉄道坂本ケーブルのケーブル延暦寺駅へは、比叡山頂からバス利用であるが、バス停は駅から離れている。
ガーデンミュージアムの脇を抜けて5分ほど歩いたバス停には京阪バスが客待ちをしていた。15時ちょうど発ということで、待ち時間は5分ほどと非常に好接続であるが、発車を待つ乗客の姿は少ない。ここまでは滋賀県側から比叡山ドライブウェイを経て自動車で登ってくることができるせいもあるのだろうか。


まだ続く。

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2013/08/23

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【11】叡山電車と鞍馬山

これまでの旅の経過は⇒こちら

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地下駅の七条から京阪本線の特急で出町柳へ。2階建て車両を連結しており、座席がほぼ埋まるほどの盛況である。ドアが片側2つしかないうえ階段があるから、乗客の乗り降りには時間がかかる。趣味的には楽しい2階建て車両だが、日常的に利用する客からの目線ではどんなもんだろうかと思う。

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京都御所、そして京都大学のキャンパスに近い出町柳からは叡山電鉄。京都大学出身の作家、森見登美彦の小説には、この叡山電車がしばしば登場する。その興味深い叡山電車、鞍馬行きの電車は、「きらら号」と呼ばれる観光電車。側窓が大きく、天井へ向けたカーブ部分にもガラスがはまっていて、非常に明るい。通路を挟んで片側には一人掛けの座席、もう片側には窓の方を向いた座席が並んでいて、いかにも観光列車の雰囲気であるが、ハイキング客で混雑しており、運転席後ろに立つことになる。

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小説のイメージでは薄暗い竹林の中をコトコト走る叡山電車だが、実際は京都近郊の住宅街を、丹念に停車しながら抜けていく。岩倉あたりから右手に少しずつ山が迫ってきて、市原を過ぎると車窓風景は一変、にわかに山岳鉄道の雰囲気となる。山深い貴船口でハイキング客が大量に下車すると、次が終点の鞍馬である。

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古びた駅舎を持つ鞍馬駅から、鞍馬寺の小さな門前町を歩くと、石段の奥に山門が見える。そこをくぐったすぐ先の右手、「普明殿」と名付けられた仏堂の中に、山門駅がある。ここと山上の多宝塔駅を結ぶ鞍馬山鋼索鉄道は、全長0.2kmと、鉄道事業法によるケーブルカーの中では最短。それでも高低差は89mあり、勾配は平均およそ500‰と厳しい。距離が短いため、山上と麓を同時発車して中間で行き違う他のケーブルカーと異なり、1両が単線上を行ったり来たりする。通常は15分間隔で、8時25分から16時47分まで、毎時10・25・40・55分の発車。下りはその3分後の発車で、多客時には増発される。

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宗教法人
(鞍馬寺)が運営する鉄道というのも全国ではここだけの存在である。改札の職員も、乗務員も、みな作務衣を身に着けている。
乗車運賃は100円だが、厳密には「寄付金」であり、その代償としてケーブルカーを片道利用する権利が発生する、という整理らしい。窓口で寄付金を払うと、花びらのような形をした「乗車票」が渡され、その半券が乗車券になっている。

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朱塗りの灯篭が並ぶ線路を上り、わずか2分で多宝塔へ。本殿へはさらに参道を10分ほど登る必要があるが、先を急ぐ身ゆえ、下りのケーブルカーですぐに引き返す。鞍馬天狗の本拠でもあり、京都随一のパワースポットでもある鞍馬寺だが、中途半端な気持ちで参拝しては罰が当たりそうである。ここまで来てまた何かの罰が当たったら、せっかく忘れかけた暗い気持ちが小躍りしながら甦って来るに決まっている。


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2013/08/21

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【10】インターバル~京都へ

これまでの旅の経過は⇒こちら

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懸案の天橋立ケーブルカーを征服し、天橋立から特急「はしだて2号」に乗車。北近畿タンゴ鉄道所有のKTR8000系ディーゼルカーは、3年前にここへ来た時にも乗っている。4両編成だが、綾部で東舞鶴からの「まいづる6号」を併結し、6両編成となって京都へ向かう。

Kyotoここからは、京都近郊の在来私鉄線の乗り歩きになる。地図のとおり、京都市内から周辺にかけて四方八方に鉄道が伸びており、しかもそのほとんどが私にとっては未乗路線である。これを丹念につぶしていくことになる。
当初の予定では、「はしだて2号」を亀岡で下車して普通電車に乗り換え、円町から叡山電鉄北野白梅町まで歩いて乗り歩きをスタートさせ、翌日に余力を残すために夜遅くまで乗り歩くことになっていた。
けれども、先般来のブログに書いたとおり、buzzっちさんから心温まるオファーをいただいたので、おおむね18時ごろまでには一定の区切りをつける必要がある。

私は西舞鶴のホテルで、ウンウン言いながら時刻表の地図とインターネットを駆使して行程を組み直した。最終日の行程にはおよそ4~5時間の余力を残してあるが、これを少し削り、なおかつ亀岡で下車予定の「はしだて2号」に京都まで乗り通したうえで行程を組み換えると、なんとかなりそうな目星がついた。

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12時06分に到着した京都は快晴。一歩駅の外に踏み出すだけで一気に身体じゅうに汗をかく陽気である。駅前のバス案内所で、事前に購入しておいたクーポンと引き換えに、2日間3,800円の「スルッとKANSAI 2dayチケット」を受け取る。京都のみならず大阪・神戸・和歌山・奈良方面の私鉄電車のほとんどに乗ることができるフリーパスである。

Dscn2449暑いさなかではあるが、散歩がてら、私は七条通を東へブラブラと歩いた。七条大橋で鴨川を渡る。この川端には、かつて京阪電車が走っていたが、1987年に地下化されている。
七条大橋を渡り切ったすぐのところに、地下の七条駅の入口がある。この駅から三条を経て出町柳へ向かうところから、京都近郊の私鉄乗りつぶしを始めることにする。例によって昼飯を食べる暇も惜しんでのスタートである。

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2013/08/18

2013夏・関西鉄道乗りつぶしの旅【9】天橋立とケーブルカー

これまでの旅の経過は⇒こちら

Kitakinki7月21日、日曜日。かねてよりの懸案となっていた天橋立のケーブルカーを制覇するため、西舞鶴7時04分発の北近畿タンゴ鉄道豊岡行き普通列車に乗る。

北近畿タンゴ鉄道の西舞鶴-宮津間は、3度目の乗車になる。このあたりの経過は、以前「乗りつぶし」と「乗り残し」に書いた。乗りつぶしの旅行の中で、同じ区間を何度も行ったり来たりすることは多いが、まったく別の旅行で3度にわたって同じ区間に乗車するのは、かなり珍しいケースである。

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車両そのものは18年前から変わっていないが、映画とのコラボ企画らしく、車内一面が「宇宙戦艦ヤマト」で埋め尽くされている。乗客は5人しかおらず、華々しい車内に比して寒々とした雰囲気が漂っている。丹後由良あたりから右手に海を見ながら走り、7時47分、天橋立着。

Dscn2407天橋立日本三景のひとつに数え上げられる奇勝である。宮津湾内の潮の流れによって土砂が堆積してできた砂州は、全長3kmにも及び、松並木に飾られた歩道になっている。
私は1995年1月にもここで下車し、歩いている。けれども何の予備知識もなく訪れた私は、どこまで続くともわからぬ松並木にうんざりして、真ん中あたりで引き返してきてしまっている。

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駅を出て右手に歩き、300mほどで左折して、天橋立名物の廻旋橋を渡る。前回の訪問時、この橋が回るのをたまたま目撃したが、今回は動いていない。さらにひとつ橋を超えると、松並木の砂州が延々と続く。海水浴場になっており、早朝だと言うのに何組もの海水浴客が砂浜でくつろいでいるのが見える。

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砂州は広くなったり狭くなったりを繰り返しながら続く。ジョギング姿の地元住民や、観光客とすれ違いながら、徐々に迫ってくる陸地を左手に見て、駅から40分弱で対岸に位置する一の宮桟橋まで来た。天橋立にせき止められた阿蘇海に沿って走るバスでも所要時間は24分かかるから、乗り継ぎ時間などを考えるとほとんど差はない。大量の汗と引き換えにバス代510円が浮いたことになる。
一の宮桟橋では、片道320円の傘松ケーブル往復券と520円の一の宮-天橋立桟橋間の観光船片道乗船券のセット券を1,100円で購入する。

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国道178号線に面した籠神社の奥、府中駅からケーブルカーに乗る。正式には丹後海陸交通・天橋立鋼索鉄道線と呼ぶ、通称「傘松ケーブル」は、延長0.4km、高低差130mと、これまでに乗ってきたケーブルカーと比べても小規模である。それでも最急勾配は461‰と、ミドルクラスの勾配を持っている。8時半のケーブルカーで、山上の傘松駅へ。

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天橋立と言えば、上下逆に見ることで天空に松並木が浮かんでいるように見える「股のぞき」が有名である。傘松駅の周りは展望公園になっており、「股のぞき」用の展望スペースも存在するので、せっかくだから試みておく。早朝にもかかわらず観光客の姿が多いが、ほとんどは外国人客で、シャッターを押してくれる日本人客を探すのも楽ではない。

ちなみに、「元祖股のぞきの地」とされる場所は、そこから山手へ3分ほど登ったところにある。小さな広場で、売店もあるが営業しておらず、さびしい。そこまで登ってくる観光客の姿は少ないし、景観そのものも、下と大きく異なるわけではない。

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帰りはケーブルカーに併走するリフトを利用してみた。高尾山でも見かけたような、観光リフトである。私はケーブルカーに乗るためにここまで来ているのであって、観光リフトなど本来興味の対象外であるが、天気に恵まれていれば、特に下りは、少しずつ角度を下げながら近づいてくる天橋立の姿を一望でき、絶景である

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府中から一の宮桟橋まで引き返し、観光船に乗って天橋立桟橋へ戻る。乗客は私を含めてたったの2名である。船内ではセルフサービスで「カモメの餌」を100円で売っているが、よく見てみると「かっぱえびせん」である。船室内は冷房が効いていて気持ち良いが、私は屋上へ上がり、阿蘇海に吹く風を受けながら、およそ10分の船旅を楽しんだ。

ちなみに、天橋立駅側の山の上にも「天橋立ビューランド」と呼ばれる景勝ポイントがあり、「スロープカー」と呼ばれる乗り物で登ることができる。これには以前、北九州の皿倉山でもお目にかかったことがあり、レールを跨いで走る姿はどうみてもモノレールなのだが、法律的にいうとスロープカーは「エレベーターの一種」なのだそうである。したがって私が乗る必要はないらしいのだが、このあたりりの区分は相当ややこしい。

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